おばあちゃんちのサーラ・ダ・プランゾは毎週日曜日にだけ開けた。
トスカーナの農民の普段着の暮らしを教えてくれる本、『ルフィーノのトスカーナ』は、読むたびにいい本だなあ、と思うので、菖蒲とフィレンツェの話の続きも、ちょっと訳してみます。“日曜の夕食il pranzo della demenica”という章です。「私は騒々しい祖母の夕食をまだ覚えている。小さな家で、ダイニングルーム(サーラ・ダ・プランゾsala da...
View Articleイギリス人が大勢移り住んだトスカーナ。トスカーナのローストビーフは本場イギリスのローストビーフがルーツ。
ワインメーカーの目で見たトスカーナ料理の本の傑作、『ルフィーノのトスカーナ』から、野菜の話が続いたので、今日は肉料理の話。“ロスビフrosbif”です。これはペッレグリーノ・アルトゥージが名付けたイギリスがルーツの料理、ローストビーフのことです。ローストビーフは、フィレンツェ郊外に大勢住んでいたイギリス人の家庭の料理人が学んで19世紀にトスカーナに伝わったと言われています。その後徐々に、オリーブオイ...
View Articleトスカーナのカウボーイの食事、アクアコッタ。
イギリス人が憧れたトスカーナは、ダ・ヴィンチの絵に出てくるような、長年人の手によって改良が加えられた、糸杉の丘と美味しいワインがある美しい自然に囲まれた地方だった。今日のお題は、そんなイメージを否定するようなマレンマ地方の料理。マレンマ地方はトスカーナのティレニア海沿いの地方で、19世紀半ばに干拓事業が始まるまでは、住みにくい沼地や荒れ地だった。人を寄せ付けないワイルドな地中海の姿。こんなワイルドな...
View Articleほろ苦い味が特徴のチコーリアの中で一番甘いのがプンタレッレ。
春が終わる前に、と思って急いで初めた春野菜の話題ですが、夏が猛烈な勢いで近づいていて、追い越されそうです。イタリアの春野菜は、北はアスパラガス、南はソラマメに代表されるということがわかったのですが、中部を忘れていました。中部イタリアを代表する春野菜は、何だと思います?『サーレ・エ・ペペ』誌によると、「プンタレッレ」だそうです。詳細は「総合解説」06/07年4月号をご覧ください。プンタレッレは主にイタ...
View Articleシチリアのてっぺんのエトナは今も活発に噴火中
『ルフィーノのトスカーナ』は、一つの地方を代表するワインメーカーが、そのプライドをかけて作る料理書の素晴らしさを認識するような、お金と手間をかけて作られた素晴らしい本でした。この本に出会って以来、ワインメーカーの本への期待度は大幅にアップしました。クレアパッソでは、もう1冊、シチリアのワイナリー、プラネタの本も販売しています。『シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ』これもいい本です。対象はシチ...
View Articleシチリアの中でも独特の個性があるエトナのワイン。
エトナ山を取り上げた日に噴火していたなんて、知らなかった・・・。2021年3月17日の噴火。標高3000m級の山が噴火するなんて、怖すぎる。そう言えば、エトナ山は別名、“モンジベッロ”と呼ばれます。イタリア語の山、“モンテ”と、アラビア語の山、“ジェベル”を組み合わせた言葉だそうです。2回も山と繰り返すほど特別な山、というわけです。山の麓でワインを作っているこの地区のトップワイナリー、ベナンティのエ...
View Articleエトナの火山性の土壌は、ぶどうが栽培できない標高でのぶどう栽培を可能にした。さらにピスタチオやアーモンドなどナッツの栽培にも適していた。
噴火するとおっかないエトナ山ですが、カターニアからエトナの周りを巡る周遊鉄道ではエトナワインツアーなんかもやっている↓エトナを世界的に有名にした産物は、エトナワインとピスタチオ。イタリア随一のピスタチオの産地として知られるブロンテには、周遊鉄道も止まる。上の動画はブロンテ付近を通過する周遊鉄道。ここからバスと徒歩で山頂へも行ける。もちろん噴火していない時は。ブロンテはエトナ山の西側にある。エトナが噴...
View Article村丸ごとがカンノーリの聖地、ピアーナ・デッリ・アルバネージ。
ブロンテのピスタチオの生産量は年間2000トン。世界のピスタチオのわずか0.4%。隔年収穫と数が少ないブロンテのピスタチオは、主にドルチェ、ジェラート、サラミに加工される。そう言えば豚肉で知られるネブロディも、エトナの麓にある。ネブロディとエトナいまさら言うまでもないが、シチリアで一番人気のあるドルチェ、(というか世界中で一番人気があるイタリアのドルチェかも)カンノーリには、トラーパニ、パレルモ、カ...
View Articleブロンテではビスコッティに刻みピスタチオじゃなくて丸ごとのピスタチオをびっちりまぶす。
ピスタチオからどんどん離れているのは承知ですが、今日はカンノーリのリチェタでも探してみるか、と軽い持ちで始めました。でも、速攻で折れました。カンノーリのリチェッタって、普通は極秘にされていて、ネットで公開している店なんかないんですね。最初からそうすればよかったと後悔しながら、今日は、シチリア料理の小型シリーズなのにやたらこだわってる、“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズの『パスティッチェ...
View Article複雑な手間のかかるシーフードパスタを、手抜き料理の代表、フードジャーで作るなんて発想、なかったなあ。
「今月の総合解説」で気になったリチェッタは、(P.25)のジャースチーム・シーフードのコンキリエConchiglie allo scoglio in baratoloです。...
View Articleパスタ入門編シーフードのパスタ、ベネチアとナポリのスパゲッテイ・ボンゴレ
スローフードのスクオラ・ディ・クチーナ”シリーズの『パスタ・エ・スーゴ』は、読み込んでみると、乾麺のパスタの教科書としてとても良くできた本であることがわかります。まず、スパゲッティ。美味しいパスタの条件など基本を知ったら、次はソースです。スパゲッティのソースは、チーズ(カーチョ)がベースのものが最初の一歩。次はこれにグアンチャーレやパンチェッタなどが加わります(アッラ・グリーチャ、カルボナーラなど)...
View Articleリアルトはベネチアの文化で歴史。ただの観光名所じゃない。ナポリのアサリ抜きのボンゴレ。
スパゲッティ・ボンゴレのベネチアvsナポリは、世界的観光都市の魚市場という、上質の魚が集まるベネチアの特徴を活かしたアサリの品質にこだわったベネチア風と、ピエンノロ・トマトというナポリならではの他にはないトマトを組み合わせたナポリ風の対決でした。ベネチアの魚市場は観光客向けなんて思っていましたが、ベネチア料理のベースを支えている存在だったんですね。リアルトは文化であり歴史でした。下の動画はリアルトで...
View Articleシーフードパスタのベースはアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ→ボンゴレ→ペスカトーラ。
シーフードパスタのテーマに移っていますが、スパゲッティ・アッラ・ペスカトーラspaghetti alla pescatora、パスタ・コン・イ・フルッティ・ディ・マーレpasta con i frutti di mare、コン・イ・モッルスキpasta con i molluschi , アッロ・スコッリオallo...
View Article家族のパスタ、シャラティエッリでコンクールに挑んだシェフは、今やカプリの高級ホテルの総料理長。イタリアンドリームの具現者。
シーフードパスタの原点、アサリのスパゲッティはカンパーニアの名物料理ですが、カンパーニアにはもう1品、有名なシーフードのパスタがありました。スローフードのパスタの地方料理の本、『パスタ・フォルメ・デル・グラノ』には、こうあります。「有名なパスタは考え出した人が不明なものが多いが、シャラティエッリscialatielliは違う。1978年と最近の発明だが、カンパーニアの伝統食品に登録されている。考案者...
View Articleタコの頭を持って湯に足を3回浸してカールさせ、コルクを入れてゆでるのがナポリ流。理由は謎。
シーフード・パスタの話題、アサリの次はタコです。タコは、ナポリのサンタ・ルチア地区の名物です。タコのサンタ・ルチア風は、サンタ・ルチアの漁師たちの伝統的なタコの調理方法。タコとトマトの水分だけで煮て、煮ている感に出たタコの汁がソースになります。ジューシーなので、パスタのソースにもなります。パンに乗せてクロスタータにしたり、ポレンタにも合います。タコはポルポ・ベラーチェpolpo...
View Article注目度上昇中の地中海のブランドエビ、ガンベロ・ロッソ・ディ・マザーラ。
シーフード・パスタは、貝、タコと軟体動物molluschiのパスタから入って、次は甲殻類crostaceiのパスタへと続きます。軟体動物は背骨がない生き物。貝、タコ、イカなどです。甲殻類は節足動物、エビやカニなど。シーフードパスタの華ですね~。エビ、gamberiは7~10cmの小さなものはgamberetti/ガンベレッイ、15cmほどの大きなものはgameroniはガンベローニと呼びます。イタリ...
View Articleベネチアのスカンピのパスタ
アサリのパスタの話が出たときに、ベネチアの魚市場の話をしましたが、ベネチアならこの店、『ハリーズ・バー』。この本は、哲学的でプライドが高そうなワインメーカーの本と比べると、驚くほど読みやすくて、世界中の人に向けたシンプルなメッセージが明確に伝わる優しい本。魚の章には、こう書かれている。「毎日魚市場に行ってその日の料理のための魚を仕入れるレストランは多い。私(ジュゼッペの息子、アリーゴ・チプリアーニ)...
View Articleイタリアのボンゴレ名人は優しい漁師の知的なシェフだった。RIP・・・
過去の「総合解説」を調べていたら、『ガンベロ・ロッソ』がアサリのパスタ、ベスト10というのを発表していたのを見つけました。07/08年6月号に載っています。かつてはカルボナーラのナンバー1店に選ばれたローマのロッショーリ(店のwebページはこちら)が大ブレイクするなど、何かと影響力の大きな記事です。カルボナーラを始めとする様々なリチェッタを公開した本、『ロッショーリ』ボンゴレの1位に選ばれたのは、リ...
View Articleグラニャーノのパスタはシェフの発想力を引き出し、イタリア料理がフランス料理を超える革命のきっかけとなった。
ボンゴレ名人の1位と2位が同じパスタを使っているのを知って、気が付きました。おいしいアサリを手に入れるのも大事だけど、パスタも大事だ、と。ちなみに二人共、使っていたのはグラニャーノのパスタ。値段が高くても、世界的に強力に支持されているグラニャーノのパスタ。グラニャーノのパスタは他のパスタとは明らかに大きく違う、アルティジャナーレなパスタの傑作。グラニャーノのパスタはなぜこんなに特別なのでしょうか。プ...
View Article復活祭の時期になると南伊のパスティッチェリアに登場する超絶可愛いマジパンの子羊。中にはピスタチオペーストが詰まってます。
イタリアからカーニバルの話を聞かなくなって、季節感がずれている印象がありましたが、4月になって、今年の復活祭いつだっけ、もう終わったような・・・、なんて思っていたら、今年は4月4日なんですね。ちなみに、今は来週の「総合解説」7/8月号の発売に向けてラストスパートの最中なので、気分はすっかり夏でした。今日から4月。ボンゴレから、復活祭モードに切り替えます。復活祭はもちろん、キリストの復活を祝うキリスト...
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