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Channel: イタリア料理ほんやく三昧
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クイリナーレ宮殿

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朝、テレビを見ていたら、今日、6月2日は共和国記念日でイタリアでは祝日だと言っていました。
そこで、今日のお題は、今月の「総合解説」で取り上げている“大統領の厨房”の記事についてに急遽変更。

まず、記事は2013年の話です。
当時の大統領は、ジョルジョ・ナポリターノ氏。
その名の通り、ナポリ出身の人でした。
彼は2015年1月に辞任し、現在はパレルモ出身のセルジョ・マッタレッラ氏が大統領。

ちなみに、ナポレターノ大統領時代の総料理長、ファブリツィオ・ボーカ氏は、大統領が変わったからといって一緒に首になることはなく、新大統領の元でもシェフをしています。
彼は料理学校卒業後、国の内外のスタージュを経て、23歳の時からずっとクイリナーレ宮殿勤めで歴代大統領の料理を作ってきた人。

9年間大統領を務めたナポレターノ大統領は、ナポリ出身だけあって、オーソドックスなトマトのスパゲッティが大好物でした。
こちらのページのインタビューによると、大統領のトマトのスパゲッティには国産の3種類のトマトを使ったそうです。
オイルやにんにくの産地も決まっていました。
パスタはグラニャーノのパスタをチェルヴィアの塩を加えた湯でゆでました。
パスタに散らすパルミジャーノは38ヵ月熟成のもの。

イタリアの大統領官邸は、ローマの7つの丘のうち一番高いクイリナーレの丘にあるクイリナーレ宮殿です。

下の動画は1月7日の国旗の日のクイリナーレ宮殿の儀仗兵交代。
規律正しくきちっと整列して、一糸乱れぬ胸甲騎兵の行進。

黒い馬と金色の甲冑、兜のポニーテール、美しすぎる。
今日も行われますよー。
 ↓


あの兜はこうなってます。
ドラゴンとたてがみの兜というデザイン。
 ↓
Elmo da corazziere con dragone e criniera


入隊資格は身長190㎝以上。
なのでこの身長差。

Dina e Daniela con il Corazziere



コラッツィエーリ(胸甲騎兵)を初めて見たときは、あまりにかっこよくて異次元の生物のようでドキドキしたなあ。





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“大統領の厨房”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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ブレーメの玉ねぎ

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今日はイタリア便りです。
それではSegnalibroさん、お願いしまーす。

ブレーメのパドリーノに会いに行こう、と急に相方が言い出しました。
パドリーノとは、洗礼式の時に立ち会い証人になってもらい、一生のお付き合いをお願いする大事な人。辞書には、教父、代父とあります。
彼のパドリーノとマドリーナは、両親の友人ご夫婦。子供の頃、毎年パスクアの時期には、びっくりするほど大きな卵チョコをプレゼントしてくれたのだそうです。
マドリーナは10年前に亡くなってしまったのですが、来年80歳を迎えるパドリーノはご健在。二回り歳の離れたルーマニア人の妻迎え、まだまだ人生を謳歌しています。
たまには顔を見せに来なさい、と直球では言いませんが、最近スマホの操作を覚えたらしく、毎朝欠かさず画像付きのメッセージを送って来るので、数年ぶりに会いに行かなければならないと思ったようです。
ブレーメって、ブレーメンの音楽隊のブレーメン?ドイツ??
と思ったら、ドイツのブレーメンはイタリア語でBrema。パドリーノの住むBremeはロンバルディア州パヴィア県にある、人口約800人のとってものどかな町でした。
この町の名物は赤玉ねぎ。毎年6月の第2、3日曜には、ブレーメDe.C.Oの赤玉ねぎ祭りが行われます。(写真はすべてお借りしています)

Sagra di cipollarossa di Breme

De.C.Oという言葉を初めて聞きましたが、これはDenominazione Comunale di Origineの略。
地方自治体がお勧めする、その土地に由来するプライベートブランドで、原産地呼称を名乗りますが、DOPなどとは異なり、商標として流通する名称ではないのだそうです。
玉ねぎがイタリアにやってきたのは、おそらくギリシャローマ時代。当時は薬として使われていたようです。
役場のホームページによると、ブレーメDe.C.Oの赤玉ねぎの起源は西暦906年。ピエモンテのノヴァレーザ修道院からやってきた修道士達が肥沃なこの地をたいそう気に入り、耕作を始めたのだそうで、ブレーメの赤玉ねぎは2008年6月からDe.C.Oを名乗っております。

medioevo

イタリアで赤玉ねぎというと、真っ先に思い浮かぶのがカラブリア州トロペアの赤玉ねぎですが、ブレーメの赤玉ねぎは、ちょっと押し潰したようなこんな形をしています。

Cipolle rosse di Breme

パヴィア大学やミラノ大学、ボローニャ大学にトロペアとの違いを科学的に分析してもらったところ、両者はとてもよく似ているけれど、ブレーメの玉ねぎの方が甘味があるという結果が出たのだそうです。
さて、このお祭りでは前菜からドルチェまで、ブレーメの玉ねぎをふんだんに使ったお料理が振舞われますが、一番人気はおそらくこちら、PRIMAVERA Pizza Bremeseブレーメ風、春を感じる本物のピザ。 

pizza Bremese
Pazza Bremese

新玉ねぎを使ったピザ、これはおいしいに違いありません。
これはぜひ行かなければと思ったら、パドリーノは今年、ルーマニアへバカンスに出かけてしまい不在。来年以降に持ち越しです。
ブレーメの赤玉ねぎは、全国テレビのグルメ旅番組の取材も受けているそうです。

Breme on TV

イタリアのグルメ番組の好きなところは、レストランではなく、おいしい生産者への取材が主であるということ。何がどこでどのように作られるのかが分かって、とても面白いです。
ブレーメの回、見逃しているからネットで探さなきゃ!


Segnalibroさん、Grazie。
パドリーノにマドリーナ、素敵な習慣ですね。
親戚のおじさん、おばさんとサンタクロースが一緒になったみたい。


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古代小麦

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今日は、ブログでも度々取り上げている古代小麦の話です。

やはり、イタリア料理を語るときに小麦は避けては通れません。
中でも、古代小麦の歴史は興味深いものです。
『サーレ・エ・ペペ』の記事によると、1世紀前まで栽培されていた小麦品種は400以上あったのに
今知られているのは10品種以下という現実に、ちょっとびっくり。
そしてこれだけ品種が減った大きな原因は、1940年代の“緑の革命”の影響だそうですよ。
緑の革命って、学校でも教わるそうですが、完璧に忘れていました。
収穫量が多くて機械化に適した、たっぷりの肥料や殺虫剤を必要とする品種を作り出そうとした、とにかく大量生産優先の、今にして思えば、ちょっと信じられない時代があったんですねえ。
それだけ飢餓が深刻だったということです。

こんな品種が優先される時代も生き延びた古代小麦。
オリジナルの姿を残し、穂は背が高く伸び、抗酸化物質、タンパク質、ミネラルが豊富で、グルテンは控えめ。
そんな特徴があります。

記事によると、小麦を硬質と軟質に区別するようになったのは1900年代初め。
軟質小麦の粉は、いわゆる00タイプに分類されている小麦粉。
イタリアの軟質小麦の代表的な古代小麦はジェンティル・ロッソという品種。
1930年代には、イタリアで元も多く栽培されていた品種でした。
天然酵母のサワードウに適しています。
グルテンが少ないのであまりふわふわにはなりませんが、香ばしいパンになりました。

硬質小麦の粉はセーモラ。
南イタリアのパスタの原料です。
代表的な硬質小麦の古代小麦は度々紹介してきたセナトーレ・カッペッリ。

もっとも普及していたのは、粒のまま食べることも多いピッコロ・ファッロ。
この他に、ファッロ・スペルタという品種もあります。
ファッロはエンキルやエインコルンという商品名で流通することもありました。

アメリカ人が名付けたカムットとという古代小麦もあります。
トゥンミニアという硬質小麦の名前も時々聞きます。

現在もイタリアで生き延びている主な古代小麦は、こんなところです。






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“小麦”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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ヴェーラ・ピッツァ・ナポレターナ

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クレアパッソのホームページでも先日ご案内しましたが、品切れ中だったお勧め本、『ファリーナ・アクア・リエビト・サーレ・パッシオーネ』が再入荷しました。
Associazione Vera Pizza Napoletanaの本です。

本を紹介する動画。
 ↓


偶然ですが、今月の「総合解説」 には、この協会の創立30周年の記事を載せています。
『ガンベロ・ロッソ』誌の記事です。
この協会は、1984年に、ナポリピッツァの伝統を受け継ぐことを目的に、17軒の家族が集まって設立されました。
最初は66軒だった会員は、30年後の2014年には、イタリアと世界で合わせて500軒以上になりました。
協会の学校では、イタリア人、外国人合わせて毎年120人以上が学んでいるそうです。

本物のナポリ・ピッツァを広めるために、使わなくてはならない材料を規定し、その製品を保証するために大学の農学部と共同で品質が保証できる農家や生産者のリストを作り、さらに、ナポリピッツァのファンからなるClub Amici della Vera Pizza Napoletanaという消費者のご意見番組織も作りました。
さらには、『ファリーナ・アクア・リエビト・サーレ・パッシオーネ』のような内容の詰まった本を出版して、本物のナポリピッツァを作る秘訣を、惜しむことなく、すべてさらけ出しています。

ナポリピッツァについて熱く語る会員からは情熱とブライドを感じます。
 ↓



ピッツァが世界中に広まるにつれて、オリジナルのアイデンティティーが薄まるのは、ある意味宿命のようなもの。
でも、協会では、ナポリピッツァは地中海の伝統と結びついた食べ物でなくてならないと主張しています。
シーフードのピッツァはOKでも、神戸ビーフのピッツァはノーだそうです。

ところが面白いことに、シンプルで純粋な食材を使うことに慣れていて、品質を上げることに情熱を燃やす日本のような国では、会員は54軒(2014年)で、ナポリピッツァは大いに受け入れられているのですが、脂肪分が多い料理が好まれる国では苦戦していて、ブラジルでは7軒、そしてなんとドイツでは、わずか1軒だそうですよ。
わざわざ高い輸入品を使ってオリジナルの味を尊重するより、自分たちの馴染みの味のものを作るほうがよい、という考えが、世界中でいかに根強いか、明確に分かる数字です。
寿司やラーメンも、放っておくと、どんどん粗悪コピー品が出回るのでしょうね。

ナポリやイタリアのピッツァ業界の活動は素晴らしいと常々思っていたのですが、実は日本は、ナポリピッツァへの理解と受け入れに関しては優等生だったのですね。


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“ピッツァ・ナポレターナ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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ロイ・カゼレスシェフ

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今日は今月の「総合解説」から、現在ローマで最高のシェフとみなされている人の話題です。
『ガンベロ・ロッソ』の2014年の記事です。

その人は、ローマのレストラン、メタモルフォジ(店のwebページはこちら)のロイ・カゼレスシェフ(facebookはこちら)です。

彼はボゴタ生まれのコロンビア人。
母親と一緒にイタリアにやってきて、20年前に皿洗いから始めて、39歳の現在はミシュラン1つ星。


ポルチーニとヘーゼルナッツの蓋つきリゾット
 ↓


カーチョ・エ・ペペ
 ↓



なるほど、都会に住むイタリア人が好きそうな料理だなあ。

ギミック、禅、ミニマリズム、未来感、こんな言葉が浮かんできます。
偉大な過去を持つ保守的な国では、こういうことを伝統料理に取り入れる勇気のある人があまりいなくて、そのアプローチが知的でスマートだと、大いに尊敬されますよね。

加えて彼の情熱的で勉強熱心な人柄。
これは批評家筋に愛されそうな料理です。

「総合解説」には彼のリチェッタを何点か載せました。
そこそこ複雑なリチェッタでしたが、特徴は、なんでもミキサーやバーミックスで攪拌することでしょうか。
この料理は、ミキサーにかけた牡蠣と、にんにくと唐辛子のソッフリットでスパゲッティをマンテカーレて、オーブンで乾燥させてミキサーにかけたムール貝の粉を散らした一品です。

今月の「総合解説」では、カゼレスシェフとは正反対の料理を作るシェフも紹介しています。
見事に正反対ですよ。
次回は彼の話です。


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“ロイ・カゼレスのパスタ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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フェデリコ・ヴァリチェンティシェフ

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今日は、イタリア料理業界の最先端とは無縁の地方の村を紹介します。
ずばり、バジリカータのポッリーノ国立公園です。

イタリア人でさえ、よく知らないというバジリカータの、国立公園の、標高1000m以上の山の中にあるド田舎、もとい、大自然に囲まれた古くて素晴らしい集落です。

この村までたどり着くには、道なき道を、困難を乗り越えて進まなくてはなりません。
このド田舎、もとい、まだ人に知られていない美しい村、テッラノーヴァ・デル・ポッリーノで
一番有名な店(褒めてます)が、今回紹介するシェフの店、リストランテ・ティピコ・ルナ・ロッサです。

テッラノーヴァ・デル・ポッリーノ
 ↓


なかなか素晴らしいところですね。
でも、とにかくここまでたどり着くのが大変な場所で、道の終着点のような場所なんだそうですよ。
なので、この店にやって来た人は、それだけでもう奇跡のような選択をしたと言うことができそう。

この地方は、よそ者がなかなかよりつかない場所だけに、何世紀たっても伝統が変化することなく受け継がれてきました。
人が来ないということは物流もないということで、山の中にあるので、手元にあるだけの食料で冬を生き延びなくてはならないという厳しい環境でした。
なので、あるものを工夫する知恵が伝統料理の根底には流れています。

バジリカータの人と料理
 ↓



一般的なイタリア料理からイメージする明るくて豊かな地中海のイメージはありませんが、現代人がとっくの昔に忘れてしまった農家の家庭料理そのものです。

流行や変化と無縁だったから、お母さんやお祖母さんから教わった料理を、娘たちは何の疑問もなく受け継いできたんだろうなあ。

リストランテ・ルナ・ロッサのフェデリコ・ヴァリチェンティシェフのリチェッタは、「総合解説」に日本語訳を載せましたが、こんなに素朴でストレートなリチェッタは、初めて見ました。

でも、どうやら村で一番のシェフは、村で一番の有名人のよう。
わざわざ旅をして毎年食べにくるというファンもいるし、
彼の店は南イタリア料理の大聖堂だとか、一生に一度は食べるべきだという人もいます。
 ↓



豚肉とキノコのソテーを作るシェフ。
知識の豊富さはすごいです。




バジリカータにはあなたのまだ知らないイタリア料理があるかもしれません。


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“フェデリコ・ヴァリチェンティ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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カルロフォルテのマグロ料理

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今日は今月の「総合解説」から、最も印象に残ったパスタの話。

「マグロの島、カルロフォルテ」の記事の“サルシッチャとマグロの赤身のロリギッタス”です。

個性的なパスタが多いサルデーニャの、予想の斜め上を行く意外な形のパスタ。
生地を細長く伸ばすところまでは普通のパスタの作り方ですが、そこから先が個性的。
 ↓



乾麺でも使うのかと思ったら、リチェッタは麺を手作りするところから始まりました。
そしてこれが意外と簡単。
出来上がりは、サルデーニャの家庭料理の濃厚な香りが漂ってきそうなパスタです。

で、今回は、サルデーニャのマグロの島、カルロフォルテの料理として紹介されているリチェッタなので、当然マグロが入っています。
マグロのパスタなんて珍しいなあ、と思ったのですが、数々のマグロ料理のリチェッタを訳しているうちに、複雑な気持ちになりましたよ。

私たちが知っているマグロ料理とは、まったく違うのです。
何しろ、一昔前まで、島で水揚げされたクロマグロの美味しいところは、全部日本に輸出されていたのです。
島のマグロの食文化は、日本人が買わない、つまり、食べない部位を、いかに美味しく食べるか、という工夫からすべてが始まっているのです。
日本人が食べないマグロの部位って、どこだと思います?
マグロの内臓や尾、または赤身のオイル漬けや塩漬けの干物です。

例えば、干した胃袋はベルと呼ばれています。
マグロのトリッパなんていうのもあるんですねえ。
マグロの内臓の中ではなかなかの珍味と言われているらしいですよ。
じゃがいもと一緒にトマトや白ワインで煮ます。
イタリアンだと、こうくるかあ的な感じでなかなか美味しそう。

カルロフォルテ風という名前が付いたマグロのローストは、尾の身を厚さ1㎝の筒切りにして油で揚げ、にんにくとローリエを熱した油と白ワインで香りづけし、トマトソースとビネガーを加えて柔らかくなるまで煮る、というもの。
尾にはコラーゲンが豊富に含まれているそうなので、尾の筒切りの大きさからしてなかなかゴージャスな一品になりそう。

新鮮な中トロや大トロといった部位に適した調理方法というのももちろん知られていますが、その他の部位は、手の込んだ自家製オイル漬けにすることも多いようです。
 ↓



ロリギッタスに使うマグロも、ボッツォナッリアと呼ばれるオイル漬けです。
白いんげんと一緒に煮込んでファジョラータにするそうです。
ファジョラータはラテン系の国々の定番家庭料理。
日本のお母さんは思いつかないだろうなあ。




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“マグロの島、カルロフォルテ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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ヴォルトリのフォカッチャ

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今日は今月の「総合解説」で、“野菜畑でリグーリア風プランゾ”というメニューを紹介しているリグーリアの農家の春の伝統料理の話です。

それにしても、北イタリアの大都市在住の人たちって、リグーリアが大好きですね。
冬が終わって、ぼちぼちあったかくなるかなあ、そろそろ春だなあ、って季節になると、一斉にリグーリアに興味が湧き始めて、料理雑誌がリグーリア特集で埋まります。

ミラノなど、北イタリアの人にとって、一番身近なリゾート地が、リヴィエラことリグーリアなんでしょうねえ。
関東人にとっての伊豆や熱海ってところでしょうか。

カモッリの港
 ↓
it2340.JPG

熱海
 ↓
Atami

イタリア料理の世界でリグーリアがこれだけ注目を浴びるのは、早春から春の間。
夏になると、とたんにビーチリゾートに関心は移ります。

では、リグーリアの春を満喫できるリグーリアの農家で作りそうなごはんとは、どんなメニューでしょうか。
正直言って、始めて聞くような知らない料理ばかりでした。

まずは、ピッツァ・ジェノヴェーゼこと“マケトゥーザ”。
ズッキーニ、玉ねぎ、チェリートマト、タッジャスカオリーブと、カラフルな野菜をトッピングしたピッツァ。
マケトゥとはアンチョビのこと。
生地にアンチョビペーストを塗ってから野菜をのせれば、あっと言う間にマケトゥーザ。

パスタ・シャンカは、アスパラガス、セロリ、ポロねぎ、にんじんなどの野菜とにんにくのクリームの野菜のパスタ。
シャンカとは不揃いに切ったという意味。
ラザーニャ用のパスタを不揃いに切れば完成。

リグーリアの春を象徴するような一品、フィオーリ・ディ・ズッカのリピエーナは、ゆでて潰したじゃがいも、カプリーノ、粗みじん切りのズッキーニ、卵、パルミジャーノの詰め物。
オーブンで焼きます。

これに添えるのはヴォルトリのフォカッチャ。

一般的にフォカッチャと言うとイメージするジェノヴァ風フォッチャとの違いは、生地を薄~く伸ばすということ、打ち粉がとうもろこしの粉ということ。
生地の材料は00タイプの小麦粉、水、塩、生イースト、オリーブオイル。
外はカリッとしていて中はしっとり。



このフォカッチャ、ジェノヴァの西の端にある町、ヴォルトリの、プリアノというパスティッチェリーアが考え出して、リヴィエラ中に広まったフォカッチャです。
なので別名、プリアノのフォカッチャ。
店のwebページはこちら
ジェノヴァの人も買いに来る大人気のフェカッチャです。




プリアノは1964年開業。
フォカッチャを考え出したのは、現経営者の父親。
家庭の味を商品にしたそうです。

食べてみたい・・・。



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“野菜畑でリグーリア風プランゾ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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ヴォルトリのフォカッチャ

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今日は今月の「総合解説」で、“野菜畑でリグーリア風プランゾ”というメニューを紹介しているリグーリアの農家の春の伝統料理の話です。

それにしても、北イタリアの大都市在住の人たちって、リグーリアが大好きですね。
冬が終わって、ぼちぼちあったかくなるかなあ、そろそろ春だなあ、って季節になると、一斉にリグーリアに興味が湧き始めて、料理雑誌がリグーリア特集で埋まります。

ミラノなど、北イタリアの人にとって、一番身近なリゾート地が、リヴィエラことリグーリアなんでしょうねえ。
関東人にとっての伊豆や熱海ってところでしょうか。

カモッリの港
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it2340.JPG

熱海
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Atami

イタリア料理の世界でリグーリアがこれだけ注目を浴びるのは、早春から春の間。
夏になると、とたんにビーチリゾートに関心は移ります。

では、リグーリアの春を満喫できるリグーリアの農家で作りそうなごはんとは、どんなメニューでしょうか。
正直言って、始めて聞くような知らない料理ばかりでした。

まずは、ピッツァ・ジェノヴェーゼこと“マケトゥーザ”。
ズッキーニ、玉ねぎ、チェリートマト、タッジャスカオリーブと、カラフルな野菜をトッピングしたピッツァ。
マケトゥとはアンチョビのこと。
生地にアンチョビペーストを塗ってから野菜をのせれば、あっと言う間にマケトゥーザ。

パスタ・シャンカは、アスパラガス、セロリ、ポロねぎ、にんじんなどの野菜とにんにくのクリームの野菜のパスタ。
シャンカとは不揃いに切ったという意味。
ラザーニャ用のパスタを不揃いに切ってゆでれば完成。

リグーリアの春を象徴するような一品、フィオーリ・ディ・ズッカのリピエーナは、ゆでて潰したじゃがいも、カプリーノ、粗みじん切りのズッキーニ、卵、パルミジャーノの詰め物。
オーブンで焼きます。

これに添えるのはヴォルトリのフォカッチャ。

一般的にフォカッチャと言うとイメージするジェノヴァ風フォッチャとの違いは、生地を薄~く伸ばすということ、打ち粉がとうもろこしの粉ということ。
生地の材料は00タイプの小麦粉、水、塩、生イースト、オリーブオイル。
外はカリッとしていて中はしっとり。



このフォカッチャ、ジェノヴァの西の端にある町、ヴォルトリの、プリアノというパスティッチェリーアが考え出して、リヴィエラ中に広まったフォカッチャです。
なので別名、プリアノのフォカッチャ。
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ジェノヴァの人も買いに来る大人気のフォカッチャです。




プリアノは1964年開業。
フォカッチャを考え出したのは、現経営者の父親。
家庭の味を商品にしたそうです。

食べてみたい・・・。



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“野菜畑でリグーリア風プランゾ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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レッチェのパスティッチョット

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今日はプーリアはレッチェのお菓子の話。
『ア・ターヴォラ』の記事です。

そのドルチェは、パスティッチョット。
 ↓
antonioquarta01


何のひねりもない、素朴なカスタードタルトです。
レモン風味のカスタードクリームが詰まったタルト。

でもこれが、「サレント半島で一番愛されているドルチェ」なんです。

私も初めてレッチェに行った時、この町の名物ドルチェはパスティッチョットだというこどたけは知っていたので、パスティッチェリーアに立ち寄った時、早速注文してみました。

ところが、店のショーケースには、華やかで美味しそうなパスティッチェリーアが一杯並んでいて、よりによって、茶色いタルト生地に覆われたパステッチョットは、その中では2番目に地味に見えました。
正直に言うと、期待していた分、テンションが少し下がりました。

ちなみに一番地味だったのはコトニャータです。
プーリアのホテルの朝食にもよく出てくる超甘~いマルメロのジャムです。
一般的に、この写真よりもっと黒ずんだ、羊羹のような色をしています。

fatta in casa





まあ、確かに素朴であったかいドルチェで、プーリア人気質にはぴったり合いそう、と思ったのですが、この地方の名物になるほどのものかなあという思いも片隅にはありました。
でも、『ア・ターヴォラ』の記事を読んで、その由来を知って、納得しました。

そもそもこのドルチェは、1745年6月29日に、レッチェ県のガラティーナという町のパスティッチェリーア・アスカローネという店で考え出されたのだそうです。
しかも、商品としてではなく、有名な聖人の祝日に、店にやってくる客や通行人に無料でふるまうために作ったのだそうです。
店はそんなに儲かっていなかったらしくて、ゴージャスな材料は使えません。
パスタ・フロッラの切れ端に残り物のクレーマ・パスティッチェリーアを詰めて小さな型で焼き、まだ熱いうちに配ったのだそうです。

焼き立ての温かい無料のパスティッチェリーアって、人の心に染みるのですね。
しかも、人一倍情に厚いプーリアの人たちになら、大歓迎されたことでしょう。
一番美味しいでも、一番人気でもなく、一番愛された、という形容詞がまさにぴったり。

パスティッチョットの考案者、ニコラ・アスカローネの店、パスティッチェリーア・アスカローネは、今もあります。
 ↓



271年前に考え出されたドルチェが、今では町の名物になって町の外から来た人の心にも、レッチェの思い出として染み込んでいっています。


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“レッチェのパスティッチョット”の記事とリチッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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マルサラ、マザーラ・デル・ヴァッロ

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今日は、今月の「総合解説」のグルメ旅の舞台、マルサラからシャッカへの旅のビジュアル解説です。

まずはマルサラ。
マルサラに行ったら、当然、酒精強化ワインのマルサラを飲もう、と思う訳ですが、イタリアの人にとっては、お酒よりもっと重要なことが、このマルサラにはあるのです。
さて、なんでしょう。

それは、マルサラは、イタリア統一が始まった場所、というまじめな歴史の話。

1560年5月11日、ガリバルディと彼の赤シャツ隊がシチリア島の西の端にあるマルサラに上陸して、両シチリア王国に対する反乱が起きたパレルモを目指します。

毎年、5月11日には、ガリバルディのシチリア上陸を記念するお祭りが開催されます。
 ↓


さらに、現在、マルサラで一番注目されているワインの作り手は、マルサラ酒の作り手ではなく、1975年生まれの若手、ニーノ・バッラーコ氏。
 ↓



彼のカンティーナのwebページはこちら
マルサラを代表する白ぶどうでマルサラにも使われるグリッロ100%のワインなどを造っています。


さらにもう一人の若手をご紹介。

マルサラのリストランテ・レ・ルミエのエマヌエーレ・ルッソシェフです。

「総合解説」ではまだ30歳にもなっていないと紹介していますが、店のwebページによれば、彼は1983年11月生まれなので現在32歳。
 ↓



マルサラから海岸沿いに南にあるマザーラ・デル・ヴァッロはこんな町。
 ↓


新鮮な魚が美味しそうで、人がよさそうな漁師町ですね。

マルサラから海沿いに北に行く、トラパニ、パレルモコースはよくありそうですが、南に行って、マザーラ、シャッカと回るのも面白そうですよ。

マザーラとシャッカの間には、遺跡で有名なセリヌンテがあります。
ここはギリシャの植民都市でした。

イタリア料理は、ギリシャとアラブから多大な影響を受けていますが、この遺跡を見ると、ギリシャの痕跡が実感できますね。
ちなみにアラブの名残はパレルモに、色濃く刻まれています。

ギリシャから伝わったものの代表はオリーブとワイン。

「総合解説」では夕暮れ時のセリヌンテ遺跡を見た後、東のメンフィに向かい、リゾート・プラネタ・エステイトで、夕食を取ることを勧めています。

シチリアの有名ワイナリーのプラネタが経営しているぶどう畑の中にあるワインリゾートホテルです。
webページはこちら

プラネタの最高ヴィンテージを味わうことができるそうですよ。




ワイナリーがリゾートホテルを経営する時代なんですね。
料理教室まであって、楽しそう。
ここを目的に旅してもいいなあ。

シャッカへの旅、まだ続きます。
次はパンが名物の町の話です。



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“マルサラからシャッカへの旅”の日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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カステルヴェトラーノのパーネ・ネロ

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今日はマルサラからシャッカへの旅の続きです。

ギリシャの遺跡があるカステルヴェトラーノで、ギリシャ人がイタリアに伝えたもののことを考えながら、有名カンティーナ、ブラネタのリゾートホテルでワインを試飲したら、次は、パンが名物の町、カステルヴェトラーノへ行きます。

地元品種のマルツォーロ、別名トゥンミニーアという硬質小麦を、石臼で挽いた全粒粉と
天然酵母の生地を、剪定したオリーブの小枝で焼いたパン。
スローフードの保護食材。
トンマーゾ・リッツォのパーネ・ネロは、一生に一度は食べておきたいパン、だそうですよ。

シチリアに小麦を伝えたのはギリシャ人。
セリヌンテのすぐ隣にあるカステルヴェトラーノの地元の小麦なら、きっとギリシャ人が伝えた古代小麦ですね。




トンマーゾ・リッツォ氏のパーネ・ネロ
 ↓



店のwebページはこちら


そしてこのパンと相性が抜群なのが、カステルヴェトラーノのもう一つの名物、エクストラヴェルジネのオイル、オーリオ・ヴェルデ。
 ↓



そして最後の町、シャッカ。
ここの名物はグラニータとイワシのコラトゥーラ。
コラトゥーラはチェターラだけじゃないんですね。

そしてグラニータのマエストロと言われる個性的な店主がいる名物店が、バール・ローマ。
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マルサラから、ギリシャがイタリアに伝えた小麦、ワイン、オリーブを満喫して、グラニータで締める旅も、のんびりしていていいですね。

店の詳細は「総合解説」をご覧ください。


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“マルサラからシャッカへの旅”の日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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マテーラの美味しいもの

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今日は、今月の「総合解説」のもう一つのグルメ旅ガイド、マテーラのビジュアル解説です。

マテーラは、南イタリアの有名観光スポットだけあって、観光ガイドの記事もしょっちゅう見ます。
改めて今更語ることもないかなあとも思うのですが、今回は食の分野に絞ってみました。

マテーラでなくては食べられないもの。
まずは地元産の硬質古代小麦から作るパーネ・ディ・マテーラ。

pane di Matera

マテーラのお勧めパン屋。
パーネ・エ・パーチェ。
店のwebページはこちら




次は半野生状態で飼育するポドリカ牛のミルクのブッラータ。
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こうやって放牧されている南伊特産の貴重な牛もいますが、近代的で大規模な工場で大量生産するチーズ工場もあります。
マテーラは、サッシの部分以外は現代的な街。
マテーラのチーズ屋さん。




さらに、オリーブの産地、特に甘いオリーブの産地ならではの、秋のオリーブの収穫時期の料理。
オリーヴェ・フリッテ。




シチリアのカステルヴェトラーノといい、マテーラといい、おいしいパンがある町にはおしいオリーブもあるんですね。


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“マテーラとサッシ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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イタリアレポート、カステルヴェトラーノ

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このブログのコメントの貴重な常連さんで、イタリア料理にとても詳しくて尊敬しているitaliamamaさんが、カステルヴェトラーノの写真を紹介してくれました。

ちなみにitaliamamaさんは、20年近くスローフード運動に関わりながらイタリア料理を教え、
締めくくりとして食科学大学院(別名スローフード大学)で1年間食について学んだ方です。

せっかくですので、ここで皆さんにもご紹介せてください。


⋆ ⋆ ⋆ ⋆ ⋆

 


 
トゥンミニアという少し黒い小麦粉。
カステルヴェトラーノの黒パンでスローフードのプレシーディオになっています。
ゆっくりと発酵させ、もちろん薪釜で焼きます。
小麦の香りがよく味わいあるパンでした。
そして一緒に食べるのが大きな緑のオリーブの実。
たっぷりシチリアのオリーブ油をかけて。

入学当時、4月のはじめてシチリアの研修旅行、食科学大学院提出レポートを読み返してみましたら、
黒パンは毎朝の6時から10時まで、次回用に取り置いたlievito madreを小麦に混ぜ合わせて36度で発酵させ、香りをつけるために桃かぶどう、オリーブの木を薪に使って焼く。
とありました。
勿論小麦は石臼で挽く昔ながらの変わらない方法でした。

アルタムーラのパンもマテーラに行くと言ったらフィレンツェのおばさんに是非買ってきてと頼まれました。
日持ちするので頼んだのでしょう。
イタリア中でこのパンは人気のよう。



また牛ですがイタリア南部のポドリカ、脂肪分が多いのでチーズに向くのでしょうか。
見かけた時、スイスの牛のような鈴に違和感がありましたが、半野生、草地でのんびり歩いていました。
ピエモンテのファッソーナ牛、トスカーナのキアーナ牛、エミリアロマーニャの赤牛などそこにしかいない牛が今でも大事にされているのがイタリアらしいです。
BSE騒ぎの時もピエモンテでファッソーナのタルタル、黒コショーと塩味にたっぷりExオリーブオイルをかけて出てきました。
どこで誰がどんな餌で育てているかみんな分かっているので安心と言っていました。

⋆ ⋆ ⋆ ⋆ ⋆

ありがとうございま~す。

それにしても、イタリアの大学院で食科学を学ぶ日本人もいるんですねえ。
その時の貴重な体験の一部を、共有させていただきました。

イタリアを北から南まで、くまなく巡っているので、どこの食材の話をしても、必ずコメントを頂けるという、ありがたーい人です。

最近の食科学大学の授業。
ワインやカンノーリのテイスティングする授業、農家や作り手の元でのスタージュ、どれも楽しそう。
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アマトリチャーナ

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総合解説」13/14年7月号、発売しました。

今日から、新しい解説のビジュアル解説です。

まず最初は地方料理。

主に、イタリア料理の定番中の定番料理の歴史やうんちくなどを、イタリア人向けに紹介する記事を訳しています。

1品目は、スパゲッティ・アッラマトリチャーナ。

Spaghetti amatriciana


ローマ料理のシンボルの一つで、アマトリーチェで生まれたパスタ、というのは、誰もが知っていること。

記事では、ルイジ・カルナチーナがルイジ・ヴェロネッリに宛てた手紙の中から、アマトリチャーナについて書かれたとても興味深い内容を引用しています。

ヴェロネッリ氏は自分の名前のついたワインやレストランの格付け本でとても有名ですよね。
イタリアの美食文化の中心にいた人物です。
カルナチーナ氏は、彼に見いだされた人物で、12歳から飲食業界で働き、数々の料理書を書いています。

二人とも今は故人ですが、一時期のイタリア料理界を代表する美食家でした。

1961年の映像。
クリスマス料理について語るルイジ・カルナチーナ。
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今も国中から尊敬されているルイジ・ヴェロネッリのモットーは
L'uomo è nato per festeggiare la vita
   



こんな偉大な美食家たちのやり取りは、アマトリチャーナをめぐるちょっとしたエピソードでも面白いです。

要はガテン系の料理だったんですね。

さらに記事では、この料理が、アマトリーチェという、かつてはアブルッツォ州だった田舎の村から、ローマという大都会で受け入れられていく過程も、説明されています。

カルナチーナのパンチェッタとグアンチャーレの違いの説明も面白い。

リチェッタだけでなく、季節ごとのアマトリチャーナに合うワインから、お勧めレストランの紹介までされていて、かなり充実した記事です。


夏なら、ラツィオの土着品種で造られた、マルコ・カルピネーティのメトド・クラッシコのスプマンテが
お勧めだそうです。




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“スパゲッティ・アッラマトリチャーナ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年7月号に載っています。
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イワシのパスタ

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今日はammuccamuなシチリア料理の話。

ammuccamuとはシチリアの言葉。
“うまい”という意味で、こんな風に言います。
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「アンムッカーム」
今月の「総合解説」で紹介している地方料理2品目は、シチリア人なら思わずammuccamuと言ってしまうパスタです。

言うなれば、シチリア人に愛されるシチリアを代表するパスタです。

さーてなんでしょう。

答えはイワシのブカティーニです。

『サーレ・エ・ペペ』誌の記事では、シチリア料理史学者でグルメな作家のピーノ・コッレンティ氏の本、『Libro d'oro della cucina e ei vini Siciliani』から、この言葉、ammuccamuを引用しています。

このピーノ・コッレンティさんは、シチリア料理の大家で、本もたくさん書いています。
中でも、
Il diamante della grande cucina di Sicilia』という本は有名で、クレアパッソでもよく売れたのですが、残念ながらだいぶ前から売り切れ状態です。

再発売される気配が全然ないので、ディアマンテの代わりに、このオーロを仕入れてみようかなあ、という気になっています。
多分、金の次はダイヤモンドだー、いう勢いで安易にディアマンテというタイトルにしたんだろうなあ。
でも、その逆だと格下げ感出ちゃって、もったいないなあ。





記事には、この料理が誕生したいきさつの言い伝えが記されていました。

それによると、シチリアの質素な食材と、アラブのリッチな食材を前にしたアラブの料理人が、どうすれば両方を活かせるか、と考えた末に生まれたのが、この料理だそうですよ。

もちろん、伝説なので、なんの根拠もないと思いますが。

シチリアの質素な食材とは、イワシと野草のフィノッキエット・セルヴァティコ、それにオリーブオイル。
アラブのリッチな食材とは、サフラン、レーズン、アーモンドなどだそうです。

さらに、シチリアではイワシとフィノッキエットの旬は夏。

伝統的なパスタはブカティーニですが、編み棒で成形するトラーパニ地方のパスタ、ブジアーティもお勧めだそう。



さらに、魚が苦手なスペイン人も喜んで食べるようなるという秘密の技は、仕上げに散らすパン粉。
これを、少し前に紹介した硬質小麦トゥンミニアのパン粉にするという究極の裏技。





最後に、イワシのブカティーニと組み合わせるお勧めのワインは、ラグーザ県のヴィットリア平野のぶどう畑の間を通る県道の番号をワインの名前にしたSP68

強いネロ・ダーヴォラとエレガントなフラッパートという組み合わせの赤。

造っているのは強烈な個性を持つこの女性。
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素朴すぎるくらい素朴なイワシのパスタですが、いろんな物語が詰まっていました。


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“イワシのブカティーニ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年7月号に載っています。
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パンからフォカッチャへ

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今日はプーリア風フォカッチャの話。

でもその前に、そもそもフォカッチャとは何、という大問題があります。

とても基本的な問題ですが、わざわざ考えるでもなく、なんとなくわかっているのでスルーしてきたようなこの話題。
取り上げると、多分大変なことになるだろうなあとは思いますが、いい機会なので、スッキリさせるためにも、ちょっと調べてみよう、と思いたった今日この頃です。

スローフードのとても役に立つ本、“スクオラ・ディ・クチーナ”シリーズに、『パーネ・ピッツェ・エ・フォカッチャ』という本があります。

今日は、この本から、フォカッチャの部分を訳してみます。

まず大前提。
フォカッチャは、パンです、よね。
この本では、フォカッチャはパンの一種ですが、ピッツァと同じように、パンの中でも独特の種類に分類しています。

フォカッチャの語源はfocus。
火の上で焼いたものという意味の古代の食べ物を意味しているようです。

一方、ピッツァの語源は様々な説がありますが、pinzaやpitta。
南伊の中世ラテン語で、紀元1000年以前にはフォカッチャという意味でも使われていました。

という訳で、フォカッチャとピッツァは、限りなくよく似た食べ物だったようです。
薄く伸ばしたパン生地をかまどで焼いたものです。
ヨーロッパやアジア全域に同様の食べ物が普及していました。

熱くて汁の多い料理から指を守るために、パン生地を薄く伸ばして皿として使ったのです。

なるほど、これが、パンからフォカッチャやピッツァへと進化した理由なのですね。

そしてさらに、各種の具や調味料を加えてリッチにするという形で、イタリア各地で独自に進化していきます。
農村部では、サラミや肉の煮込みなどのリッチな具をはさんで食事にするようになりました。

リグーリアのフォカッチャは、軟質小麦粉の発酵生地をオリーブオイルと塩で調味しました。

You guys!! I made focaccia bread! I'm so excited because IT'S SO GOOD.


甘いバージョンもある中部イタリアのスキアッチャータ。

Schiacciata

ドーナッツ形で具入りのカラブリアのピッタ。

pitta calabrese


ピッツァは、中~南イタリアの代表的なフォカッチャ。

Pizza Margherita @ Napoletana Pizza


こうやってみると、ピッツァもフォカッチャもルーツはパンですが、ピッツァは具をトッピングする方法に進化して、フォカッチャは具を生地に混ぜ込んだりはさむ形に進化したんですね。

でも、『スクオラ・ディ・クチーナ』によると、フォカッチャは、平らに伸ばして熱した石にのせて焼く、という簡単な方法で作ることができるところから、パンより前に、つまり発酵やオーブンの発明の前に存在した、という説もあるそです。

ピアディーナのように発酵させないで鉄板や陶器で焼く平らなパンもあります。

piadina

皿として使って最後には食べてしまうのにはぴったりですね。

パンが先か、フォカッチャが先か、簡単には結論は出ない問題ですが、リグーリア(ジェノヴァ)のフォカッチャやスキアッチャータ以外にも、プーリアのフォカッチャは、フォカッチャの一大グループの一つです。

この話は次回に。

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“フォカッチャ・プリエーゼ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年7月号に載っています。
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フォカッチャ・プリエーゼ

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プーリアのフォカッチャの話、続けます。

#pizza #focaccia pugliese

今月の「総合解説」のP.13、“フォカッチャ・プリエーゼ”の記事で、一番最初に登場するリチェッタは、 “ストラッパータ生地のキアンカ焼きフォカッチャ”です。

何のこっちゃ?
私も初めて聞く言葉ばかりでした。
でも大丈夫。
「総合解説」を読めばこの意味はすぐに分かりますよー。
記事では、フォカッチャ・プリエーゼの特徴や歴史なども説明しています。



上の動画はフォカッチャ・バレーゼ。
「総合解説」では一番最後にリチェッタを紹介しいています。
ピッツァととてもよく似ていますが、明らかにピッツァじゃないんです。




参考までに、もう一つのよく似たフォカッチャ、フォカッチャ・ジェノヴェーゼもどうぞ。




次はキアンカ。
下の動画はアルベロベッロでおなじみのとんがり屋根の石の家、トルッリ用の石材キアンカを岩から造っているところ。
プーリア特産の石です。

プーリアのパン屋さんではこの石をかまどにも敷いて、その上でパンを焼くんです。




ところで、記事にちょっと面白い写真がありました。
それはじゃがいもを潰す、という何の変哲もない写真なのですが、潰す道具がユニークというか、プーリアらしいというか。

たいていはポテトマッシャーでスマートに潰しますよね。
ところが、プーリアでは、皿で押しつぶすのが伝統的なんだそうです。

ある意味カッコいい。
このじゃがいもが入るのも、フォカッチャ・プリエーゼの大きなポイント。


プーアリの石、キアンカで作るかまども、ゆでたじゃがいもを潰す皿も、みんなあるものを工夫して使って、結果的に他にはない独特なものが生まれてくるんですね。


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“フォカッチャ・プリエーゼ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年7月号に載っています。

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プーリアのパン屋さん

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フォカッチャ・プリエーゼの話をしてきましたが、プーリアに行ったら、 とにかくパンを食べてみてください。
特にパーネ・ディ・アルタムーラとフォカッチャ・バレーゼなどは、食べ損ねると後悔します。

私個人的には、レッチェのパン、Pizzo(pizzi)が大好きです。
トマト、オリーブ、玉ねぎのソッフリット入り。
強い旨みのある食材がごろごろ入っていて、とにかくワインが進むパンです。
お酒がいける人なら、1個食べながら1本空きますよきっと。
赤いピッツィとペアになっているのがオリーブ入りの白いプッチャ。




ちなみに、ちょっと昔の話ですが、偶然入ったレッチェのIl Fornaioという店のピッツィは美味しかったです。
多分、このパンはどこの店のも美味しいと思いますが。
他に、レッチェのパン屋さんなら、Panificio Moltedoあたりや大手メーカーのPanificio Tossiniなどが有名。

ちなみに、こちらのwebページは、イタリア語ですが、バーリのフォカッチャの店、ベスト10
を紹介しています。

3位の店
 ↓


南イタリア人とは思えないこの頑固な無愛想具合、プーリアの典型的な職人さんですねー。

プーリアで美味しいパンに出会う人が増えるといいなあ。

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“フォカッチャ・プリエーゼ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年7月号に載っています。
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カッチュッコ・リヴェルネーゼ

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今日はトスカーナを代表する魚のスープ、カッチュッコの話。
『ア・ターヴォラ』誌の記事です。

Charleston Muse Cacciucco 4955

詳しくは、日本語に訳した「総合解説」をご覧いただきたいのですが、イタリア人にとっても、カッ
チュッコcacciuccoというのは、少々発音しにくい名前なんですね。
よく言われていることですが、Cが5つもあるからです。

5つもあると、1個ぐらい省略してもいいかも、と思いがちで、『サーレ・エ・ペペ』誌によると、実際、トスカーナではcaciuccoカチュッコと呼ぶそうです。
ところが、リヴォルノでは、そう行きません。
Cはきっちり5個です。

それにしても、この料理の語源がトルコ語で小さいという意味のküçük/クチュクだというのは、興味深いですね。

なんで小さいかというと、この料理に使う魚が、売れ残りの小魚の雑魚ばかりだということをからかって、こう呼んだのです。
なぜトルコ語かというと、この料理が誕生した16世紀初めのリヴォルノは、メディチ家の元で栄える活気ある港で、地中海各地から漁船が集まってきていて、なかでも トルコの漁船は数が多かったそうです。

さらに、最初は船の上で作られていた漁師料理が、漁師のおかみさんたちの手によって家庭料理になった後も、漁師ならではの豪快さは失われなかった、という説も、目の付け所が面白いですね。
確かに、魚を赤ワインとトマトで煮る、という発想は、海の男らしい。

さらに、リヴォルノ風カッチュッコは、リヴォルノ人気質とそっくりだそうで、まじめで率直で頑固なんだそうですよ。




リヴォルノ人て、昭和のお父さんみたいなのかなあ。


2000年のリヴォルノの港はこんなに素敵になってます。





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“カッチュッコ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年7月号に載っています。
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