野菜、魚介、鶏、和食と、アドリア海から日本まで、どんな料理でもござれなのはチーズじゃなくてワインのペコリーノ。アルべレッロ仕立ての甘いぶどうは移牧の羊たち...
今日のお題は今月のワイン、“ペコリーノpecorino”です。チーズじゃなくてワイン。マルケ南部やアブルッツォのぶどう品種で、山の幸にも海の幸にも両方に合う白ワインとして最近注目度が上がっているワインです。30年前、最初にこの品種に注目したのは、グイド・コッチ・グリフォーニというカンティーナ。マルケのテヌータ・グイド・コッチ・グリフォーニ。ペコリーノは歴史の古い品種だが、脚光を浴びて栽培が盛んになっ...
View Articleシチリアのカターニア風カリフラワーのアッフォガートは、ただゆでるんじゃなかった。こんなカリフフラワー料理見たことない。カリフラワーはシチリアの紫カリフラワー。
魚にも野菜にも肉にも地中海料理にも和食にも合う、と宣言しているワイン、ペコリーノ。今月の(CIR)の記事にはお勧め料理が3点載っていますが、(P.53)海の幸と山の幸を組み合わせたモンテ・エ・マーレな料理だったり、鶏肉とカリフラワーのフリットや、チェーチとラルドのキタッラなど、農家風で、かつワインが進みそうな1品でした。モンテ・エ・マーレな料理はイカのリピエーニ。典型的な地中海料理です。下の動画は基...
View Articleひよこ豆のキタッラは、ひよこ豆サイズのミートボールのソースが定番。ならひよこ豆のソースもいいかも、とこの地方の主婦が思ったとしても不思議じゃない。
ワインのペコリーノに合う料理、3品めはペコリーノの産地、マルケとアブルッツォの名物パスタ、キタッラです。定番のソースは子羊のラグー(リチェッタはP.54)。羊の移牧が行われている地方にふさわしいソースです。そして今月の(CIR)で紹介しているのは、ひよこ豆とラルドのソース。羊飼いがいない地方でもできて、一段と農家風のパスタです。子羊のラグー。イタリア料理でひよこ豆のパスタと言う場合、そのベースはパス...
View Article重労働の農民やローマの兵士にとって、動物性タンパク源は、古代から第二次大戦後まで、常に不足していた。イタリア料理入門、サルーミ。
今月はガチョウの話をだいぶした印象です。牛や羊の話もしましたが、今月のもう一つのテーマ、生ハムの産地でもある“エミリア・ロマーニャ地方”で大切なのは、豚です。この地方では豚のことを、母なる自然と人間の父から生まれる田舎の宝石と呼んでいます。特にエミリア・ロマーニャ地方では、豚は130kg以下の“軽い”タイプと、サルーミ用になる170kg以下の“重い”タイプがいます。腸詰め以外にも、ロースト、煮込み、...
View Article北イタリアではサルーミ用に豚を大きく育てる飼育方法が普及していたので、牛や子牛のヒレと同じくらい豚のヒレ肉料理も普及した。その立役者はアルトゥージ。
サルーミは、イタリアの恵まれた気候とイタリア人の職人気質から生み出されるイタリアの田舎の宝石。今日は、豚肉料理の話。まずはヒレを1本使う料理、ミルク煮。ヒレは牛でも豚でもフィレットfiletto。背骨の中央部分で、ほとんど運動しない部位なので、柔らかくてとても上質の部位とされています。一般的にヒレと言えば牛や子牛料理の部位ですが、北イタリアではサルーミ用に豚を大きく育てる伝統があるので、北イタリアで...
View Articleステーキのグリーンペッパー風味のこしょうの刺激が苦手な人は、こしょうの選び方を変えてみるほうがよいかも。
今日は肉料理の話。ゲルマン系の豚のもものビール煮から地中海風のポークチョップ、豚のブラチョレットまで紹介しましたが、次はフランス系の子牛のステーキのグリーン・ペッパー風味です。カルロ・クラッコシェフがこの料理にまつわる自身の思い出を本の中で語っていました。カルロ・クラッコシェフの過去の経験を語った面白い本、『クールにしたいならエシャロットを使う』です。本では、子牛のヒレ肉料理についてのこんな体験が語...
View Articleアルプスは移牧の地。牛やヤギはチーズのために飼育された。同じ牛乳のチーズでもポー河流域とアルプスの山の上では世界線が違う別世界。
今年に入って、『クチーナ・イタリアーナ』誌でベル・パエーゼという連載が始まっています。イタリア各州の食文化を紹介する記事です。20ある州を毎月、4、5州ずつピックアップしています。2月号ではヴァッレ・ダオスタ、カンパーニア、ラツィオ、リグーリアを取り上げていましたが、毎月各州を一言で言い表わすようなサブタイトルがついています。ヴァッレ・ダオスタのことは、若者の移住が多い人気の地方、と説明していました...
View Articleヴァッレ・ダオスタのライムギは、今ではほとんど栽培されていないが、古代小麦のような遺伝子操作や品種改良がおこなわれていない超貴重な穀物になりつつある。
ヴァッレ・ダオスタの料理はアルプスの料理。フォンティーナチーズやバターが欠かせない。高原でのバター作り。夜明け前の暗い中で作っているバターは豆腐みたい。そしてライ麦パンマグカップは銅製。イタリア人にとってもこの地方の食文化は古代から特殊だった。ライ麦パンは年に1、2回しか焼かないパン。この地方は小麦じゃなくてライ麦が食文化のベース。寒い山の上でも育つライ麦ですが、そもそも、食物が育ちにくい山の上で、...
View Articleポンペイの遺跡から発掘されたテルモポリウムは9世紀のテイクアウト店。レベル高すぎです。当日の売上金も出てきました。すごく繁盛していたようです。
今月のCIRの各州のグルメガイド、次はカンパーニアです。最初に話題にしたのが、ポンペイの遺跡です。西暦79年のヴェズビオ山の大噴火の火砕流によって埋もれてしまった街、ポンペイ。そしてナポリは標高1281mのこの山の麓の街。街にいると、たいていどこからでもこの山に見下ろされています。ヴェズビオ山。ポンペイは、ローマの植民都市として栄華を誇っていましたが、一昼夜にして埋もれてしまったため、当時の姿がその...
View Article全ての道はローマへ続くけど、ローマの外へは続かない。宝が豊富な州だけど、全然知られていない、と言いたかった。
今月のイタリアの州の観光ガイド、3番目の州はラツィオです。一番最初に、すべての道はローマへと続く。と例の有名な格言が語られていて、ローマというのはイタリア人にとって至高の存在なんだと考えさせられますが、この記事はイタリア人が書いているものです。なので強烈な皮肉がおちとして待っています。それは、すべての道はローマへと続くけど、ローマの外へは続いていない、というもの。ラツィオは豊かな州ですが、あまりにも...
View Article(CIR2021年3月号)発売しました。
そういえば、今年の復活祭は先日の日曜日、4月9日でした。今年もキリスト教徒のみなさんは楽しそう。カラブリア州のビーボ・バレンティアという町の復活祭の様子。住民総出か?...
View Articleノンナの料理には人生の物語と家族への愛情が詰まっている。かなり大雑把で材料をきっちり図るおばあちゃんはいない。
今日から3月のリチェッタです。日本語訳は(CIR)3月号P.2~。今月のテーマは《ノンナの料理》、つまりおばあちゃんの料理です。ポイントは、マンマの料理じゃなくて、ノンナの料理、というところ。ノンナは、孫に取ってはいつも何か食べた?と尋ねてくれる愛情にあふれた存在。その料理には背後に必ず何かしらの物語があり、母方が代々受け継ぐ遺産のようなもの。オシャレで今時な食材は一切使わず、流行に流されず、正確に...
View Articleほとんどのアメリカのおばあちゃんは移民としての大冒険を経験している。そして故郷の味を愛情と一緒に孫たちに伝えた。
CIR2021年3月号のリチェッタ、2品目は、palline di...
View Articleピスタチオと言えばエトナ山の麓ブロンテ産が有名。ピスタチオはカッッサータやジェラートと共にアラブから伝わった。では、シチリアのドルチェに欠かせないアーモン...
今日のおばあちゃんの料理は、“モルタデッラとピスタチオのプラムケーキ。”リチェッタはCIR2021年2月号P.3。この料理のおばあちゃんのエピソードは、「料理が趣味の母が祖母のレシピノートから見つけた料理」、とあります。プラムケーキとはパウンドケーキのこと。おばあちゃんに関する情報は何もありません。材料を混ぜて型に入れて焼くだけのとてもシンプルな料理で、ケーキとは言っても甘くないケークサレです。シン...
View Articleコーヒーにのせるホイップクリームもビスコッティにのせるピスタチオも山盛りにするのが一流の流儀。
ピスタチオの話に戻ります。ビスタチオ全体のわずか1%でしかないブロンテ産ピスタチオですか、この貴重なピスタチオが何に使われているかというと、ジェラートです。イタリア人は年間一人当たり15㎏のジェラートを食べているそうですが、600種類もあるジェラートのフレーバーの中で、特に人気なのが、チョコレート、ヘーゼルナッツ、レモン、ストロベリー、クリーム、ストラッチャテッラ、そしてピスタチオの7種類です。最近...
View Articleバーニャカウダはゆっくり加熱し、沸騰はさせない。昔はソース入りのテラコッタの鍋を炭火で温めた。
今日のノンナの料理は、バーニャ・カウダです(リチェッタはCIR3月号P.4)。イタリア料理を代表するソースですが、このソースはどこの地方のものでしょうか。ヒントは料理の最後にあります。この記事は、イタリアの老舗月間料理雑誌『クチーナ・イタリアーナ』誌の編集部員たちのおばあちゃんの料理にまつわる思い出と料理を集めたもの。バーニャ・カウダには「トリノ人と結婚した祖母が厳格なリチェッタで作っていた料理。軽...
View Articleミラノ人が1513年のノバーラの戦いで敵のフランス人を精一杯侮辱した言葉が“チコーリア”。ストレスで溜まった肝臓の老廃物を出すためにチコリ茶を飲んでいたか...
今日のお題はチコーリアです。(CIR2021年3月号P.17~)を参照ください。この記事は、旬の食材を酸っぱいagroと苦いamaroに分けて紹介する記事。酸っぱいの代表はレモンで、苦いの代表がチコーリアでした。レモンはアマルフィの名物としても知られる地中海をイメージする果実。アマルフィのレモン。チコーリアは、ベルギーチコリという名でも知られ、オランダから半世紀前にイタリアに伝わり、すぐに広まった野...
View Articleチコーリアはラツィオを始めとする中央イタリアで大人気の野菜。パンとの相性も良い。ちなみに種まきは下弦の月、収穫は上弦の月の期間が適しているそうです。
春のほろにが野菜、肝臓に効くチコーリアの話、続けます。芽を食べるチコーリアの代表格、プンタレッレ。カタローニャチコリの芽です。ローマの名物野菜として知られています。カタローニャの下処理。大きな塊の外側の葉を外すと出てくる芽の塊。これを土台から外して薄く切って氷水に45分ぐらいさらして苦さを消すとともにカールさせたものがプンタレッレ。ローマのプンタレッレの定番ソースは、アンチョビ、にんにく、オリーブオ...
View Articleプーリア料理は食材にあまり手は加えず、自然な味と香りを引き出す。大地との結びつきが強い料理だ。そのエッセンスはオリーブオイル。
バーニャ・カウダの話からずいぶんそれてしまいましたが、そもそも今月のリチェッタは、ノンナの料理の話でした。プリーモ・ピアット1品目は、チーメ・ディ・ラパのニューディです。リチェッタのエピソードによると、おばあちゃんから教わった数少ない料理の一つなのだそうです。私は田舎が遠くて、おばあちゃんとは滅多に合ったことなかったし、ましてや料理を教わる機会なんてなかったけど、おばあちゃんから教わったこの料理の、...
View Article今日の料理はほうれん草の料理。フィレンツェからフランスに伝わって国際的な料理になった、ということは、例のあの人がからんでますね。。
今月のCIRのリチェッタ、プリーモの1品目は“チーメ・ディ・ラパのニューディ”です(リチェッタはP.5)。今日のお題は、ニューディgnudiです。あ、この言葉は人前で検索しないように電車の中とか、要注意。念の為。この料理はトスカーナ料理です。そこでおなじみのトスカーナ料理の傑作本、『トスカーナ・ディ・ルフィーノ』を見てみると、こんなことが書いてありました。ニューディgnudiはヌードnudiという意...
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