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Channel: イタリア料理ほんやく三昧
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カルロのポレンタ

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さて、前回の質問、有名なローマ料理で、プルスの末裔のようなポレンタ料理はなんでしょう。
元来ポレンタとは、粉を水で煮たお粥のような食べ物のことで、とうもろこしの粉とは関係なかったということを忘れずに。

セモリナ粉の料理というヒントは、ちょっと簡単すぎましたかねー。
私自身、ローマのセモリナ粉の料理というと、あれしか思い浮かびませんわー。
そう、あれでんがな。

ニョッキ・アッラ・ロマーナ。




丸く抜くのが一般的ですが、レンガ型にすると、ポレンタ感がアップ。

Lo Gnoccho Alla Romana
Lo Gnoccho Alla Romana / Ron Dollete



ニョッキという言葉が書籍に初めて登場したのは16世紀。
ローマでは、古代以来、穀物をすりつぶして作った粉を水に溶いて煮る“プルス”が広く普及していました。
トスカーナ人には豆喰いとう呼び方がありますがせ、ローマ人はプルス喰い(プルティファージ)と呼ばれたほどです。

粉と水を前にしたイタリア人は、これをプルス(ポレンタ)とパスタの2種類に進化させたんですねー。
水に溶いて煮ればポレンタになり、台の上でこねればパスタやパンになる。
その後、パスタは乾麺へと進化して、保存と輸送に耐えて大量生産できる食べ物になり、世界進出を成功させました。

ところがポレンタは、煮るのに時間がかる昔ながらの形を守り、時代の進化から取り残されました。
各家庭で、お母さんが40分かけてかき混ぜながら毎日煮る料理。

こういう料理が生き残るには、作る人の思い入れがどれだけ強いかにかかっていますよねー。
それに価値を見出す人が多ければ生き残りますが、さて、ポレンタはどうなっていくのでしょう。
ポレンタの香りが家庭の香りの思い出、と言う人が残っている間は消えないだろうなあ。

さらに、有名シェフたちの創造力が、どれだけ刺激されるかもポイント。
例えば、カルロ・クラッコシェフは、著書『クールにしたいならエシャロットを使う』の中で、アマランサスのポレンタを紹介しています。
アマランサスって?
ググってちょ。

さらに、定番のポレンタに使う粉は八列とうもろこしの粉だそうですよ。
こんなとうもろこし

食べたければ北海道に行くしかないって言われると、超食べたいじゃん。
メキシコ料理のトルティーヤ用に粉にして売ってるそうなので、イタリアンの皆さんも、ぜひポレンタに挑戦して、カルロ・クラッコばりのポレンタを作ってください。
“カルロのポレンタ”、“アマランサスのポレンタ”のリチッタは本に載ってますよー。


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関連雑誌;『サーレ・エ・ペペ』、“ポレンタ”の記事とリチェッタは「総合解説」2012年2月号に載っています。

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ラルド

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今日はまず、今週末に迫ったイベントの告知から。
3月15日(土)、16日(日)の両日、『洋COOK BOOK FAIR in Tokyo』が開催されます。
facebook

普通の書店ではまずお目にかかれない、世界の料理の専門書を、手に取って見ながら買える、という、画期的なイベントです。
主催は、料理書専門古書店のonakasuitaさん。
webページはこちら
新宿の一軒家の部屋や庭を使った、アットホームなイベントです。

フランス、イタリア、アジアの料理書の専門店たちが出店します。
もちろん、イタリアはクレアパッソが出店です。
当日は、私も行きますよー。
本、一杯出します。
ぜひ、遊びに来てください。
お待ちしています。

場所は、こちら

さて、ポレンタ関連の話で、古代ローマの料理の話を少ししましたが、ラルドも、古代ローマ時代からほとんど作り方が変わっていない食材です。

コロンナータのラルド。
 ↓
lardo di Colonnata
lardo di Colonnata / gramulin



豚の脂身だけど、美味しいものは美味しいから、カロリーなんか、気にならないもん、
と思っていた私ですが、超ショッキングな話を知ってしまいました。

古代ローマでも、ラルドは、エネルギー消費の多いガテン系の人のための食べ物だったんだってー。

レギオン軍団の兵士には3日に1回、支給されたんだって。
ぶほ、レギオン軍団と言えば、こんなみなさん。

 



命がけで戦う戦士と同じ食べ物を、一日中ほとんど運動しないおばちゃんが食べていいのでしょうか。
兵士以外にも、大理石鉱山の鉱夫の間でも人気だったんだって。
やっぱり、美味しいからって気楽に食べれるもんじゃないなあ。

20世紀半ばまでは、ラルドとラードは料理の基本の食材で、農家の食事のベースだったんだそうです。

ラルドを語るには豚を知らなくては。
次は豚の話です。



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イタリアの黒豚たち

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まずはご挨拶から。
土日のイベント、来てくださった皆様、ありがとうございました。
いや~楽しかったです。
く○○さんもイタリア○○さんも早○○さんも、まさかお会いできるとは思っていなかったので、大感激です。
初めてお目にかかった皆様も、イタリア料理を勉強したいという熱い情熱をお持ちの方ばかりで、こりゃあ、日本のイタリア料理界の将来は明るいなあ、なんて、感無量です。
そこでぽっこり湧いて出た、イタリア料理書を読むイタリア語講座の話も、ぜひ実現させましょぅねー。
賛同者の方、お待ちしてます。
とにかく、皆さんの話が面白すぎて、喉が枯れるほどしゃべり倒しました。
このブログのオフ会やったら楽しそうだなあ。
ワインや食材のテイスティングを兼ねたオフ会なんてどうでしょう。
輸入業者の方やご自分のご商売をイタリア料理人にPRしたい皆様、ぜひ、ご参加ください。
スポンサー募集します。
今回の主催者、onakasuitaさんにも、こんな場を設けていただいて大感謝です。
あざーす。

さて、イタリア料理の話に戻りましょう。
豚の話ですよ~。
切り口はラルドでしたね。

スパゲッティやピッツァ、パルミジャーノ、コーヒーは、イタリアが世界に誇る食材です。
それと、最近はスペインに押されていますが、生ハムだって、世界に誇っています。

イタリアには、生ハムのほかにも、パンチェッタとか、ラルドとか、グアンチャーレとか、サラミとか、豚肉の保存加工品が色々ありますよね。
特にラルドのような高カロリーの脂身を美味しく食べる文化が、古代ローマ時代から20世紀半ばまで続いていたという話は前回しました。

脂身を美味しくいただくには、分厚い脂身をつけた豚が必要です。
分厚い脂身を付けた豚とは、はっきり言うと、太った豚のことです。
ラルドは背中の皮下脂肪。
これが厚さは3㎝以上必要です。

The Big Pig
The Big Pig / lastquest


だから、イタリアでは太りやすい豚が優れた品種の証でした。
こんなに脂身がたくさんつく家畜、他にいます?

品種改良というのは、科学者が遺伝子をいじらなくても、消費者が市場で取捨選択をすることによっても自然と行われます。
21世紀の現代社会で、重装歩兵や鉱山労働者と同じカロリーを必要とする人は、確実に減っているわけで、脂身が多い肉が売れなくなれば、生産者は脂身の少ない肉を作るようになります。
脂身がつきにくい豚から美味しいラルドを作るのは、以前より難しくなっていることは間違いないですよね。

高カロリーが敬遠される現代で、豚の脂身を売るには、どうしたらいいのでしょう。
その方法の一つが、地方の伝統を受け継いだ洗練された製品とする、高級品化です。

ラルドの産地として有名なアルナッドとコロンナータですが、どちらも、原料となる豚は、パルマの生ハム用に飼育されている豚の背脂だそうです。

ただ、ラルドはイタリア各地で地元産の豚を原料にして作られています。

各地で地元のサルメリーアや農家が遺伝子選択や飼料などを工夫して、独自の豚を育てているわけですねー。

そうした地元密着豚の代表的な品種が、チンタ・セネーゼです。


Cinta Senese
Cinta Senese / Walter Saporiti



ロマーニャ地方では、モーラ・ロマニョーラ種がブランド化に成功。





カンバーニアではカセルターナ




シチリアでは、ネロ・シチリアーノと総称される黒豚。





ネロ・ディ・地名というパターンの黒豚が土着品種の代表的な名前のようですね。
とにかくすごい数があります。
部外者から見ると、どれも同じに見えるのですが、村ごとに独自の進化をさせた食材を作るのがイタリアの特徴。


カンバーニアの職人による豚肉加工のワークショップ
豚の解体、サラミ作り
 ↓



内臓も脂身も使って、お肉屋さんは、いろんな加工製品を作るんですねー。
サラミは冬の間の保存食として必需品だったので、人出のある祭りとか宗教行事と合わせて毎年同じ日に売りました。
なので、作る日や豚をさばく日も決まっていました。
そんな話をしながらサラミを作っていく職人さん、カッコイイですねー。

ところで、ドングリを与えて育てた豚はオレイン酸が多くて、新鮮な牧草で育てた豚はリノレン酸とビタミンEが多いって、知ってました?
確か、以前に豚の脂身の話をした時に、脂肪酸の話もしたと思うんですが、要は、これは脂肪酸の話なんです。
どうやら、ライバルのイベリコ豚に劣らずイタリア豚の栄養価も優れている、と言う時に、この話を持ち出すようですよ。



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関連雑誌;『ヴィエ・デル・グスト』2012年2月号、“ラルド”の記事の解説は「総合解説」2011年2月号に載っています。

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シェフの料理教室

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今日は、シェフの料理教室の話。
『ガンベロ・ロッソ』によると、有名シェフの料理教室がブームなんだそうです。
シェフたちのテレビの露出が増えたのと、それに刺激を受けて食の知識を求める一般の人たちが増えたのが直接の原因のよう。

ただし、料理教室と言っても、お店でちゃちゃっとやるのではなく、自然に囲まれた郊外の畑付きの美しい田舎屋で、テラスでバーベキューしたり、スイートルーム付きだったりと、すごーいおもてなしぶりなんですよ。

もう、立派な多角経営の一環ですね。

多角経営の田舎のレストランと言えば、ホテル、農園と、昔から頑張っているのがドン・アルフォンソ。
 ↓



もちろん料理教室もあります。
自家製野菜、魚、肉、パスタ、ドルチェなどのテーマで、1人で参加の場合1レッスン290ユーロ!
円安の今だと約4万円。
信じられない値段ですねー。
先生はスーシェフだそうです。


バーベキューの教室があるのはアットマンのイグレス・コレッリシェフ。
 ↓



レストランじゃないけど、外国人向けに、1週間イタリア料理にどっぷりつかるコースとか、あります。
ローマの国際的なイタリア料理学校アルマ(webページはこちら)の外国人向けコースは、マーケティングの天才、ジョルジョ・ルンガロッティと提携。
ルンガロッティはワイン・リゾート・アンド・スパもやってます。
教室はウンブリアのトルジャーノ。
観光や外食の時間、ビジネス向けコースもあります。
 ↓


外国人向けのイタリアン・エクスペリエンスのコースの詳細はこちら
ウエルカムディナーまである1週間のコースで一人1990ユーロ!

おそらく今、最も注目されているのは、2014年のミシュランで、8件目の3つ星レストランになった店のシェフがやっている料理教室。
次回はその話。



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関連雑誌;『ガンベロ・ロッソ』2012年2月号、“シェフたちの料理教室”の記事の解説は、「総合解説」2012年2月号に載っています。

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ムスカリの球根

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今日はイタリア便りです。
それでは、segnalibroさん、お願いしまーす。


去年の春、初めて八百屋さんの軒先で見たとき、これはもしかして里芋じゃないのか!!
と、私をぬか喜びさせたもの。
それがこれ。




札にはLampascioniと書いてありました。
ランパショーニって何?
ネットで検索すると、プーリア州周辺で食されている食用ムスカリLampascioneの球根なのだとわかりました。
茶碗蒸しに入れる、ユリ根みたいなものかしら?
わからないけど、とりあえず購入。
人生、チャレンジが必要ですよね!




イタリアは、国土の約1/3が山岳地帯なのですが、プーリア州のそれはわずか1.5%。
残りの98.5%は平野か丘陵地帯。
降り注ぐ太陽のおかげもあって、プーリア州ではおいしい作物が収穫できるのですけれど、多分、これもその一つに違いない!!
プーリア州中部からバジリカータ州マテーラにかけては、カルスト台地が広がっていて、ランパショーネはそこに自生する野生の球根なのだとか。

レシピを検索し、トップに出てきた『ランパショーニのポルペッテ』を作ってみることにしました。
www.youtube.com/watch?v=q_LD2pl1A5w
ランパショーネ500gを下処理し、圧力鍋なら約30分、そうでないなら1時間半ゆでて、フォークで潰す。
卵6個、ペコリーノチーズ、にんにく1片、塩、イタリアンパセリ、小麦粉と混ぜ合わせ、スプーンで落としながら油で揚げる、というもの。

玉ねぎみたいに皮をむいたランパショーニは、少しぬめりがあって、やっぱり里芋風。
このレシピによると、ゆでた球根にオリーブオイルをかけただけでもアンティパストの一品になるのだとか。
なるほど。試してみよう。
ユリ根や里芋を想像しつつ、ゆであがったものを味見してみると・・・

げげっ。購入したことを深く後悔するような、すんごい苦みが口の中に広がりました。
これは、たっぷりの卵やチーズが必要なはずやわ・・・。 思わず捨ててしまいたくなりそうな気持ちを押さえ、そのまま調理続行。
めったに揚げものをしない、超素人の一品が出来上がりました。



これ、揚げたては、ほろ苦でいけるー。
子供の頃、野原でたくさん取ったツクシの卵とじを思い出すような、そんなほろ苦さです。
冷めてしまうと苦味は徐々に戻ってきますが、ルーコラとかラディッキオとか、ちょっぴり苦味がある野菜を好むイタリア人が好きそうな、なるほどな味だと納得しました。
1年に1度くらいは食べたいかも。

さて、この一部始終を、お花を愛する日本の友人達に話したところ、一斉砲撃されました。
ムスカリって、可愛らしい花が咲く、あのムスカリ?
食べれるの?
日本では、球根は毒があるから食べたらいけないって言われてるよ。

え、どうしよう。食べちゃったよ。私の体、大丈夫か?

あれから1年が経ちましたが、どうやら私の体、大丈夫なようです。
よかったー。
でも、大丈夫っていうことは、ムスカリの球根ではないのか?と思い、今年は水栽培してみました。




やっぱりムスカリですよね?
ランパショーネは、遺伝子学的にざっくり分けると、アスパラと同じ部類に入るのだそうです。
そう思うと、やっぱり食用可な種類があるのかも?
ちなみにこれ以外の食べ方としては、オイル漬け、フリッタータ(卵焼き)、素揚げ、子羊とじゃがいもと一緒にオーブンで焼いて付け合わせにしたりするようです。
アクを抜くために、1時間水にさらすというレシピもありました。
小玉ねぎだと思って今まで気にとめていませんでしたが、よく見ると、スーパーにも瓶入りランパショーニの酢漬けが売られていました。



小玉ねぎだと思って食べると、驚くこと間違いなしです。


ハハ、今回も楽しいエピソードでしたねえ。
ランパッショーニを初めて食べた日本人は、好きか嫌いか、どっちかですよね。
私は嫌い。
水栽培するほど、また食べる気満々のようですが、その栽培したやつ、食べた?
さすがにムスカリの球根としては食べないか。
野生のルーコラとか、チコーリアとかは、ほろ苦さが特徴だけど、栽培したものは多分苦さが弱まって、少し食べやすくなってるんじゃない?
でも、苦くないランパッショーニなんてランパッショーニじゃないしなあ。

ちなみに、イタリアでサトイモはtaroじゃないかなあ。
料理書で見かけたことは一度もありません。

みなさん、こんなsegnalibroさんに温かい突っ込みコメント、お待ちしてま~す。
お気軽にどうぞ。



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レアーレとイマーゴ

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シェフの料理教室の話に戻ります。
2014年版ミシュランで、2つ星から3つ星になつたレストラン、レアーレ。
彼のことは以前にこのブログで紹介しています。
こちら

『クチーナ・エ・ヴィーニ』誌が彼のリチェッタを紹介したのは3つ星になる2年前の2012年のことでした。
その時の記事には、彼がいかにしてホテルと料理学校を経営するとになったのか、そのいきさつなどが書かれています。

すべては、2007年に16世紀の修道院を含む2500㎡の広大な敷地を購入したことから始まったんだそうです。
この敷地には、果樹園、庭園、養蜂場、ぶどう畑があり、レストランで使う食材やワインも作っています。
さらに、料理学校は、世界にアピールできるプロフェッショナルの養成を目的としています。
レッスンには、3つ星レストランでの仕事も含まれています。

学べる料理は、アブルッツォの農業や牧畜業の伝統、森や丘陵、牧草地で生まれた産物の深い知識から生まれたもの。

授業が始まるのが3月末だそうなので、もう始まったころですかね。
プロコースは生徒が最大15人。
トータル675時間のレッスンで€12000。

アマチュア向けのレッスンは1日で€150のコースなど様々。
レアーレのホテル、カサドンナも1泊€150ぐらいの部屋からあるようです。

詳細はこちらのwebページで。

さて、今月号の解説では、シェフをもう一人紹介しています。
ローマのホテルハスラーのレストラン、イマーゴのフランチェスコ・アプレダ・シェフです。

ローマのスペイン広場の上というロマンチックなロケーションの5つ星ホテルの、そのまた最上階のローマを見渡す360度の眺望に恵まれたレストラン。
新婚旅行でイタリアに来て、最後に一回、高級ホテルでぱあっとユーロを使い切って思い出に残る食事がしたい、というようなリア充さんたちには、まさにうってつけのレストランです。

レストランとシェフ
 ↓



店のwebページはこちら

このシェフ、ナポリ出身ですが、ホテルのオーナーのお声がかりで、なんと東京の帝国ホテルで2年間、働いたそうですよ。
そこでラーメンに出会ったようで、なんだかラーメンに影響を受けたかも?と思われるパスタを発表しています。
アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノをイタリア人シェフがラーメン風にアレンジするとどうなるんでしょうか。
発想は面白い。
ちなみにウナギ入りです。

有名シェフが発表したこの料理は、イタリア人にも注目されたようで、ネット状にはシェフの料理そっくりに再現した人たちもちらほら見つかります。
その一人がこちら

シェフの料理はこちら

麺にスズキの粗でとったスープをかけて仕上げます。
ラーメン通に食べさせたいなあ。



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関連雑誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2012年2/3月号、『ア・ターヴォラ』2012年2月号、ニコ・ロミートシェフとフランチェスコ・アプレダシェフの記事とリチッェタは、「総合解説」2012年2月号に載っています。

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唐辛子好きのアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ

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前回は、ラーメンに影響を受けたアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノを作るローマの有名レストランのイタリア人シェフを紹介しましたが、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノは奥が深い!
まだまだありますよ~。
新しいアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ。

今度は、イタリアの唐辛子の女王で、イタリア最大の唐辛子生産者で、別名ミス・チリ・ペッパーことリタ・サルヴァドーリさんの農場、ペペリータの話。
リタさんは、ワインで有名なトスカーナのボルゲリの近くに農場を所有し、200品種、29,000本の唐辛子を有機栽培しています。

ペペリータの製品
 ↓


唐辛子製品ならなんでもあるペペリータのwebページこちら

意外なことに、イタリアの唐辛子産業の核はトスカーナにあったんですねー。

唐辛子を200種類なんて、そんなに栽培してどうするんでしょう。
唐辛子好きにはきっとパラダイスなんでしょうねー。

私なんか、未だに一番辛いのはハバネロだと思ってましたが、もう違うんですねー。
ナーガ・モリッチですって。
知ってました?

ハバネロの4倍の超激辛のナーガ・モリッチ
取扱い注意だって。
なんか怖い。
 ↓
Naga Morich
Naga Morich / wstryder



ペペリータでは、オステリアも経営しています。
店では、どんなアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノをだしているのでしょうか。
なんと、農園で栽培した6種類の生唐辛子を使い分けて、唐辛子の品種別に作っているんだそうです。

唐辛子の品種が違う6種類のアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ。
誰かがやってそうですね。
もうやってますか?
店のメニューを調べてみたのですが(こちら)、なんと、
Tripolitina con aglio, olio e peperoncino Naga Morich
と言うのがありました。
アーリオ・オーリオ・ナーガ・モリッチですよ。

こちらの唐辛子好きのフォーラムに、ナーガ・モリッチをわざわざ栽培して初めて食した人のコメントがありました。

もう二度と食べたくないだって。
どんな苦しみを味わったか細かくレポートされてますが、苦しみは20分続いたそうです。
娘がアーリオ・オーリオ・ナーガ・モリッチを作った時は一目散に逃げ出したんだって。

こんなメニューもありました。
Caponata di tofu con peperoncino Scotch Bonnet
 豆腐のカポナータ、スコッチボンネット唐辛子入り、だって。

豆腐のカポナータは美味しそうなのに、スコッチボンネット唐辛子ってなんですか?
この店のメニューは全部こんな調子で罰ゲームみたいです。
なんなんでしょうねえ、辛いもの好きのドSっぷりは。

ただし、店では、生のナーガ・モリッチをそのまま使うことはないようです。
パスタも小麦粉の麺じゃありません。
くれぐれもそのまま使わないように。
でも、もし誰か作ったらどんな味だったか教えてちょ。
リチェッタは、次号の「総合解説」に載せましたので、もう少しお待ちください。




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関連雑誌『ア・ターヴォラ』2012年3月号、“ペペリータの唐辛子”のリチェッタは「総合解説2012年3月号」に載っています。
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フォカッチャ・バレーゼ

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今日はバーリのフォカッチャの話。

フォカッチャ・バレーゼ
 ↓
Focaccia barese Buon Ferragosto!
Focaccia barese Buon Ferragosto! / ci_polla



バーリのフォカッチャって、IGPに認定されている食品なんですね。
IGPとは、Identificazione Geografica Protettaの略。
詳しい説明はイタリア貿易振興会のこちらのページをどうぞ。
元々は農民や猟師さんの食べ物だったとか。
今は学生が学校に持っていくスナックとか、サッカー観戦のお供として大人気。

2010年には管理組合(webページ)までできていたんです。
管理組合誕生を伝える動画
 ↓




バーリのフォカッチャの事前知識が全然なくても、バーリでフォカチャを偶然食べて、すごく美味しくてすっかりお気に入りになった、という人は、案外多いのではないでしょうか。

丸い形をしているので、別名、ルオータ(車輪という意味)と呼ばれるんだそうです。
生地の厚さなどのバリエーションは様々。
あえてナポリのピッツァとの違いを探すなら、モツッァレッラがのっていないことと、生地にじゃがいもを加える点でしょうか。

管理組合では、リチェッタも公表しています。
原文はこちら

フォカッチャ・バレーゼFocacccia barese
材料/6人分
 00タイプ小麦粉・・250g
 セモリナ粉のリマチナート・・250g
 EVオリーブオイル・・大さじ8
 サワードウ・・1塊
 砂糖
 じゃがいも
 ぬるま湯・・300ml
   チェリートマト
 オリーブの塩水漬け
 オレガノ
・2種類の小麦粉をふるって混ぜる。油大さじ6、ぬるま湯100mlで溶いたサワードウ、塩、砂糖、じゃがいもを加える。
・残りのぬるま湯を少しずつ加えながらこねて柔らかい生地にする。
・約30cm角の天板に油大さじ1を塗り、生地を入れる。表面に残りの油を塗りながら生地を押して型一杯に広げる。
・半分に切ったトマト、オリーブをのせてオレガノと塩を散らし、270度のオーブンで25~30分焼く。
・厚い生地にする時は、ゆでて潰したじゃがいも2個を加える。


ジェッロ・ザッフェラーノの動画から、管理組合の会員で、南イタリアガストロノミア・ストリカ・アカデミー会員のサンドロ・ロマーノ氏が作るフォカッチャ・バレーゼ
 ↓




こちらでは、小麦粉は0タイプですね。
確かに、バリエーションはかなり様々なようです。




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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2012年2月号、“バーリ”のグルメガイドの記事は、「総合解説」2012年2月号に載っています。

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バーリとジェノヴァのフォカッチャの店

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今日は、フォカッチャ・バレーゼで有名な店の紹介。
まずは何と言とっても一番の大御所、フィオーレ。
店の4代目で、信仰心の厚さでバーリの人たちから尊敬され、フォカッチャ・バレーゼの王様と呼ばれていた ミンモことドメニコ・フィオーレ氏が2011年8月に74歳で亡くなった時は、ニュースになりました。

そういえば、先日は、ティラミス発祥の店として知られるトレヴィーゾのレ・ベッケリーエ(webページ)が閉店したというびっくりニュースを聞いて(grazie mi○○先生)、一度食べておきたかったあ、と思ったものですが、もう後の祭り。
フォカッチャ・バレーゼの王様のもっとも伝統的と言われるフォカッチャも、食べておきたかったなあ。
現在は、5代目のトーニ氏が切り盛りしているそうで、フォカッチャの味は、観光客からの評価は相変わらず高いようです。

フォカッチャ・バレーゼ管理組合の会員の店のリストはこちらのページ

ガンベロ・ロッソのガイドブック『ストリート・フード』に載っている店は、Conticchi, Panifico Santa Fara, El Focaccairo。
どの店も、紹介できるほどの情報がな~い。

そうそう、フォカッチャと言えばジェノヴァのフォカッチャも有名です。
バーリとジェノヴァは姉妹都市だそうで。
2つのフォカッチャはどう違うのか、バレーゼの時と同じ、ジャッロ・ザッフェラーノの動画で比べてみましょうか。





じゃがいももトマトもないですね。
小麦粉はマニトバ粉。
基本的に、伝統的なものほど味がシンプルです。
これはバーリのフォカッチャよりかなりシンプルで、これだけでオリジナルはこちら、という強い根拠になりますねえ。

大きな違いは、ジェノヴァのフォカッチャはパンに近くて、バーリのフォカッチャはピッツァに近い、という点。

ちなみに、こちらのページはジェノヴァ人が選んだジェノヴァのフォカッチャの店、ベスト10が紹介されています。
1位になったのは、Cecconiという店。
ところがなんと、このサイトで1位になったことでお客が殺到して、お昼前に売り切れちゃう事態になつちゃったんだそうです。
じゃあ2位や3位の店に行けばいいかも。



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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2012年2月号、“バーリ”のグルメガイドの記事は、「総合解説」2012年2月号に載っています。

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ヴィチェンツァのバカラ、カラブリアのストッコ

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今年の復活祭は4月20日です。
日本では、ネズミの国の影響で、イースターという名前が定着しそうですね。

そこで、今日はバッカラ料理の話。
なんでかというと、バッカラは四旬節、つまり復活祭前の、肉食を断つ期間の定番食材なんですねー。
イタリアでもっともお馴染みのバッカラ料理って、なんだと思いますか?
答えは、マンテカートかと思ったけど、ヴィチェンツァ風だって。

ちょっと意外。
うーんこの料理、聞いたことあるけど、姿が思い出せない。

こんな料理
 ↓



バッカラ・マンテーカト。
 ↓



ヴィチェンツァ風を作る時は、絶対かき混ぜてはいけません。
想像はつきますが、かき混ぜるとマンテカートになっちゃうんでしょうねー。

作り方はこちら

バッカラは、ノルウェーから船で輸入されたので、ジェノヴァ、ヴェネチア、ナポリといった港町にまず広まりました。
ヴィチェンツァは、パッラーディオの建築で有名な、ヴェネト州の世界遺産の町。
ヴェネチアとトレントを結ぶ、交通の要所です。
ヴィチェンツァ風バッカラの話は、以前取り上げたことがありました
こちら
でも、例によってすっかり忘れてる。

そうそう、cが1つのバカラでしたね。
つまり、
塩漬けしていない干ダラ、ストッカフィッソの料理です。

ストッカフィッソの中でもノルウェーのロフォーテン諸島で作られる大型のラーニョと呼ばれるものが最上と言われています。
イタリアのストッカフィッソの地方料理は、たいていラーニョを使います。
この市場では、35ユーロ。
 ↓



ノルウェー産のストッカフィッソが、なぜか名物になっている町があります。
しかもカラブリアに。
マンモラという町です。
なんで産地でもないのに干ダラが名物になりえるのかというと、戻す職人の技術や地元の水が特別らしいです。

マンモラのレストランのメニュー。
ここでは、ストッカフィッソのことをストッコと呼びます。
 ↓




ストッコのラビオリ、ストッコのインボルティーニ。ストッコのポルペッテ、ストッコのキノコ風味、マンモラ風ストッコ、なすのストッコ詰め。
どんだけ干ダラが好きなんでしょうね。

カラブリアって、ほんとに奥が深いわー。




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関連雑誌;『ア・ターヴォラ』2012年2月号、“バッカラのヴィチェンツァ風”の解説は「総合解説」2012年2月号に載っています。

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ラディッキオ・ディ・トレヴィーゾの発明者は

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前回のブログで、バッカラのヴィチェンツァ風を取り上げました。
ヴィチェンツァは、パッラーディオの街、と呼ばれて世界遺産なんですねえ。
パッラーディオは天才建築家で、素晴らしい作品がたくさんありますよねー。

ヴィッラ・ロトンダ。
 ↓



ヴィッラ・ネグリ
 ↓



パラッツォ・キエリカーティ
 ↓



サン・パオロ橋の上から
 ↓



いや~、ヴィチェンツァって美しい街ですねえ。

ヴェネトにはこんなリッチでクールでゴージャスな街がたくさんあります。


ヴェネチア
 ↓



パドヴァ
 ↓


ヴェローナ
 ↓



水の街、トレヴィーゾ。
 ↓ 



ヴェネトの街はどこも美しいですねー。
実は、初めてこの街に足を踏み入れた時は、ラディッキオ・ロッソ・ディ・トレヴィーゾを食べたい、という思い以外は、やたらお金持ちそうな高級感漂う町だなあ、なんて程度の感想しか抱きませんでした。
もったいない。
ところが、先日、ラディッキオの記事を訳していて、突然知りました。
なんと、ラディッキオ・ディ・トレヴィーゾを作りだしたのは、ヴァン・デン・ボーレという造園師だというのです。
彼はトレヴィーゾ郊外の邸宅に英国式庭園を造るために呼ばれてやってきたベルギー人でした。



ふーん、なるほどお。
造園師が品種改良したから、あんなきれいな花みたいな野菜になったのかあ、夢のある話だなあ、なんて感じですっかり納得しかけたんですが、念のため、どんな庭園を造ったのか調べてみたら、出るは出るは、ラディッキオ誕生にまつわるアンチ・ヴァン・デン・ボーレ説。
結局分ったのは、ラディッキオ・ディ・トレヴィーゾ誕生の真相は謎、ということでした。
ガツカリ。

1860~70年代の話なので、日本なら坂本竜馬が活躍していた時代。
ベルギー人の造園師が作りだした花のような赤い野菜、という夢のある話が広まるのも、無理はないか。

ところがティツィアーノが16世紀に描いた絵に、ラディッキオ・ディ・トレヴィーゾが描かれているんだって。
これが反論の最大の根拠。

この絵の左下。

うーん、ラディッキオかなあ。
さらに、ラディッキオに使用される軟白栽培の技術が文書に残されているのは、1860年頃のこと。
とにかく、ますます迷宮の奥深くに入りこんで、抜け出せなくなりました。

ふう。
ラディッキオとゴルゴンゾーラのピッツァで気分転換。
 ↓





古代ローマのパスタの絵と中世のラディッキオ・ロッソの絵は、発見したら世界的大発見ですよ、こりゃ。



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パン・ディ・スパーニャとパータ・ジェノワーズ

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わーん、赤い月も月食も忘れてて見れなかったー。
残念。
でも、その前日は満月だったとか。
ということは、今は下弦の月の時期ですよね。
どうも天体のことはさっぱり自信がないんですが、たぶんそうですよね。
ということは、前回のお題で取り上げたラディッキオなど、家庭菜園で栽培しようと思っているなら、種蒔きの時期ですよー。
ちなみに、ラディッキオは一年中いつでも種蒔きできます。

さて、話は変わって、今回のお題は、スポンジ生地です。

イタリア語でスポンジ生地はPan di Spagna。
パン・ディ・スパーニャ、スペインのパン、です。




しかも、フランス語だと、pâte à génoise。
パータ・ジェノワーズ、ジェノヴァの生地。


ジェノヴァ名物のスポンジ生地のケーキと言えば、サクリパンティーナ。
 ↓



と言うわけで、スポンジ生地になぜスペインやジェノヴァの名前がついているのか、サクリパンティーナから探ってみました。

カルロ・クラッコの地方料理』では、リグーリアのドルチェとして、サクリパンティーナを取り上げています。
クラッコシェフの説明によると、
パン・ディ・スパーニャは、スペイン王に捧げるためにジェノヴァ人のクオーコ・パスティッチェーレによって考え出されたもの。
スペインの宮廷にジェノヴァ大使と同行した彼が、王の誕生日に特別なケーキを作るように依頼されて考え出したもの。
さらに、彼に敬意を表してジェノヴァの生地、と呼ばれるようになりました。

イタリア人にしてみれば、世界中でジェノヴェーゼと呼ばれている生地なのに、なぜイタリアではそう呼ばれないのか、不思議、というか不満、という声もあります。
確かにごもっとも。
なんでパスタ・ジェノヴェーゼじゃなくて、スペインのパンなんでしょうか。

ぶっちゃけ、当時(18世紀半ば)の力関係が影響していたのでは、と私は睨んでます。
世界初のスポンジ生地のケーキをプレゼントされたのは、スペインのフェルディナンド6世。
スペインは没落期に入っていたとはいえ、その直前までは黄金の世紀と呼ばれる輝かしい繁栄期。
イタリアの小さな共和国ジェノヴァは、フランスの支配からスペインによって解放され、貿易と金融業でスペインと共に発展して、スペイン経済に大きく依存していました。
スペインの没落はジェノヴァの没落をも意味します。
スペイン王へのお祝いのケーキにも、「ジェノヴァをよろしくお願いします」という強い思いが込められていたんでしょうねー。

ちなみに、スポンジ生地は、サヴォイアルディからアイデアを得て作られた、とイタリアのwikiには書いてあります(こちら)。
でも、そこで登場するのがサクリパンティーナです。
これはスポンジ生地のケーキなので、もしこちらのほうがスポンジ生地より先にあったなら、サヴォィアルディ説は怪しくなります。


ジェノヴァのリストランテ・ダ・アンドレアのサクリパンティーナ
 ↓




サクリパンティーナも伝説に満ちたドルチェのようです。
その話は次回に。


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スポンジ生地

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現在、スポンジ生地の迷宮を探索中です。

パータ・ジェノワーズは、共立てスポンジ生地のフランス語で、ジェノヴァの人が作ったことにちなんでジェノワーズ生地という名前がつきました。
Lejla Mancusi Sorrentino著『La Dolce Italiana』によると、この命名をしたのは、シブーストなんだそうです。
フランス料理に詳しくないので、何とも言えませんが、そうなんですか?

イタリア語で、共立てスポンジ生地はpan di spagna。
でも、フランス語だとパータ・ジェノヴェーゼpâte génoise、この言葉のイタリア語はpasta genoveseなので、ここでちょっと混乱が。

pan di spangaとpasta genoveseは、同じものなのか、違うのか。

素人は、どっちでもいいや~と思いがちですが、イタリアのwiki先生によると、アングロサクソン系はパータ・ジェノヴェーゼが一般的で、イタリアではパン・ディ・スパーニャが一般的なんだそうです。

上のストロベリーケーキはパン・ディ・スパーニャ、下はレモン・ジェノワーズケーキ。






パン・ディ・スパーニャ(上)とパータ・ジェノワーズ(下)。
 ↓






混ぜる時に熱するのがジェノワーズ、熱しないのがスパーニャ。

ちなみに、別立てのスポンジ生地は、イタリア語ではパスタ・ビスコットと言います。

そういえば、きのうはパスクアでした。

ジェノヴァには、パスクアの名物、トルタ・パスクアリーナと言うのがありました。
トルタだけど、ケーキじゃありません。
野菜のパイ。




次こそは、サクリパンティーナの話です。
多分。


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サクリパンティーナ

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そういえば、イタリアの地方料理で、ジェノワーズ生地のお菓子って、見かけないな~。

サクリパンティーナはジェノヴァのケーキですが、生地はパン・ディ・スパーニャです。








サクリパンティーナは、スポンジ生地とクリームを重ねる、いわゆるレイヤーケーキ。
形もクリームも段数も、バリエーションは無数にあります。

サクリパンティーナというインパクトのある名前には、文学的な由来があります。
『カルロ・クラッコの地方料理』では、“イタリア・パスティッチェーレ界の頂点、イジニオ・マッサーリから聞いた話”として、こう説明しています。

スライスしたパン・ディ・スパーニャで作るサクリパンティーナだか、その名前は文学がルーツだ。
騎士道叙事詩『狂えるオルランド』の登場人部で、サラセン人の兵士サクリパンテにちなむ。
伝統的に、がっちりした体系で自惚れ屋の男のことを、サクリパンテと呼ぶ習慣があった。
このケーキにもこの特徴が当てはまったというわけだ。

狂えるオルランド』は(wiki)、ルネサンスの大傑作ベストセラーファンタジーなので、このドルチェを最初に作った人がこの作品の大ファンだったとしてもなんの不思議もないですねー。
検索してみたら、サクリパンテという名前は、どうやら21世紀のオタクのみなさんには、FFに出てくる武器の名前としてお馴染みな様子。
ゲーム作る人たちって、昔のファンタジーにも、造形深いよねー。

とにかく、サンリパンティーナという変わった名前のおかげで、サラセン人の兵士、サクリパンテが語源というのにはあまり異論はなさそう。

ところで、シブーストがジェノワーズの名付け親(仮)という話は前回しましたが、こちらのサイトにシブーストがスポンジ生地を作りだしたときのエピソードが載っていました。

それによると、1800年、ハンガリー皇帝軍が、ジェノヴァの近くでフランス軍を包囲していた時のことです。
ジェノヴァはフランスに支配されていたという話、覚えてますか?
包囲された町は食料不足に苦しんでいました。
そんな時、港の商店では米の粉に小麦粉を混ぜてパンを作っていました。
それを見たシブーストが、あとで小麦粉と片栗粉を混ぜてスポンジ生地を作ることを思いつき、それにジェノヴァの名前をつけた、というのです。

おーっと、ジェノヴァのパスティッチェーレがスペイン王のために作った説はどこ行ったー。

もうどうでもいいや、って気になってきました。

サクリパンティーナですが、ジェノヴァでは、ジョヴァンニ・ブレーティという人が考え出したといわれています。

ブレーティは今もあって、サクリパンテはお店の名物です。
店のwebページによると(こちら)、考え出したのは1851年。
レシピの特許も取ったそうです。
名前はやはり『狂えるオルランド』から。
でも、この店のサクリパンティーナは一般的なサクリパンティーナとは似ても似つかないもの。
どうなってるんだー。




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「ペーイオ温泉」

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今日はイタリア便りでーす。



な、なんと、カンパリソーダの懸賞でsmart box宿泊券が当たりました!

smart boxという体験型カタログギフトは、こちらでは比較的メジャーなプレゼント方法。
大型スーパーマーケットなどでも販売されています。
というわけで、カタログの中から宿泊したいホテルを選び、初めてトレンティーノ・アルト・アディジェ州に足を踏み入れました。

トレンティーノ・アルト・アディジェ州はスイスとオーストリアに接していて、現在はイタリアですが、第一次世界大戦までは、オーストリアハプスブルグ家の領土であったところです。
自宅から車で半日程度の距離で、なおかつ温泉があることに魅かれて決めたPEJO(ペーイオ)村、3月の下旬でもしっかり雪が残っていました。
ここにはスキー場もあって、日本みたいにスキーの後に温泉、なんて楽しみ方もできそうです。




張り切って温泉に来たのはいいけれど、心配な事が1つ。
ドイツなどゲルマン系の温泉は、水着不可のところが多いんですよね。
しかも男女混浴のオールヌード!!なんてところもあったりして、ここは場所的にゲルマンに近いから・・・。
覚悟を決めて乗り込みました。



が、水着でしたよー。
スイムキャップも必ず着用するように言われ、その場で購入しました。 今回初めて知ったのですが、クナイプ療法元祖のドイツなどと同様、イタリアでもお医者さんの処方箋があれば、温泉治療には健康保険がきくそうです。
施設内の診療エリアには、バスローブを着て診察を待つ人の姿もありました。
もしかして、イタリア医療って案外捨てたものでもないのかも?
日本人の感覚からすると温泉というよりSPAでしたが、ジャグジーやサウナやプールに浸かってそんなことを考えていたら、数か月前に更新した健康保険証が未だに届いてないことを思い出しました。
トホホ、前言撤回です。
で、これは飲泉エリア。



村のレストランやミニスーパーマーケットでは、ここのお水が売られていました。



さて、ごはんです。
満足に下調べもせずバタバタと出発したのですが、図書館で借りてきた雑誌によるとMortandela della val di Non、ノン渓谷のモルタンデラっていうサラミがおいしいのだとか。
wikiによると、腸に詰めないタイプのサラミで、有名なボローニャのモルタデッラとは全くの別物。
昔は舌やレバー、コッパなどの余った豚肉をモルタイオですり潰して作っていたことからこの名がついたそうですが、現在は、パンチェッタとかモモなどで作るのが主流なのだそうです。
山間部のこのあたりは、val di ○○、つまり○○渓谷と呼ばれる地域が多く、行政も渓谷ごとに行われているとのこと。
雑誌掲載のおいしいものリストも、渓谷ごとになっていました。
で、前菜はノン渓谷のモルタンデラのなんとかってのいうのを選択。
スイスのラクレットみたいなじゃがいも料理にモルタンデラが添えられていて、じゃがいもの中にもモルタンデラが挟んでありました。



プリモは初めて食べました、カネデルリ。ドイツ語風に言うとクネーデル。



何を食べてもおいしいのですけど、なぜだか、いつもより全然量が食べれないんです。
セコンドは鹿肉って決めていたのに、プリモを平らげるのでもう精一杯。
なんで?ランチも抜いて臨んだ夕食なのに!!
おやつには温泉近くでジェラート食べたけど・・・。
隣のテーブルでお食事をしていたご夫婦は、昼間アグリツーリズモに行ったそうなのですが、前菜からデザートまで、それはもう、チーズや生クリームがたっぷり使われていて、胃もたれして帰ってきたと話していました。
あー、きっとそれだ。 おいしいけど、めちゃくちゃ重いんです。
ここのシェフいわく、『うちの料理は現代風にアレンジしているからね。昔はもっとこってりしていたんだよ』 えー、そうなの?私、気付くの遅かったかも。
カネデルリを食べきると、もう胃が重くてはちきれそうだったのですが、どうしても食べたかったストゥルーデル(ドイツ語風ではシュトゥルーデル)はすごく小さいのを下さいってお願いし、半泣きになりながら気合いで平らげました。



長く厳しいアルプスの冬を乗り越えるには、これだけのカロリーが必要なのだと心から実感しました。
ホテルのお部屋から小さく見えたおじさん、雪かき頑張ってー。



と言うわけで、再び懸賞生活がんばりまーす。


へえ~、スマートボックスって初めて聞きました。
詳しくはこちらのページに説明が。
体験ギフトだって。
すごい雪ですねー。
べーイオは、標高1173mだそうで。
あっちもこっちもバカンスで、いいなあ。



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ガルファニャーナのファッロ

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リーゾで作るからリゾットrisotto。





オルゾで作ればオルゾットorzotto。





では、問題です。

ファッロで作ったら?

答えはファッロットfarrottoだって。




これは知らなかったなあ。

でも、わかっちゃった。
そうですよ。
穀物の名前の語尾にttoをつければいいんですよー。

オルゾットはよく耳にしますが、ファッロットは初めて聞いたなあ。

そこで、今回のお題はファッロfarroです。




ファッロの中でも大粒のものはスペルタとも呼ばれ、これがおそらく、日本名のスペルト小麦の元。
小麦によく似ていて、小麦の祖先と考えられている穀物です。

注目されるようになったのは比較的最近ですが、古代ローマ時代には、ローマ人の主食ことplus(プルス;ポレンタの一種)を、このファッロの粉で作っていたそうです。
ローマ時代の庶民の主食だったんですねー。
ファッロはエジプトから輸入されて、富裕層はパンにして食べていたそうです。
中東では7千年も前から知られていたそうです。

ファッロはラテン語ではfarですが、この言葉がfarinaの語源なんだそうです。

中世やルネサンス以降、小麦に押されて次第に姿を消していきますが、地方料理とその食材が注目されるようになって返り咲きました。
特に、ガルファニャーナの住民がその栽培や普及に努めた成果が大きかったようです。


ガルファニャーナは、トスカーナはルッカ県のアペニン山脈とアプアナ山脈の間。




ガルファニャーナのファッロはIGP(保護指定地域表示)製品。




ガルファニャーナでは、イタリアの他の地方で栽培されているファッロとは特徴が違うと主張しています。
他の穀物と比べると、タンパク質と食物繊維が多くてカロリーは少ないのだそうです。
栽培には、化学肥料、殺虫剤、除草剤は一切使っていません。
イタリアの特産品という位置づけで、インターナショナルに売り出しているようですが、知名度はいまひとつかも。
頑張れ~。

次回はファッロのリチェッタです。



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関連雑誌;『サーレ・エ・ペペ』2012年3月号、“ガルファニャーナのファッロ”の解説は、「総合解説」2012年3月号(まもなく発売です)に載っています。

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ファッロ・スペッツァート

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ファッロの話、続けます。

まずは、例によって、カルロ・クラッコ氏がファッロについてどんなことを書いているか、見てみましょう。
カルロ・クラッコの地方料理』には、こうあります。

ファッロはとても重用された穀物だ。
特に南フランスではepeautreエポートルと呼ばれてリゾットにした。
クラシックなイタリアのリゾットにも欠かせなかった。
ファッロのリゾットはとても興味深い料理だ。
ファッロの粉は生パスタにも使う。
黒ずんだ色になるが、芳ばしく、美味しいパスタになる。

米の場合は割れた米粒を粉にするが、割れたファッロfarro spezzatoはズッパにすると美味しい。
煮ている間に澱粉が溶け出てとろみがつくからだ。

彼が本で紹介しているファッロのリチェッタは、ウンブリア料理の一つ、ファッロのミネストラです。

私はミネストラの香りが大好きだ。
今回の料理は、ファッロのミネストラという名前だが、ファッロはごく一部に過ぎない。
ファッロのミネストラは、ウンブリアの典型的な料理だが、トスカーナなど他の多くの場所で作られている。
例えば、ガルファニャーナやバジリカータでも定番料理だ。
しかも、ラツィオの典型的な料理でもあった。
とても古い料理で、farricelloファッリチェッロと呼ばれた。

今回紹介する料理には、ウンブリアにあるすべての豆が使われている。
ファジョーリ・リジーナ、ファジョーリ・デル・ラーゴ・トラジメーノ、テルニやオルヴィエートのそら豆、チヴィタ・ディ・カッシアのロヴェーヤ(グリーンピースに似た豆だが色は黒い)など。
どれも地元の特産品で、忘れ去られかけていたが、個性的な特徴のおかげで再び日の目を浴びた豆ばかりだ。

ミラノのシェフでも、ウンブリアの豆にも造詣が深いんですねえ。

ファッロ・スペッツァートという言葉が出てきました。
なあるほど、割り麦を使うのかあ。

参考までに、ファッロ・スペッツァートがベースの一品。
 ↓





『サーレ・エ・ぺぺ』の記事にもありましたが、ファッロは脱穀機を通しても外皮が取れないんだそうです。
この点が、そもそも、パン小麦とファッロの大きな違いなんですねー。
ファッロがパン小麦ほど普及しなかったのもそのせい。
石臼で挽いても効果はさほどないようなので、知らないでパン小麦みたいに脱穀しようとすると、大変な作業になるもよう。

殻つきファッロは、ファッロ・インテーロfarro intero。
脱穀したものはファッロ・デコルティカートfarro decorticato。
さらに精白してふすまを取ったものはファッロ・ペルラートfarro perlato。
殻や皮をむいたファッロは、調理時間が短くなるという利点もありますが、栄養的な特徴、特に食物繊維は多く失っていることを意味しますよね。

つまり、食物繊維があって、リゾット風調理に適しているのは皮つきのファッロ・スペッツァート、という結論ですね。

おまけの動画
ファッロ・スペッツァートのパスティエーラ。




小麦の粒々した食感が楽しいパスティエーラが出来上がり。

と言うわけで、次こそはリチェッタです。


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関連雑誌;『サーレ・エ・ペペ』2012年3月号、“ガルファニャーナのファッロ”の解説は、「総合解説」2012年3月号(まもなく発売です)に載っています。

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ファッロの歴史

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ガルファニャーナのファッロがIGP(保護指定地域表示)に認定されたのは1996年のこと。
古代ローマ人の主食だった割には、日の目を浴びたのはほんの20年前なんですね。
古代ローマで食べられていたということは、その伝統はラツィオ料理に取り込まれているはず。
また、ガルファニャーナはトスカーナにあるので、ガルファニャーナのファッロをつかった伝統料理は、トスカーナ料理がルーツ。
でも、ファッロ自体は中央イタリアの各地で栽培されているので、各州に伝統料理があります。
というわけで、ファッロ料理はどこ地方の料理とは、限定しにくいです。
それをふまえて、ファッロットのリチェッタの話です。

まずはガルファニャーナのファッロの管理組合のwebページのものを。

ちなみに、このページには、穀物がイタリアで栽培されてきた歴史の説明があります。
小麦の歴史は人類の文明の歴史でもあって、とても興味深いです。

でも、それを読む前に、ファッロには、大、中、小の3種類があることを知っておかないと。
学名にスペルトという名前がいているのはファッロ(大)です。
3つのファッロの穂の写真

よく、ファッロはもっとも古い穀物と言われますが、 それは、一番小さいファッロのことです。
イタリアでは、紀元前4300年に、クレモナの近くで栽培されていた痕跡が残っています。
新石器時代の最も重要な穀物が、この、ファッロ(小)でした。
ファッロ(小)は1つの穂に花が2個ついて、熟すのは1個だけ。
次に普及していたのが、花が3つついて2個熟す(つまり歩留まりが良い)ファッロ(中)、オルゾの順。
新石器時代後期、ファッロの栽培はアルプス全域に広まります。
ローマ時代になると、重要度はオルゾ、ファッロ(中)、ファッロ(大)、ファッロ(小)の順へと変化します。
結局、ファッロ(小)は、他の穀物が育たない荒地でのみ栽培されるようになりました。

ファッロ(小)は1粒小麦、ファッロ(中)は2粒小麦、またはエンマー小麦、ファッロ(大)はスペルト小麦
と言います。
デュラム小麦は2粒系だそうで。

で、ガルファニャーナのファッロは、ファッロ(中)の系統です。

ファッロ(小)の原産地は、パレスチナと考えられています。
レバノンやリビアなど中東や北アフリカでは、今でも、ファッロが普及しています。
タブレもファッロ製品。
 ↓



小麦を専門的に研究すると、ファッロがどの小麦を指すのかあいまいで分からない、という疑問が生まれるようですが、ここでいうファッロは、学名Triticum dicoccum Schrank、つまり2粒小麦のことです。
なのであえて厳密に言うと、スペルト小麦じゃないですね。

リチェッタを調べようと思ったのに、ファッロの歴史の話になっちゃいました。
では、また。



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ファッロのリチェッタ

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ファッロについてやたら詳しくなったところで、リチェッタです。
まず、ガルファニャーナのファッロIGPのwebページから、「夏のサラダ」。
原文はこちらです。

ファッロの夏のサラダ insalata d'estate
材料/4人分
 ガルファニャーナのファッロ・・150g
 完熟トマト・・6個
 黒オリーブ・・15粒
 バジリコ・・10枚
 にんにく・・4かけ
 オリーブオイル
 塩、唐辛子
・ファッロと水を鍋に入れて塩一つまみを加え、約2時間ゆでる。柔らかくなったら冷ます。
・オイル、潰したにんにく、小角切りにしたトマト、バジリコ、塩、唐辛子を混ぜて最低30分なじませる。
・ファッロの水気を切って混ぜた材料であえ、種を抜いて小さく切ったオリーブを加えて塩味を調える。


要は、ゆでたファッロと好みの材料を混ぜれば出来上がり。

動画もどうそ。
アボカド入り。
 ↓


次は、家庭料理の本、『マンマミーア』から、ファッロのミネストラ。

この本によると、イタリアのお母さんは、ファッロは病気にも強いし雑草も寄せ付けないから、殺虫剤や除草剤がいらないので、とても安全な食べ物なんだよ、と子供に教えるんだそうです。
確かにその通りで、まさにビオな食材。
しかも脱穀、精白していなければ食物繊維がとても豊富。
これを食べるとお通じが快調になるという知人がいました。

ファッロのミネストラ minestra di farro
材料/4人分
 チェリートマト・・250g
 ファッロ・・150g
 玉ねぎ・・1個
 セロリ・・1本
 じゃがいも・・2個
 EVオリーブオイル・・大さじ4
 バジリコ
 乾燥唐辛子・・2本
 塩
・ファッロを水が濁らなくなるまで流水ですすぎ、最低2時間水に浸して戻す。
・玉ねぎとセロリをみじん切りに鍋(陶製)で油大さじ2で炒める。トマトは皮をむいて種を取り、フォークで潰して鍋に加える。
・水か熱いブロード(固形ブイヨン)で覆い、皮をむいて小さく切ったジャガイモを加える。沸騰したらた水気を切ったファッロを加えて蓋をずらしてのせる。る。塩味を調えて時々かき混ぜながら約30分煮る。
・煮上がる直前に唐辛子少々を加えてよく混ぜる。皿に注いでバジリコで飾り、油を回しかける。


戻し時間はファッロがデコルティカート(脱穀)かペルラート(精白)かによって違います。
デコルティカートのほうが硬いので、戻し時間は長くなります。
水に塩を大さじ1杯加えるのが一般的。
ちなみに、カルロ・クラッコシェフがミネストラに使うファッロは、ファッロ・スペッツァート(割り麦)です。
澱粉でとろみをつけるために使うので、戻しません。

次は、そもそも今回、ファッロのことを調べるきっかけとなった料理、ファッロのリゾツトことファッロットです。

スローフードのリチェッテ・ディ・オステリエ・ディ・イタリア『クチーナ・レジョナーレ』より、ペスカーラのチッタ・サンタンジェロのロカンダ・デッラルテのリチェッタです。 

ミスティカンツァ入りファッロット Farrotto con misticanza cotta
材料/4人分
 ファッロ・デコルティカート・・500g
 ミスティカンツァ(チコリエッタ、エンダイブ、レタス、カチーニ、ボッラジネなどの野草)・・200g
 玉ねぎ・・1個
 にんにく・・2かけ
 イタリアンパセリ・・1房
 ドライトマト・・3個
 唐辛子・・1本
 白ワイン・・1カップ
 おろしたペコリーノ(好みで)・・一握り
 EVオリーブオイル
 塩
・大鍋に湯を沸かして塩を加え、野菜を入れてゆでる。野菜を取り出してゆで汁を漉す。
・にんにくと玉ねぎを油で炒め、ファッロを加えて炒める。ワインをかけてアルコール分を飛ばし、野菜のゆで汁をかけながら約1時間煮る。
・煮上がったらピューレにしたミスティカンツァ、イタリアンパセリ、ドライトマト、唐辛子を加える。皿に注いでペコリーノを散らしてもよい。


かなり大雑把ですが、基本はお米のリゾツトとほぼ同じですね。
念のため、動画も。
エビ、イカ、ムール貝、ペスト・ジェノヴェーゼ入り。
 ↓
 


どうやら、ファッロはバジリコと相性がいいいようですね。


おまけの動画

ファッロのサラダ。
 ↓

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関連雑誌;『サーレ・エ・ペペ』2012年3月号、“ガルファニャーナのファッロ”の解説は、「総合解説」2012年3月号に載っています。

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カレーマとアドリアーノ・オリベッティ

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今日は珍しくワインの話。
カレーマです。
ガンベロ・ロッソの記事の解説です。

カレーマは、ピエモンテ州トリノ県北部のコムーネ。
ヴァッレ・ダオスタのすぐそばです。

で、このコムーネの名前を取ったワインは、DOCの赤で、ぶどうはネッビオーロが最低85%。
熟成期間は36か月以上で、リゼルヴァは48か月以上。

ガンベロ・ロッソの記事は、いきなりオリベッティの元社長、アドリアーノ・オリヴェッティ氏の話で始まります。
タイプライター世代にはオリベッティはお馴染みの名前ですが、アップルだクーグルだの時代に、この名前はどれほど知られているのでしょうか。
さらに、アドリアーノ氏は1960年に亡くなっていますが未だに有名人で、イタリアでは、彼はイタリアのスティーヴ・ジョブズと呼ばれています。
そんなアドリアーノ・オリベッティ氏が、その発展を支えたのが、ワインのカレーマなんですねー。
彼は1901年にこの地方で生まれ、カレーマ初の共同カンティーナの創立者の一人でもあります。

イタリアのスティーヴ・ジョブズと呼ばれる人物だけあって、イタリアではかなり尊敬されていますよー。
2013年には彼の足跡を描いたTVドラマも作られています。
主役の人おでこがそっくり。




そんな人物が情熱を注いだワイン、カレーマ。
ところが、このワイン、造るのが相当大変で後継者がいない。

どんなに大変かは、畑の様子を見ればわかります。
 ↓



山の急斜面に作られた段々畑。
機械は一切入れなさそうです。
山を上り下りするだけでも大変そうです。
さらに、漏斗のような地形が、北や南から風を呼び込むため、場所によってぶどうの出来が違います。
ぶどうは花崗岩の層の上に川から運ばれた薄い土壌で栽培されています。

こんな場所で造られるカレーマですが、ガンベロ・ロッソの評価は高いですねー。
2005年のカレーマ・エティケッタ・ネーラは93/100点です。

後継者不足が最大の悩みのカレーマを救えるか。
上述のエティケッタ・ネーラの造り手、フェッランド・ヴィーニの二代目。
 ↓



臨時休業のお知らせです。
来週はお休みをいただきますので、次の更新は月末になります。



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関連雑誌;『ガンベロ・ロッソ』2012年3月号、“カレーマ”の解説は「総合解説」2012年3月号に載っています。

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