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『ラ・クチーナ・ディ・ローマ・エ・デル・ラツィオ』

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今日は新入荷の本のご紹介。

“イルストラーティ”シリーズの本、『ラ・クチーナ・ディ・ローマ・エ・デル・ラツィオ』です。


このシリーズは、料理研究家2人とカメラマンの3人組の料理書で、特に写真の空気感が独特で、とても美しい本です。
今回はローマ料理の本ですが、料理研究家の一人とカメラマンがローマ在住なので、満を持してという感じで、これまでにも増して写真が素晴らしいです。

例えば、どんな写真かと言うと、この本のアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノの写真を見てください。
こちらの左半分の4枚。
なぜか4コマ漫画のようなストーリー仕立て。
で、実際にアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノを作っ食べてみると、あなたもまさにこの女性と同じ4コマを体験するんですよー。
それに気が付くと、超楽しい。

1.まずは、どれどれ、どんな味かなー。
2.お手並み拝見ですね。
3.パク、もぐもぐ。んー、なかなか美味しいんじゃない。
4.アッ、きた~、カラッ!

ハハハ、絶対同じ顔するから。
まったく、こんな料理書見たことない。
さらに、右隣の写真は、アッラッビアータの写真。
二人の子供が、フォークでペンネの取り合いをしているというほほえましいもの。
演技じゃなく、ほんとにみんなこのパスタが大好きだってことが、ストレートに伝わってきます。

この本の料理の写真には、それを食べる人や作る人がたくさん人が登場します。
パスタを前にして、おじさん、おばさんから子供まで、これだけリラックスした姿をカメラマンにみせるとは、地元の人同士ならでは。

この本の序文は、こんな風に始まります。

「ローマ料理とラツィオ料理は、隣り合い、混ざり合っている。
違うけれど同じなのだ。
すべての道はローマに続く。
人も、物も、伝統も、ローマへと運ばれる。
ローマの外には大地があり、ローマの中には民衆の料理がある」

そして、この本で取り上げている料理は、この文章を証明するかのような、ラツィオの大地が生み出したローマの民衆の料理です。

最初の料理は、ピッツァ・エ・フィーキ。
生ハムといちじくをはさんだピッツァ・ビアンカです。

「“ピッツァ・エ・フィーキ”は、もはや単なる料理ではなく、いわばローマのアイコンだ。
ローマの歴史と伝説に強く結びつき、もっとも愛されている。
とてもシンプルな、まさに天才の発明だ」

いちじくと生ハムのピッツァをこよなく愛する身としては、これだけの賛辞も、すんなり受け入れられます。
とにかく、こんな調子で、正真正銘ローマっ子の大好きな料理を集めた楽しい本です。


生ハムとイチジクのピッツァならガブリエレ・ボンチ。







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レンズ豆とザクロ

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クリスマス前に紹介した動画、缶詰の豆を使った白いんげんの小鳥風、作ってみたら超簡単にトスカーナの味になっちゃっいましたよー。
こちらのページ

リチェッタを調べてみると、にんにくとセージ風味がトスカーナの白いんげん料理の基本のよう。

年末年始のイタリアの豆といえば、食べると小金が貯まるというレンズ豆。
栗きんとんとレンズ豆をダブルで食べれば、小金、貯まっちゃうかなあ。

レンズ豆って意外ときれいですねえ。




これこれ、イタリアンの新年は、レンズ豆に埋もれたコテキーノ見ないとなあ。




お馴染み、ジャッロ・ザッフェラーノのコテキーノとレンズ豆。




イタリアのレンズ豆と言えばカステルッチョ産。
これは昔ながらの伝統的な脱穀風景。
お疲れ様です。




こちらは馬を使った脱穀。
楽しそう?




豊穣をもたらすザクロも、毎年恒例の縁起物。




取り合えず、私のブログは毎年、レンズ豆とザクロ(の写真)で、新年はみなさまに小金がたんと貯まりますようにとお祈りさせていただきます。
今年も一年、ありがとうございました。
それでは、よいお年を!


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『ドルチ・ディ・カーザ・ミア』

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2014年ですね。
今年もよろしくお願いします。

それでは新年のスタートは、新入荷の本、『ドルチ・ディ・カーザ・ミア』のご紹介から。

この本の著者は、マウリツィオ・サンティン氏。
アンティカ・オステリーア・デル・ポンテの2代目です。
 

この店は、昔から、ミラノの星付きレストランとしての高い評価を保ち続けている高級店でありながら、サンティン一家による家族経営の店というイメージを常に前面に押し出していました。
ところが、息子はシェフになって店を継ぐという道を選ばなかったんですねえ。
彼は、パスティッチェーレになりました。

アンティカ・オステリーア・デル・ポンテが、ミシュランの星レースから降りたことは、彼のこの選択が多少とも影響しているのでは、と勘繰りたくなりますが、この本を見る限り、彼はわが道を行くけれど、自分の歩む道のルーツは、サンティン家だ、ということを力むことなく、愛情を持って主張しているようです。

半世紀近くに渡ってイタリアを代表する高級店と言われ続けてきた店の息子は、有名パスティッチェーレになった今、家ではどんなドルチェを作るんでしょうか。
レストランのリッチで舌の肥えた、料理を評価したがるお客のためではなく、家族や友人のために作るのは、どんなドルチェなのか。

高級な食材や専門的な道具は一切使いません。
ただ、イタリアの伝統菓子やフランスの菓子、オリジナルなど、アイデアにはなんの制限もありません。
ドルチェは何よりも美味しくなくてはならない、というのが彼のパスティッチェーレとしての哲学です。
シンプルで美味しい、ただそれだけ。

そういうものほど、作る人の個性が表れますよねえ。
例えば、こちらの写真のジャムのクロスタータ。
ジャムのクロスタータといえば、ビスケット生地を格子状に表面にかぶせるのが定番ですが、彼のクロスタータは、大、中、小の3つの花形に抜いた生地を散らした、とてもパーソナルなもの。

ある意味手抜きなのに、特別みたい。

本にはこんなテイストのドルチェが載っています。

次は、ティラミス・デストゥルットゥラート作りを教える動画をどうぞ。
デストゥルットラートとは、「分解」という意味。
グランシェフが比較的好んでつける名前ですね。
どんなティラミスになるのでしょうか。






みんな超真剣に見てましたねー。
次はフォンダン・ショコラ。
本にはこれの家庭料理版のリチェッタもあります。




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メスチュア

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今日はリグーリア料理の話。

mesciuaです。

どう発音するのか、ちょっと戸惑いますよね。
ヒントは、元となった言葉はmes-ciua。
意味はmescolata、ミックスしたという意味。
メスチュアと発音します。
ミックス豆のスープですね。
チンクエテッレがあるトスカーナに近いラ・スペツィア地方の名物です。
作り方の動画はこちら

残り物の豆を混ぜて作ったスープと言われていますが、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事によると、壮絶な過去を持つ料理だったんですね。

なんと、ラ・スペツィアの港で荷物の積み下ろしをして働く人たちの奥さんたちが、袋からこぼれ落ちた豆や穀物を拾い集めて作った料理なんだそうです。

昔、ラ・スペツィアの港は豆や穀物の集積地だったんですね。

「メスチュアの町」をBGMにラ・スペツィアを紹介する動画をどうぞ。



この記事を読んで最初に思い浮かんだのは、ミレーの「落穂拾い」。
収穫後の畑に残ったわずかな麦の穂を拾い集めている最下層の貧しい人たち。
こうまでしないと生きていけない人たちのために、こうした行為が許されていたんですねえ。
ラ・スペツィアの港でも、豆を拾い集めることが許されていたんだって。

落穂と言えば、プーリアのグラノ・アルソも思い出すなあ。
これは小麦を収穫して、さらに畑を焼いた後に残った、鳥も食べないような小麦を拾い集めたものです。
グラノ・アルソの小麦粉は黒ずんでいて、いかにも焼け残り風。
黒ずんだカヴァテッリやオレッキエッテを見るたびに、可哀そうな話だなあ、と思っていたのですが、なんと最近じゃ、普通の小麦をトーストして、わざと焼け残り風にしているという衝撃の事実を知ってしまったー。
そりゃそうだよなー。
今時、畑で落穂を拾う人も、港で豆を集める人もいません。
だけど、メスチュアは、その名も「ミックスした」なので、何種類かの豆を混ぜて作ることに存在意義がある。
だから、今や、最初からメスチュア用に豆をミックスして売ってるんだってー。
しかも、定番の組み合わせは、カンネッリーニ、ファッロ、小麦、チェーチだっていうから、律儀に全部揃えたら、かなりリッチなスープになっちゃいそう。
どの豆を使うか特にルールはないですが、他に、オルゾ、チチェルキア、レンズ豆、いんげん豆、ささげ、そば粉などと、バリエーション豊か。

よーく考えてみると、豆や穀物は、それぞれ戻し時間や加熱時間が違うから、拾ったもので作るわりには、超手間がかかる料理だったんですねー。
豆を戻す時に重曹を加えるのは、時間は短縮できるけど味の点からは勧められないという人もいるので、とにかくじっくりのんびり作らないと。
でも、豆のスープの割には見た目がなかなかきれい。
ラ・スペツィアのレストランでは、メスチュアが美味しい店は全体的な評価も高いみたいですねー。

ココット入りのメスチュア


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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2012年1月号、『メスチュア』の記事とリチェッタは、「総合解説」2012年1月号に載っています。

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ヴァルネリーナのペンキ

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今日はウンブリアのパスタの話。
そもそも、ウンブリアのパスタって聞かれて、何を思い浮かべますか?
あまりメジャーなのがないかも。
 
ちょっと地味な印象(ゴメンネ)。

そんなウンブリアのパスタの中で、意外とインパクトのある名前に出会いました。
その名も、ペンキpenchiです。
知ってます?
私、初めて聞きました。
複数形でペンキってことは、単数形だとペンコ?
ププ、超カワイイ~。

グランデ・エンチクロペディア・イッルストラート・デッラ・ガストロノミーア』によると、

「ウンブリアの、特にスポレート地方の軟質小麦粉、卵、塩のパスタ。
素朴で厚めのラザニェッテの一種で、グアンチャーレとサルシッチャがベースのリッチなソースをかける。
別名、モンテレオーネのストラッシナーティ」

ストラッシナーティというと一般的にはひっかくパスタですが、どうやらこれは、幅広で長くて厚い手打ちパスタのよう。
パッパルデッレに似ています。

ペンキという名前より、モンテレオーネのストラッシナーティと言う名前のほうが有名なようです。
この名前で調べると、すぐに、この料理の由来となった言い伝えが見つかります。


モンテレオーネ・ディ・スボレートはこんなとこ。
 ↓




典型的なウンブリアの町。
静かで落ち着いたたたずまいですね。

パスタの由来となった伝説ですが、
こちらのページによると、それは、この静かな雰囲気にはあまりそぐわない話でした。

それは1494年のこと。
傭兵隊長のヴィテッリ兄弟の二人は、フランス王シャルル8世によるナポリ王国への侵攻、つまり、第一次イタリア戦争ですね、これに加勢してひと旗揚げようとしました。

当時、フランス王とバチカンは、ナポリ王国を巡って戦争をしていました。
そしてウンブリアは長い間、ローマ教皇領だったんです。

そんな戦争にフランス側で参戦したヴィテッリ兄弟、ところが戦況は厳しく、へとへとになってモンテレオーネの城壁にたどり着きます。
そして城のまかないのおばちゃんに、
「俺様の兵士と馬のために食事を出せ、こるあ!」
と要求しました。
ところが、相手はフランス王の味方、つまり、おばちゃんにとってはれっきとした敵です。
それでも、親切なおばちゃんは、料理を出してあげました。
それがペンキです。
でも、今は戦時下の緊急時。
食べ物は貴重なので、ろくな味付けもできません。
あまりにも素っ気ないそのパスタを見て、傭兵隊長は激怒しました。
「おらあ、もっとちゃんとしたもん出さんかい。
さもないと、捕虜(つまりイタリア人)を馬に括り付けて、城壁の周りを死ぬまで引きずりまわらせるぞー!」
と脅迫したのです。
すると、その話を聞いた一人の美少女が、
「捕虜の兵隊さんが可哀そうだから、豚の生肉と、グアンチャーレとサルシッチャとペコリーノと卵も入れてあげましょうよ」と提案したのです。
そうして作られたリッチなペンキを食べた傭兵たちは大満足し、惨事は回避されたのでした。
そしてそれ以来、このペンキはストラッシナーティ(引きずる)と呼ばれるようになったのでした。
めでたし、めでたし。

ひえ~、昔話って、怖すぎる~。

ストラッシナーティなのに普通のパスタだなあと思っていたら、パスタをひっかくじゃなくて、人を引きずり回す、っていう意味のストラッシナーティだったのかあ。
モンテレオーネのストラッシナーティを作る時は、お腹を空かしたチンピラを怒らせないように、と思いながら作るといいかも。
以上、リッチなソースとの組み合わせがマストのパスタでした。


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関連雑誌『ヴィエ・デル・グスト』2012年1月号、ウンブリア料理の記事と“ヴァルネリーナのペンキ”のリチェッタは、「総合解説」2012年1月号に載っています。

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ブランケット

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今日はフランス料理の話。
とは言っても、イタリアの家庭でも一般的なフランス料理です。
イタリア料理には、ちょいちょいフランス料理が出てきますよね。
今回の料理、“ブランケット”も、イタリア料理の立場から見たフランス料理の話です。
『サーレ・エ・ペペ』の記事です。

この記事は、こんな風に始まります。

「フランス人て、料理にちょっと特別~な雰囲気の名前つけるの、うまいですよねー」

ほお~、なんとこれは、イタリアの料理用語を翻訳する時、よく感じることそのものですよー。
例えば、ミッレフィオーレはミルフィーユ、タルタラはタルタル、ベシャメッラはベシャメルなんて感じで、ちょっとした料理用語も、イタリア語よりフランス語のほうがお洒落にすんなり聞こえるんですよねー。

で、ブランケットblanquetteですけど、これは毛布のことじゃないですよ。
基本のフランス料理の一つ。
肉の煮込み料理です。
難しく言うと、19世紀フランスの中産階級の食卓の主役、だったんだそうです。
語源はblancブラン。
フランス語で“白”です。

こんな料理。
 ↓
Blanquette de veau, or as the waitress pronounced it,


定番の付け合せはライス。
どこからみても、21世紀初頭の日本の庶民の間でもお馴染みの、ホワイトシチューですね。

まず、主な材料は、白肉。
つまり、子牛、鶏、七面鳥など。
煮込むソースは生クリーム、ホワイトソース、白玉ねぎ、ホワイトマッシュルーム。
バリエーションでポロねぎ、かぶ、セロリアック、じゃがいもなどの野菜。
全部白。

これをブランケットと呼ぶと、イタリア人にはとても魅力的な響きと感じるらしい。
イタリア語で呼べば、スペツッツァティーノ・ディ・ヴィテッロかなあ。
そういえば、ブランマンジェもイタリア語だとビアンコマンジャーレだし、モンブランはモンテビアンコだし、フランス語のが、言いやすいなあ。
この料理は、イタリア語の名前がないようで、イタリア人もブランケットと呼んでいます。
よっぽどこの名前の響きがしっくりきたんでしょうねえ。




白い食材に色がつかないように、炒めるのではなくポシェするこの料理。
いつものシチューも、このひと手間でブランケットに変身です。

組み合わせるワインも白。
お勧めは、コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリのカンティーナ・クリーヴィのワインだそうです。


コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ地方。
素晴らしい。




クリーヴィのワイン


eleonora-manto_gustonudo_18.clivi



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関連雑誌;『サーレ・エ・ペペ』2012年1月号、“ブランケット”の解説とリチェッタは「総合解説」2012年1月号に載っています。

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1月のパネットーネ

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今日はパネットーネの話。
あれ、なんだろう、この過去のもの感。
あれから一か月もたってないのに。

Home made Panettone - IMG_8656

なんだかレトロな雰囲気漂わせてます。

今回は、『ア・ターヴォラ』の記事、“クリスマスだけじゃなパネットーネ”の紹介ですが、このタイトルがぶっちゃけているように、別の言い方をすれば、パネットーネの販促記事です。

パネットーネ業界は、第二のスプマンテの座を狙っているようですよ。
かつてイタリアでは、スプマンテは年末年始にしか売れない飲み物だったんです。
でも今では、年中飲むようになったらしいです。
日本と同じですねー。


で、パネットーネを広めるなら、クリスマスのパネットーネがまだ残っている今だ!
なんです。

新しいパネットーネの食べ方を提案するのは、パネットーネ界の巨匠で、オートクチュール料理のグランシェフ、ダリオ・ロイゾン氏。

ロイゾンのパネットーネができるまで
 ↓



彼のパネットーネは食材のコストを気にしないのがポイントだそうで、お値段も素晴らしい。
使っている材料は、マクランのトルコラート、プロセッコ・ディ・ヴァルドッビアーデネ、シチリアのオレンジのカンディート、カラブリアのディアマンテのチェードロ、チアクッリの晩成のマンダリンオレンジ、マダガスカルのバニラなど、それ自体が貴重なものばかり。
webページ(こちら)を見るかぎりは、高級路線を突っ走ってます。

記事では、パネットーネを使った彼のリチェッタを3点紹介しています。
まずはフォアグラとパネットーネのミッレフォーリエ。
パネットーネは、マンダリンオレンジ入りのもの。
これはかなりゴージャスな一品。
次は、子牛のヒレ肉にパネットーネの粉をまぶしたステーキと、裏漉ししたバネットトーネ入りのじゃがいものニョッキ。
コストパフォーマンスすごそう。

もっとすごいのは、下の動画のパネットーネのサンドイッチ。
正直言って、ロイゾンのお高いパネットーネでこれができる人は、かなりの太っ腹。
ロイゾンさんも、これらの料理は、ミシュランの星付きの店で出すような料理だと思って考えたはず。 





お手頃な値段で、しかも、今、この時期に余っているパネットーネがあったら、分厚いヒレ肉にまぶしてステーキにしてみたいと思う今日この頃でした。

もう一人のパネットーネの巨匠、というか、イタリアのドルチェ界のドン、イジーノ・マッサーリ氏のパネットーネ。




1月のこの時期に、パネットーネ猛烈に食べたくなってきたー。
どこで売ってますか?

朝食にパネットーネのフレンチトーストって、美味しそう~。

First Breakfast

French toast and Frenched Panettone


#breakfast #tasty http://www.williams-sonoma.com/m/recipe/french-toast-caramelized-bananas.html (Used leftover panettone, so good)


コーヒーに添えてもおされ。
ロイゾンのパネットーネとカップッチーノの朝食


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関連雑誌『ア・ターヴォラ』、“クリスマスだけじゃないパネットーネ”の解説とリチェッタは、「総合解説」2012年1月号に載っています。

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ズッパ・ドルチェ

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今日はドルチェの話。
ズッパ・ドルチェzuppa dolceで、ドルチ・アル・クッキアイオdolci al cucchiaioという分類に入る、ドルチェです。
直訳すれば、甘いズッパでスプーンで食べるドルチェ。

甘いズッパといえば、最もよく知られているのは、ズッパ・イングレーゼ。

下の写真は一人前サイズのズッパ・イングレーゼ。
すごくお洒落。
ちゃんとスプーンを添えて写真を撮るところに、センスを感じるなあ。

zuppa inglese


普通は洗面器サイズ。
これは何人前でしょう。

zuppa inglese


でも、そもそも、ズッパって何?
その響きからして、スープっていう意味だとは想像がつきます。
つまり、汁物ですよね。

例によって、ガストロノミー大百科事典で調べてみました。

すると、ズッパzuppaとは、ゴート語の“suppa”が語源で、その意味は、汁に浸したパン、だって。

中世の領主様は、皿にブロードを注いでパンを1枚敷き、その上に切り分けた肉などのご馳走をのせて、食べたんだそうです。
スープに入れる炭水化物は、パスタや米の場合もありますが、肉をのせるためなら、やっぱりパンですね。
そのせいか、パスタや米を入れたスープはミネストラで、ズッパじゃないですね。

なーるほど、こうすればパンが美味しい出汁を吸い込んで、お鍋の締めみたいになって一段と美味しくなるのか~。
というのは平民の考え。

なんと、ご領主様は、肉は食べるけど、このパンは残しておくんです。
それを使用人が煮て、夕食としてありがたくいただく、というわけ。
美しき残酷な世界ですねえ。
究極のもったいないだなあ。
でも、よく考えてみると、食べ物の歴史はもったいないの歴史なんです。

その昔、人間は、火を使うことを覚え、道具を作り、食料をゆでて食べることを発見しました。
そのゆで汁を再利用するという発想は、料理の世界の革命だったんだそうです。
最初は粉を煮てお粥にし、やがて穀物や豆を煮るようになりました。

麺を煮る鍋の締めは、多分、豆の次の段階。
さて、次はどう進化するのか。

で、ズッパ・ドルチェですが、言われてみれば、ドルチェのズッパにも、パンが入ってますねー。
パンと言うか、スポンジ生地やサヴォイアルディですけどね。

で、よく知られている通り、イタリアの甘いズッパのルーツはイギリスのトライフル(下の写真)。

おー、イギリスでも洗面器サイズですねー。

Trifle - YUM!


こうやってスポンジ生地を敷き詰めるようすから、ズッパと名付けたんでしょうねえ。


English Trifle, Step 4

イングリッシュ・トライフル、別名、ズッパ・イングレーズだって。





トライフルには無数のバリエーションがありますが、イタリアに伝わったのは、シラバブというクリームをかけたものだそうです。
なので、アマレット・シラバブをどうぞ。
砕いたアマレッティ(マカロン)にアマレットリキュール入りのダブルクリームをかけた超美味しそうなデザートです。
イギリス人の有名料理研究家、ナイジェラさんが作ると、やけにセクシーですね。




こんなデザートが、ルネサンスのイタリアに伝わったんです。
それからの話は次回に。


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関連雑誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2012年1月号、“ズッパ・ドルチェ”の記事とリチェッタは、「総合解説」2012年1月号に載っています。

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カルロ・クラッコのズッパ・イングレーゼ

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ズッパ・ドルチェの続きです。
『サーレ・エ・ぺぺ』の記事によると、ズッパ・イングレーゼに代表されるズッパ・ドルチェは、
イギリスの貴族たちによってシラバブのトライフルがイタリアに、
詳しく言えばイギリスの貴族との交流が盛んだった16世紀のエステ家の宮廷料理人に伝わって、アレンジされました。
スポンジ生地でなく、地元のブラザデーラbrazadelaという素朴なチャンベッラにクレーマ・パスティッチェーラとチョコレートをかけたものになったんだそうです。

下の動画のタイトルはボローニャのブラザデーラですが、フェッラーラのブラザデーラと呼ばれることも多いようです。
かつてはエミリア・ロマーニャ地方の家庭の定番のお菓子だったよう。
たしかにクリームによく合いそう。



ブラザデーラの代わりにスポンジ生地を使って、さらにアルケルメスに浸したのが、ズッパ・イングレーゼ。

カルロ・クラッコの本、『クールにしたいならエシャロットを使う』には、ズッパ・イングレーゼのリチェッタがあります。
それによると、彼は大御所イジニオ・マッサーリ氏からズッパ・イングレーゼを教わったのだそうです。
それは、卵と砂糖がたっぷり使われた、リッチな、昔ながらのオーソドックスな味のズッパ・イングレーゼで、一般的なエミリア・ロマーニャの家庭料理バージョンとは違ったものです。

リチェッタは、スポンジ生地、チョコレートクリーム、クレーマ・パスティッチェーラ、シロップから構成されていて、料理教本スタイルのこの本では、レベル1に分類されています。
つまり基礎中の基礎です。
特にクレーマ・パスティッチェーラは、レッスン・ナンバー22として、懇切丁寧に説明していますよ。
クラッコのカスタード、どんな味なんでしょうね。

ネット上には、彼のリチェッタでズッパ・イングレーゼを作った人たちの作品がたくさんアップされてます。
確かに、イタリアのドルチェの入門編にふさわしい一品だなあ、イギリスっていう名前だけど。





ところで、カルロ・クラッコさんは、去年の11月に、『A qualcuno piace Cracco』という本を出しました。
なんと、今度は地方料理の本です。
20あるイタリアのすべての州から、厳選した地方料理を取り上げています。
今度も面白いですよー。
近日中に発売予定です。
詳細は次回。


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関連雑誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2012年1月号、“ズッパ・ドルチェ”の記事とリチェッタは、「総合解説」2012年1月号に載っています。

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『カルロ・クラッコの地方料理』

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今日は、カルロ・クラッコシェフの新刊のご紹介です。
前作『クールにしたいならエシャロットを使う』は、イタリアでは相変わらず売れていますが、昨年の11月に、早くも次が出ました。
『A QUALCUNO PIACE CRACCO』というタイトルですが、わかりにくいので、クレアパッソでは、『カルロ・クラッコの地方料理』という日本語で販売することにしました。
この本の表紙にも、「LA CUCIN REGIONALE COME PIACE A ME」とはっきり書いてある通り、クラッコ氏が好きな地方料理を集めた本なんです。

そもそも、カルロ・クラッコとは、どんな経歴の人なのでしょうか。

彼がオーナーシェフを務めるミラノのリストランテ・クラッコのこちらのページによると、1965年、ヴィチェンツァ生まれで、ヴィチェンツァ近くのレコアロ・テルメ・ホテル学校卒業。
この学校は1963年創業で、ヨーロッパホテル観光学校協会所属。
プロとしての最初の仕事は、イタリア最初の3つ星店、ミラノのグアルティエーロ・マルケージ。
その後フランスに3年間住み、アラン・デュカスやルカス・カールトンで働き、イタリアに戻ってフィレンツェのエノテーカ・ピンキオッリに入り、この店にも3つ星をもたらします。

さらにエルブスコのマルケージの店、ラルベレータ、ミラノの美食の殿堂ペックと提携したクラッコ-ペックと、いくつか店を渡り歩き、しかも、そのどれもが短期間でミシュランの星やガンベロ・ロッソのフォークを獲得する凄腕シェフ。
2007年に、リストランテ・クラッコのオーナーシェフとなりました。
2012年にはシンガポール航空のビジネスクラスとファースト・クラスのメニューを担当。
シンガポール航空のニュースページ
余談ですけど、シンガポールって、ほんと最近すごいね。
2013年からは、ミラノの5つ星ホテル、パラッツォ・バリジ・ホテル・エ・グランスパのビストロとレストランの経営に取り組んでいる。
パラツッォ・パリジ・ホテル
 ↓




いやあ燦然と輝くまぶしい経歴ですねえ。
しかもイケメンで、セクシーと評判。
シェフのインタビュー。
 ↓



イタリアを代表するスターシェフですね。
彼の本を読むと、すごーく勉強している人だとわかります。
『カルロ・クラッコの地方料理』の序文は、
「イタリアの地方料理について話すことは、迷路に入り込むようなものだ」
で始まります。
「はっきりした目的地があるのに、気が付くと、あっという間にはるか遠くに飛ばされているのです。
場所だけでなく、時代や文化や伝統の中も飛ばされてしまいます」
「例えば、サクリパンティーナを調べると、リグーリアから出発したのに、すぐにスペイン王家の宮廷に迷い込んでしまいます」
「イタリア地方料理の歴史はイタリアの歴史であり、時には国境も越えます。
しかし同時に、各町ごとに時を告げる鐘楼があり、他では手に入らない地元にしかない無数の食材があるのです。」
「ピエモンテのベテラントリュフハンターからこんな話を聞いたことがあります。
私の人生で食べた最高のリボッリータは、アレッツッォの友達の家で食べたものだった」

いやあ、全くその通り。
私もこのブログをアップするために料理を調べていて、気がいたら全然別な話を追いかけていたということの繰り返しなんです。
しかも、歴史を調べだすと芋づる式に調べなきゃならない別の歴史がずるずる引っかかってくるし、20年以上翻訳していても、初めて聞く名前の食材とかざらだし。

だから、イタリアの地方料理の本を書くというのが、どんなに大変なことかも想像つきます。
しかも、かなりの頑張り屋のようで、イタリアの20ある州のすべての料理を数点ずつ選んでいるのです。
確かに、1000点とか、膨大な数の地方料理を集めた料理書と比べると、数は少ないです。
でも、そのどれもが実に詳細に調べ上げられていて、リチェッタには一流シェフの感性も加えられています。

ちょっとリグーリアのページを見てみると、いきなり、見たこともないような濃厚なペスト・ジェノヴェーゼの写真が。
料理の説明は、プラのバジリコへの熱い思いから始まります。
さらに、ロブションで出会って衝撃を受けたというリグーリア風野菜のズッパへと話は広がっていきます。
野菜スープの仕上げにペスト・ジェノヴェーゼを加えるということを説明するために、ロブションの野菜スープのリチェッタも、ズッキーニは完璧に5㎜角に切らないとシェフが怒る、といったことまで、事細かに書いてあります。
早速やってみよーっと。

次の料理はバッカラかタラのイン・ジミーノ。
イン・ジミーノの意味とか、知らなかったなあ。
オリジナルはこうだけど、私のリチェッタではこうしたとか、詳しく書いてあるなあ。
相当几帳面な人だよ、クラッコシェフは。

前著は、イタリア料理の教本といった感じでしたが、新作は、地方料理を、自分が好きなもの、という基準で選んで、とことん研究して、彼の目線で再構築した、ある意味、とても個性的な地方料理書です。
どちらも若手料理人さんに読んでもらうことを意識して書いているような優しさがあふれています。
お勧め。



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ワインの計り売り

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今日はsegnalibroさんのイタリア便りです。


今年は暖冬ですが、びっくりするほど雨が多い北イタリアです。
週末、あてもなく出かけた大雨ドライブの途中、「Vini Sfusi」 という看板のかかった小さなお店を見つけました。
どうやら、ワインの計り売りをしてくれるお店のようです。





こんなタンクが10個ほど並んでいて、お好みのワインをホースでボトルに注いでくれます。
 







入れ物も持たずに入店してしまいましたが、これはぜひ、タンクから汲んでみたい。
店員のお兄さんは、ワインに無知な私達に半ば呆れながら、使用済みのボトル(無料)を洗うから、それにいれてあげようか、と言ってくれました。
長髪の兄ちゃん、ムーミンに出てくるミイみたいな髪形してるけど、見かけによらず優しい!
結局、また買いに来るだろうとの予想から、5ℓの空ボトルを3.50ユーロで購入。
クリスマスの時期はとっくに過ぎていますが、タンクの横に「NATALIZIO(クリスマス用)・MOSCATO」という張り紙がしてあったワインを試飲させてもらい、気に入ったので、それを入れてもらいました。
少し発泡性のある赤ワインです。
さて、うちのワインの予算は、1本当たり上限5ユーロ。
日本円に換算すると、600~700円くらいでしょうか。
こんな低価格でも、スーパーではあれこれ楽しくワインを選ぶことが出来るんです。
無知だから出来る技か?
無知ってある意味、幸せかも。ウフフ。
で、初めての計り売り、高かったらどうしよう。
ドキドキしていたら、値段表を見せてくれました。



1Lにつき1.90ユーロでした。
予算らくらくクリアー!よかったー。
エノテカなどで買うのは何だかとっても身分不相応な気がして、今までワインはスーパーマーケットで買っていました。
そもそも予算が5ユーロですからねー。
が、スーパーで買うよりお得な気がするのに、ワインを買ったぞっていう、この充実した満足感は何?
ワインの計り売りって何だかとってもステキ!
帰宅後、さっそく家飲み開始! 購入した5ℓボトルには、手書きで「Montebello Rosso (BONARDA)」と記したエチケットを貼ってくれていました。




さらに、エチケットには「うちのワインは低温殺菌されていないので、0.5-1ℓのボトルに詰め替えなさい」と書いてありました。
そういえば、ミイ風の兄ちゃんも同じことを言ってた気がする。
が、うちにはそんなボトルはありません。
どうしよう。
そういえば、去年亡くなった義父は1年に数回、10ℓ位のタンク数個を車に積んで、数カ月分のワインを汲みに行っていました。
タンクのワインを手頃なボトルに詰め替えて飲んでいたはず・・・。
義母にお願いして、もう使わなくなった義父のボトルを数本譲ってもらいました。




これに詰め替えて、少しずつ楽しみます。 次回からは、大きな入れ物を何個か持って、ワインを汲みに行くつもりです。


おまけの動画、エノテーカでも買えます。
ワインの量り売り。
すごいねー。




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ルーコラとルコリーノ

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今日はルーコラ(ルッコラ)の話。

ルーコラって、栽培しやすいハーブのようですね。
プランターならアルプスでも育つんだって。
ベランダ栽培のルーコラ
 ↓
Balcony gardening

古代ローマ時代から栽培されていたそうです。
ルーコラの学名eruca sativaの語源は、ラテン語で「燃やす」という意味のurere。
昔のルーコラは、どんだけ辛かったんでしょうねー。



こちらは野生種のルーコラ・セルヴァティカ。
野生種は葉の形も、花の色も違うし、味も強い。
もう、別のハーブでいいじゃん。
野生のルーコラを栽培するとか、意味わかめ。
 ↓
rucola selvatica

なかなか衝撃的な、ルーコラの収穫。
お見事。
 ↓




ところで、ルーコラで作ったリキュール、ルコリーノと言うのがあるんですねえ。
アマーロの一種で、イスキア島で作られている食後酒。
イスキア島では一番有名なリキュールなんだそうですよー。
カプリに行ったらリモンチェッロ、イスキア島ならルコリーノ。
またはカンバーニアなら、食前酒にリモンチェッロ、食後酒にルコリーノ。
あー、いいなあ。

こちらのページに、ネットで調べたリチェッタでルコリーノを作ったという人がいたので、そのリチェッタを訳してみました。



ルコリーノRucolino
材料
 アルコール・・1リットル
 ルーコラ・・40枚(味が弱ければ50枚)
 オレンジ・・1個
 レモン・・1個  マンダリンオレンジ・・1個
 クローブ・・2個
 シナモンスティック・・1/2本
 バニラビーンズ・・1/2本
 砂糖・・800g
 水・・1リットル
・アルコールにルーコラ、かんきつ類の皮の色付き部分、スパイスを入れ、乾燥した冷暗所で7~10日漬ける。
・水に砂糖を溶かして火にかけ、1分沸騰させて冷ます。これを漉したアルコールに加える。
・ボトルに移して2か月寝かせる。



ルコーラはビタミンCを豊富に含み、消化と利尿作用、肝臓を助けたり、食欲増進作用があります。
なるほど食後酒によさそう。



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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2012年1月号、“ルーコラ”の記事の解説は「総合解説」2012年1月号に載っています。

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コーニェ

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久しぶりの大雪で、雪かきしてたら雪かきハイになっちゃって、取りつかれたみたいに張り切っちゃいました。
おかげて、今日は太ももの裏と腰が超筋肉痛です。
前屈ができません。
北国の人はこれが毎日なんだから、大変ですねー。

今日のお題は、イタリアの北国、ヴァッレ・ダオスタのコーニェです。
標高1544m。
グラン・パラディーゾ国立公園の中にあって、冬はスキーやエコトゥーリズモの本場としてヨーロッパ中から人が訪れる場所だそうです。
ヴァッレ・ダオスタ州観光局のページ

野生動物の楽園ですが、元々はヴィットリオ・エマヌエーレ2世のプライベートな狩猟場として整備されました。




夏のコーニェ。
空気がすがすがしそう。
子供は毎日が夏休み。
 ↓


冬のコーニェ。
そり犬はお仕事。
 ↓


コーニェの美味しいもの。
 ↓


コーニェのおすすめレストランの一つ、ブラッスリー・デュ・ボン・ベックはホテル・ベルヴの中にあります。
このホテルも素敵だあ・・・。
 ↓



このレストランの名物メニューは石焼きピエトラ・カルダ。
こんな料理
アルプス版焼肉ですね。
肉、自家菜園の野菜、チーズを焼きます。

この地方の名物サラミ、モチェッタは前菜の盛り合わせでいただきます。
ヴァッレ・ダオスタの牛肉にハーブをまぶして熟成させた干し肉です。
 ↓



このホテルのもう一つのレストラン、プティ・レストランはミシュランの1つ星。
チーズのカンティーナなんてあるんですね。
この地方はチーズが美味しいんだって。
webページはこちら

行ってみたい所だなあ。



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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2012年1月号“グルメ紀行コーニェ”の解説は「総合解説」2012年1月号に載せました。

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カーニバルとマルテディ・グラッソ

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今日はこの時期にはお約束の話題、カーニバルの話。

Carnevale Venezia 2009 14
Carnevale Venezia 2009 14 / #simo#


カーニバルは、そもそもキリスト教のお祭りなので、すごく楽しそうだけど、日本にはなじまないですねえ。

そもそも、カーニバルって、いつやるの?
なんでも一般的には、公現日から四旬節の最初の日曜日までだそうで。
なんのことやら。
wikiでも見てちょ。

で、カーニバルって何?
断食とか禁欲的なことをする前のバカ騒ぎ的な?

 
なんてこと考えていましたが、なんと、『ア・ターヴォラ』によると、キリスト教徒のみなさんは、カーニバル最終日の太った火曜日(マルテディ・グラッソ)に、カーニバルの王様の人形を燃やして祭りの終焉を告げ、四旬節の始まりを宣言します。これりによって冬が終わり、畑に戻る生活が始まるんだそうです。
は、畑に戻るなんて発想、なかったなあ。
ちなみに今年のマルテディ・グラッソは3月4日。
去年は2月12日、来年は2月17日。
カーニバルは終わる日も重要だったんですねー。

有名なヴィァレッジョのカーニバルの2013年のマルテディ・グラッソ。
いやー、盛大ですねー。
オリンピックの開会式みたい。
 ↓



こちらはもっとローカルなマルデディ・グラッソ。
地元密着の小さなお祭りも趣があっていいですねえ。
 ↓



ヨーロッパで農民をやるのなら、クリスマス、カーニバル、復活祭は、季節の変わり目を祝う大切なお祭りなんですね。

今年はカーニバルにオリンピックが重なって、日本人でも少しは畑に戻る気分が理解できるかも。
今年のヴェネチアのカーニバルは、2月15日から3月4日まで。
ヴェネチアの人はオリンピックどころじゃないかも。

ヴェネチアのカーニバルのサイト

カーニバル前にすでに盛りあがってます。



カーニバルは混みすぎて引くけど、この時期ならゆっくり楽しめそう。
いいなあ。
行きたいなあ。


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関連雑誌;『ア・ターヴォラ』2012年2月号、“カルネヴァーレ”の解説は、「総合解説」2012年2月号に載
せています(もうすぐ発売)

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イタリアの有名カーニバル

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長く寒い冬をじっと耐える、その気持ちがやたらにわかる今日この頃です。
今週、また雪が降ったらまた雪かきするんだ~と思うと、心が折れそうです。
そこで、雪がやんだら、畑に戻るぞ!、という気持ちを込めて、イタリアの有名カーニバルの陽気な映像でもどうぞ。

まずはヴェネチアのカーニバルの開幕を告げるvolo dell'angelo。
毎年、サン・マルコ広場の鐘楼から、広場の真ん中まで、ロープに吊り下げられた女性が優雅に下りてくるというイベントです。




飛ぶのはfesta delle marieというお祭りで選ばれた人。
今年のお祭り
 ↓


カーニバルのだいぶ前から盛り上がってるんですねえ。
今年のエンジェル・フライングの本番は23日の日曜日です。


次はトスカーナのヴィアレッジョ。
ここにはチッタデッラ・デル・カルネヴァーレという、一種のカーニバル博物館があるくらい、ど派手な張子が行進するカーニバルが有名。
チッタデッラ・デル・カルネヴァーレ
 ↓



マルケのファーノのカーニバルはチョコや飴を投げるので有名。
沿道の人は傘なんか用意して、拾う気満々ですねー。
 ↓


いや~、どれも楽しそうですねえ。
他にもまだまだあるけど、今日はこのくらいで。

ところで、カーニバルといえば揚げ菓子ですが、これは、イタリアに限ったことではない様子。
それというのも、カーニバルは、クリスマスや復活祭と違って、外で行うお祭り、というのが最大の理由。
沿道に出てくる大勢の人のために、道端の屋台で簡単に作れて、外で食べれるもの、というと、西欧ではドーナッツなんですねえ。

しかも、教区ごとにリチェッタや名前が違うそうで、カーニバルごとに揚げ菓子を制覇してみるのも楽しいかも。

というわけで、次回はカーニバルの揚げ菓子の話です。



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関連雑誌;『ア・ターヴォラ』2012年2月号、“カルネヴァーレ”の解説は、「総合解説」2012年2月号に載せています(もうすぐ発売)

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クラプフェン、ボンボローニ

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イタリアのカーニバルの話、続けます。

2月23日スタートの、プーリアのプティニャーノのカーニバルは、今年で620回目。
ヨーロッパでもっとも古い伝統のあるカーニバルなんだそうです。
公式webページはこちら




今年のテーマは、生誕200周年を迎えたイタリアの誇る大作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディ。
伝統に戻ることは前進だ、というキャッチフレーズです。
見ごたえありそうですねー。


カーニバルはイタリアで一番無礼講でカラフルな祭り。
家族が集まって家の中で行うクリスマスや復活祭と違って、町中が舞台の賑やかな祭りです。
そんなカーニバルの食べ物と言えば、道端の屋台で揚げている揚げ物。
ヨーロッパの人にとっては、屋台の揚げ物はカーニバルの楽しい記憶と結びついて、名前を聞いただけでわくわくするような幸せな食べ物なんだそうです。

揚げ物は、何もカーニバルじゃなくても、一年中、あらゆるところで作られています。
でも、なぜかイタリアでは、カーニバルが始まる2月になると、一斉に注目されるんですねー。
ドルチェもサラートも、色々ありますが、カーニバルと言えば、やはりドルチェ。
大きくイースト入りとイーストなしに分けられますが、イースト入りの代表の一つが、クラプフェン。

ぷうっとふくれたドーナッツ。

30/14 Krapfen mit Puderzucker - laktosefrei
30/14 Krapfen mit Puderzucker - laktosefrei / Butaris



ジャンボ・クラプフェンだって。
これは買っちゃいます。

Big size sweet
Big size sweet / RaSeLaSeD - Il Pinguino


こんなお店で売ってます。
ウイーンにて。

Big sweets shop
Big sweets shop / RaSeLaSeD - Il Pinguino



前から思ってたんですけど、ドーナッツ屋のイースト系ドーナッツっは、クラプフェンそっくり。

DSC00166
DSC00166 / Cappellmeister



クラプフェン作り

 




クラプフェンはイタリア語じゃないですよね。
上の写真もウイーンで撮影されたものです。
カーニバルの揚げ菓子の原型は古代ローマのもののようですが、クラプフェンのルーツはオーストリアです。
一説によると、オーストリアのグラーツという町からウイーンへ伝わり、そしてオーストリアが統治する北イタリアのロンバルド=ヴェネト王国へ伝わります。
さらに広まって、特にトレンティーノ=アルト・アディジェ地方で人気が出ました。
でも、この地方以外では、クラプフェンはボンボローニという名前で呼ばれるようになりました。
両方、ほぼ同じものです。

フィレンツェのボンボローニ。

bomboloni!
bomboloni! / rfarmer



フィレンツェのバールで、アプリコットジャム入りボンボローニとカプチーノ。

bomboloni con marmellata
bomboloni con marmellata / thepinkpeppercorn




結論は、世界中みんなドーナッツが好きってことで。


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関連雑誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2012年2月号、“クラプフェンとボンボローニ”の記事の解説とリチェッタは、「総合解説」2012年2月号(まもなく発売)に載っています。

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カーニバルのフリトレ

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オリンピックも終わって、今朝は祭りが終わる時のちょっとさびしい余韻が残っていますが、今年のカーニバルはこれからが本番。
まだ引っ張りますよー。

シチリアで一番美しいカーニバルがうたい文句の、カターニア県はアチレアーレのカーニバル。
2013年のアチレアーレのカーニバルの観客へのインタビュー。
 ↓



なんと、レイヤーとゆるキャラの祭典だ~、超楽しそう~。
いやー、このシーズンイタリアに行く人は、週末が楽しみですねー。

前回は、イタリアのドイツ語圏ではクラプフェン、その他の地域ではボンボローニと呼ばれる揚げ菓子の話でしたが、今回はヴェネトのカーバルの揚げ菓子、フリトレの話です。




材料を混ぜて生地を作り、スプーンですくって油に落として揚げる一口サイズの可愛いフリッター。

『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事で紹介している、フリトレ売りが登場するガエタノ・ゲラルド・ザンピーニの、18世紀ヴェネチアの庶民の暮らしが分る絵というのはこちら

18世紀と言うと、日本じゃ江戸時代中期。
そのころ、ヴェネチアあたりじゃ、こんなのを食べていたんですねえ。

生地に入っているレーズンはシチリアから運ばれたものだというから、当時、よその地方では、レーズン入りのお菓子は珍しかったかも。
これが18世紀末のカーニバルで大人気になったんだそうです。
18世紀といえば、ヴェネチアのカーニバルは最盛期を迎えていました。
なんと、今より豪華だったんだそうですよー。

その火付け役になったのが、ヴェネチア出身のカサノヴァです。
自らの女性遍歴を綴った自伝によって、カーニバルの神話性があおられて、好奇心一杯の観光客が街にあふれたんだそうです。

フェリーニ『カサノバ』(1979年)
 ↓



ところで、『ア・ターヴォラ』の“カーニバルのフリット”という記事で紹介しているリチェッタに、テンプラが2つもありました。
ひょっとすると、今、イタリアで一番トレンディーなカーニバルのフリットは、天ぷらかもしれません。


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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』、『ア・ターヴォラ』、フリトレとカーニバルのフリットのリチェッタは、「総合解説C&C」2012年2月号(もうすぐ発売)に載っています。

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カネデルリ

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今日は、北イタリアの農民料理の基本、と言われる料理の話。
なんだと思います?

ヒントは、語源はドイツ語。
さらに、冬の台所に、パンと牛乳と玉ねぎ、スパイスしかない時、何を作りますか?

答えは、この料理です。
 ↓
Festa dei canederli ~ Knödelfest
Festa dei canederli ~ Knödelfest / Val Gardena - Gröden Marketing



カネデルリです。
ドイツ語で丸い結び目と言う意味のknotが語源。

ひき肉なしのハンバーグみたいなものですかね。
確かに、よく目にするし耳にする料理で、このブログで以前にも取り上げたことがありますが(こちら)、素朴すぎて、まさかこれが、北イタリアの農民料理の基本だとは、考えたこともなかったです。

リッチにしたければ、サラミ類を加えて、玉ねぎと脂身は炒めて、パンに全部の材料を吸い込ませて丸め、ブロードでゆでるだけ。
作り方も手軽で、かつ、冬の寒い日に体が温まるし、カロリーも取れる一品。

もっとも一般的なのはスペックのカネデルリ。
ピエモンテのアレッサンドリア県フラスカーロという町で、昔ながらの伝統料理を出す店、トラットリーア・デル・タッコノッティのリチェッタ。
 ↓


ブロードじゃなくてお湯でゆでてからブロード・ディ・カルネをかけてます。

シンプルなだけに、バリエーションも豊富。
混ぜる材料は自由だし、ブロードじゃなくて溶かしバターをかけてもいいし、今回解説に載せたリチェッタにはジャスミンティーをかけたドルチェバージョンまであります。
付け合わせも無数。




この料理の魅力は、柔らかさと丸さ。
カネデルリの本場、トレンティーノ=アルト・アディジェを訪れる機会があったら、ぜひそこらへんをチックしながら、この料理を食べてみたいものです。

それと、もう一つのチェックポイントはパン。
カネデルリに最適なパンは、数日乾燥させた生地が締まった耳のない白パン。

カネデルリを食べるなら、地元のパンも要チェックですね。
下の動画の後半はアルト・アディジェのパン屋さんの紹介。
 





そういえば、カネデルリ以外にも北イタリアの代表的な料理がありました。
北ではとても一般的ですが、カンバーニアより南では、めったにお目にかかりません。
「テーブルの金」と呼ばれるものです。
なんだと思いますか?

答えは次回。



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関連雑誌;『ア・ターヴォラ』2012年2月号、“カネデルリ”のリチェッタは、「総合解説C&C」2012
年2月号に載っています。

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ストーロのポレンタ粉

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今日はテーブルの金と呼ばれる食べ物の話。

何のことでしょう。
答えはこれ。
 ↓
Home-made polenta
Home-made polenta / mia3mom


そう、ポレンタ。
とうもろこしの黄色い色が美味しそうですねえ。


ポレンタは、18世紀のヴェネトを中心とする北イタリアの民衆の主食でした。
パンよりポレンタに関する文献のほうが多く残されているんだそうです。
でも、とうもろこしばかり食べていると、必須アミノ酸のナイアシン欠乏症であるペラグラ病になってしまうんだって。
この病気の名前がイタリア語だということからも、どれだけ北イタリアにポレンタが普及していたかがわかりますねえ。

下の動画、伝統的なポレンタの作り方というタイトルですが、電動のニーダーを使ってます。
こういう便利な道具があるんですね。




もっと現代的に作るなら、インスタントポレンタ粉を使う。
情緒も何もないけど、あっという間にできて簡単便利。
1時間近くかき混ぜ続けるのは現代人には不可能だもんね。
グルテンフリー食材としても注目度アップ中。




1時間かけてかき混ぜながら煮るポレンタは、そのうち姿を消す運命だろうなあ。

それにしても、ポレンタの粉として最高と言われている粉があるなんて、知らなかったなあ。

トレント県のストーロという村で作られたものです。
アグリ90という共同組合の製品が有名。
製品を紹介する動画

ストーロ名物、とうもろこしハウス。
10月に収穫した後、山の冷たい風で乾燥させます。
 ↓
La casa de maiz
La casa de maiz / lo.tangelini



ストーロのラ・ポレンテーラという名前のアグリトゥーリズモ。
冬じゃなければ今すぐ行きたい。




ストーロの名物料理。




北の料理のポレンタですが、なぜかナポリでも人気が出ました。
ポレンタの話、次回に続きます。



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関連雑誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2012年2月号、“ポレンタ”の記事とリチェッタは、「総合解説」2012年2月号に載っています。

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カンパーニアのポレンタ料理

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北イタリアの主食として広まったポレンタですが、なぜかカンパーニア人の心もとらえたらしく、カンバーニアには、様々なポレンタ料理があります。
ナポリ商工会議所の力作料理書、“ラ・グランデ・クチーナ・カンパーナ”シリーズの『フリット・ミスト』には、南イタリア各地にあるポレンタのフリット、“scagliuozzi”以外にも、「ポレンタ」という章に約30ものポレンタ料理が載っています。
ほんとに超詳細で豪華な仕様の本です。

ちなみに、本とは関係ないですが、scagliuozziの作り方の動画

バンクーバーのレストランのポレンタフライとわさびマヨ。
 ↓
Polenta fries with wasabi pea mayo (vegan) at The Acorn Restaurant in Vancouver
Polenta fries with wasabi pea mayo (vegan) at The Acorn Restaurant in Vancouver / SweetOnVeg




本のポレンタの章の序文には、こんなことが書いてあります。

「昔は、暖炉の炭で熱くなったレンガの山の上にポレンタ用の銅鍋がのせてあった。
そこから漏れ出る熱は、ポレンタを煮ながら特別な香りを発していた。
家庭の香りだ」

なるほど、カンバーニアでもポレンタが日常と強く結びついていた時代があったんですねえ。
ポレンタを煮る香りって、どんなだったかなあ。

さらに、“cacchiarella”というサンニオ地方の冬の料理には、こんな解説が・・・

「昔は、このポレンタのピッツァは、必ず大鍋で作って、寒い冬の夜に、暖炉の火の周囲に立って暖まりながら食べた。
食べる時は、手で割って分け合った」

カンバーニアの人たちの優しさが伝わってくるような料理ですねえ。

“ポレンタときのこのパスティッチョ”に添えてある文は、

「このパスティッチョは、サーブする前に数分待つこと。
そうすれば固まってきれいに切り分けられて、料理が一層美しくなります」

だって。
この本書いた人も優しいなあ。

カラブリアのポレンタ料理、ラ・フラスカトゥーラ。




知名度を別にすれば、イタリア中、至る所にポレンタ料理はありますねえ。
ポレンタは今でこそとうもろこしの粉の料理ですが、とうもろこしがイタリアに伝わるまでは、ポレンタはとうもろこし以外の粉で作られていました。

有名なのが、古代ローマのプルスです。
現代のローマには、プルスの末裔のようなポレンタ料理が残っています。
有名な料理なので、たぶんみんな知っているはず。
ヒントはセモリナ粉で作ります。
さーて、なんでしょう。



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関連雑誌;『サーレ・エ・ペペ』、“ポレンタ”の記事とリチェッタは「総合解説」2012年2月号に載っています。

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