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Channel: イタリア料理ほんやく三昧
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パッケリ

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グラニャーノのパスタと言えば、代表的なのがパッケリ。






ソースであえたり、詰め物をしたりと創作意欲を刺激するような万能な形。

一説によると、パッケリとは「ビンタ」という意味で、ソースで和えたパッケリを皿に盛り付ける時、ビンタするような音が出るからなんだそうです。
その起源はなんと古代ギリシャ語で平手打ちという意味の言葉というから、ちょっと本格的。
こういうジョークのような話は、誰が言い出したのか真偽の程は別にして、ネット社会だとあっという間に広まって定説になってしまいますね。

大型のパスタなので少しでもお皿一杯になるところから、ナポリでは庶民の味方のように扱われたパスタだそうですが、ナポリ以外では、家庭料理の中にあまり普及していない印象。


「総合解説」にも載せたソレント風パッケリは、トマトソースのパッケリですが、モッツァレッラの小角切りとトマトソースで和えてオーブンで焼くというボリューミーな一品。


カンバーニア料理のパスタの本、『マッケローニ』には、
http://creapasso.com/maccheroni.html

“じゃがいもとローズマリーのパッケリ”
じゃがいもの小角切りをパッケリと一緒にゆでて、にんにく、ローズマリー、唐辛子を熱した油に入れてジャガイモが崩れるまでマンテカーレする、というこれも家庭料理風。

“白いんげんと栗のパッケリ”は冬の料理。
乾燥豆と干し栗を戻し、別々に香味野菜とハーブでゆでて半量をミキサーにかけ、パンチェッタと一種に炒めたらゆでたパッケリをいれてなじませる。
仕上げはペコリーノとイタリアンパセリ。

確かにどれもしっかり家庭料理風ですね。

コロンナータのラルドやトマト入りじゃがいものパッケリ。
 ↓



シェフのバリバリのナポリ便をアシスタントが通訳してます。


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“ソレント風パッケリ”のリチェッタを含むグラニャーノのパスタの記事の日本語訳は「総合解説」2012年8月号に載っています。

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カンポフィローネのマッケロンチーニ

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イタリア料理を構成している地元密着食材の中でも、鮮度が重要で保存しにくいものは、現地に行かないと味わうことができない貴重品。
その昔は、白トリュフとか、クラテッロとか、ブッラータとか、それをわざわざ食べるために、現地まで出かけて行ったものです。
今はたいていのものが日本でも入手可能になって驚くばかりですが、最近の円安、ユーロ高では、輸入業者の方々のご苦労、お察しします。

ところで、まだ日本でなかなか手に入らないものもたくさんありますよね。
その中の一つが、イタリアで一番美味しい卵入りパスタと言われているパスタです。

カンポフィローネのマッケロンチーニ。
 ↓



イタリアの乾麺としては、グラニャーノの次くらいに有名。
なのに、マルケのカンポフィローネという町でしか作られていないので、外にはほとんど出回らない。
詳細は依然にブログで取り上げています。
こちら

細いタリアテッリーネで、卵をたっぷり使うのが特徴。

伝統的な定番ソースはラグーです。
そういえば、グラニャーノのパッケリも、伝統的なソースは、ナポリ風ラグーでした。

グラニャーノは、水が豊富で水力を使った粉ひき小屋がたくさんできたことで、小麦粉が豊富に手に入るようになり、乾麺の大量生産が可能になって発展しました。
鉄道や港など、交通の便も良かった。
気候にも恵まれました。

一方、カンポフィローネは、グラニャーノとの共通点は、海に近い、ということぐらい。
粉とたっぷりの卵が原料のパスタですが、粉がたっぷりあったグラニャーノと違って、卵がたっぷりあったのがこのパスタが生まれたきっかけ。

15世紀の文献にも登場するパスタのようですが、カンポフィローネは修道院を中心に発展した町で、どうやらこの修道院の勢力圏より外に、パスタは広まらなかったようです。

近年になって、なぜ世界的に有名になったのかというと、考えられる原因は年に1回8月に行われるサグラ。
マルケの海辺の町で8月と言うと、バカンス客がたくさん集まるんでしょうね。
つまり町おこしが成功したというわけです。

サグラの様子の動画はこちら

カンポフィローネのマッケロンチーニのメーカーの動画。
 ↓



イタリアの自慢の食材がいかに世界で支持されているかを示す時、なぜか必ず、「日本にも輸出しています」、と言うんですよね。
上の動画でも、日本に輸出してると言ってますが、どこで売ってるんですか?



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“ラグーのマッケロンチーニ”のリチッタを含む関連記事「乾燥パスタのふるさと」の日本語訳は、「総合解説」2012年8月号に載っています。

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パーネ・ディ・トリオーラ

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お正月休みはいかがお過ごしでしたか?
今年もよろしくお願いします。

さて、2015年の最初のお題は、イタリア各地の伝統的なパンです。
最初は、パーネ・ディ・トリオラpane di Triola。

トリオーラはリグーリア西海岸、インペリア県の山の中の村。
魔女の村として知られています。
最近では、ハロウィンの町をアピールしているようです。
一風変わった、アーティスティックなハロウィン。
動画

下の動画で、イタリアを代表する美味しいサワードウのパンとして、パーネ・ディ・アルタムーラの次に紹介されているのが、パーネ・ディ・トリオーラです。
特徴は、山のパンならではのそば粉入りの生地で、小麦のふすまを散らした上に生地をのせて発酵させるので、表面にふすまがまぶされていること。
長期間フレッシュさが続くパンです。




簡単な作り方




見るからに美味しそうなパンですねー。
リグーリア以外では全然知られていませんが、リグーリアの人にとってはパーネ・ディ・アルタムーラに匹敵するパンだそうです。
トリオーラは町に共同かまどがあって、各家庭ごとに週に1度大きなパンを焼いていましたが、残念ながら、現在このパンを伝統的な製法で作っている店は、なとん1軒のみ。

作っているのはパニフィーチョ・アスプラナート・アンジョリーノ。
panificio asplanato angiolino
Corso Italia, 37
18010 Triora (IM)
ちなみに、むかしの共同かまどは、Vico del fornoという通りにあったようです。

人口が500人程度の小さな村のただ1軒のパン屋で作られているパンて、幻すぎますねー。
でも、食べてみたい~。
パンはリグーリア一体とピエモンテ南部で販売されているそうです。

リグーリア西海岸は、ピエモンテ南部ともつながっているので、ロンバルディア、ミラノあたりからもアクセスしやすく、意外とトリオーラのパンも州外で知られている様子です。


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“パーネ・ディ・トリオーラ”をはじめとする「伝統的なパンのサンドイッチ」の記事の日本語訳は、「総合解説」2012年8月号に載っています。

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ガルファニャーナのパーネ・ディ・パターテとパーネ・ディ・アルトパッショ

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リグーリアの魔女の町のパンに続いて、イタリアの美味しいパンをもう少し。
今度はトスカーナのパンです。
トスカーナと言えば、塩気のないパーネ・ショッコが有名ですが、今回紹介するパンは、もっと風味があって、クラムがややしっとりとした柔らかいパン。
そう聞いただけでも美味しそうですねー。

ガルファニャーナのパーネ・ディ・パターテpane di patate della Garfagnanaです。
シンプルで1週間日持ちがする大きなパン。

こんなパン

前回のパーネ・ディ・トリオーラは、そば粉を加えた山のパンでしたが、今回のパンはその名の通り、じゃがいも入りです。
じゃがいものパンは各地で作られていますが、代表的なのが、このガルファニャーナのパン。
ということは、ガルファニャーナはじゃがいもの産地、ということは想像つきます。

ガルファニャーナはトスカーナの北の端、ルッカ県にある地方です。
この地方でじゃがいもの産地として知られているのはガルファニャーナからセルキオ渓谷にかけての一帯だそうです。

セルキオ渓谷
 ↓


別世界のような深い森が広がる一帯ですねー。
あっ、そうそう、ガルファニャーナは、上質のファッロの産地でしたよね。
栗やきのこの産地としても知られています。
豊かな食文化のある地方。

ガルファニャーナのチーズの収穫祭。
 ↓



そういえば、パスタには、そば粉入りはあってもじゃがいも入り麺、というのは聞いたことないなあ。
同じ粉から作っても、パスタは都会の庶民の食べ物で、パンは山の農民や羊飼いの食べ物という気がしてきました。


ルッカのパンをもう1つ。
パーネ・ディ・アルトパッショpane di Altopascio。

トスカーナのパーネ・ショッコの一種ですが、このパンを有名にしているのは、地元の水の美味しさだそうです。

アルトパッショのパン祭りのPV
 ↓



パン好きにはたまらないお祭りですねー。
この町には、イタリアに50ほどあるパンの町協会の本部があります。
ちなみに、こちらのページの中ほどに、50の町のリストがあります。



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ガルファニャーナのパーネ・ディ・パターテ、パーネ・ディ・アルトパッショを含む「伝統的なパンのサンドイッチ」の生地の日本語訳は「総合解説」2012年8月号に載っています。

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スプリッツ

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今日はイタリアで一番ポピュラーな食前酒の話。
さて、そのカクテルはなんでしょう。

答えはこれ。

Spritz

アペロールの赤い色が特徴的な、オールドファッショングラスでサーブされるソーダ入りカクテル、スプリッツspritzです。
材料はアペロール、プロセッコ、ソーダ。

日本など外国では、スプリッツァーspritzerという名前で知られていますよね。
でも、このスプリッツ、ドイツ語のspritzenが語源だけに、イタリアのカクテルというイメージが全然なかったなあ。

スプリッツの歴史は「総合解説」にも書いてありますが、そもそもはヴェネトなどイタリア北部を支配していたハブスブルグ家の兵士が広めたものなので、ドイツ語系の名前なんですね。

それにしても、イタリアでのスプリッツの人気はすごいです。
記事にもありますが、ローディのとあるバーでは、土日には450杯以上のスプリッツを作るそうです。

記事では、イタリアで一番飲まれているカクテルも紹介しています。
なんだと思いますか。
カンパリオレンジじゃないですよ。

スプリッツ、ネグローニ、アメリカーノ、モヒートだそうです。

カンパリ、スウィートベルモット、ジンのネグローニ。
 ↓
Negroni at Ralph's on the Park

カンパリ、ベルモット、ソーダのアメリカーノ。
 ↓
Enjoying an Americano while waiting for my pizza…

ラム、ライム、ソーダ、ミントのモヒート。
 ↓
Lychee mojito


モヒートは世界的な流行なんですねえ。
キューバ生まれのモヒート以外は、どれも似たような色合いです。
アメリカーノは、こんな名前でもイタリア生まれのカクテル。
スプリッツもアメリカーノも、飲んだことなかったなあ。


スプリッツとアメリカーノの作り方。
 ↓



どちらもアペロールで作ってますねー。
スプリッツもアメリカーノも、同じものかと思ったら、違いはスプリッツはプロセッコで、アメリカーノはべルモット・ロッソ入り。

このスプリッツは、いわゆるクラシックバージョン。
この他に、バーテンダーさんのオリジナルスプリッツも色々あります。

カンパリ、アペロール以外にも、セレクトというヴェネチア生まれの赤いビターも使います。
特に、ヴェネチア風スプリッツを強調する時は、セレクトとヴェネトのプロセッコですね。

セレクト・スプリッツ
 ↓


つまみはカプリーノなどのフレッシュチーズ、ピンツィモーニオ、オリーブ、フライドポテトなどを添えて。
今晩のアペリティーヴォはスプリッツだな。
最近のつまみのマイブームは、チーズとキャラメル味のポップコーンなのです。


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“スプリッツ”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年9月号、p.42に載っています。
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トレッビアーノ

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今日はワインの話。

イタリアで一番たくさん栽培されているブドウ品種はなんだと思いますか?
簡単ですかね。

そう、サンショヴェーゼです。

で、2番目は、トレッビアーノ。

trebbiano
 ↓
Trebbiano grapes


ただし、トレッビアーノはトレッビアーノ・トスカーノ、トレッビアーノ・ロマニョーロ、トレッビアーノ・アブルッツェーゼなど、様々な種類がありますが、それらを全部まとめた時の結果です。
イタリアで一番多く栽培されているのはトレッビアーノ・トスカーノ。

このトレッビアーノ、軽くてニュートラルというイメージですが、フランスではユニ・ブランと呼ばれてコニャックのベースになるなど、世界的な栽培量もかなり多い品種だったんですねー。

ugni blanc
 ↓
_MG_4275


しかも、なんでもヴェルディッキオは、トレッビアーノの一種、トレッビアーノ・ディ・ソアヴェだということが、最近の遺伝子分析でわかったんだそうで。

verdicchio
 ↓
grappe de Verdicchio (Marche -Italie)

このトレッビアーノ・ディ・ソアヴェは、ロンバルディアではルガーナという白ワインになっています。

さらにもちろん、ヴェネトのワイン、ソアヴェにもブレンドされています。

そうそう、キアンティにもトレッビアーノは入っているし、ヴィン・サントにも使われてました。

平凡なぶどうというイメージだったけれど、あまりにも多才で真の姿がつかめないくらいです。
ヴェルディッキオやソアヴェなど、トレッビアーノのワインを集めて正体を明かさずに試飲してみるのも面白そう。


ヘネシーのユニ・ブランの畑。



こんなトレッビアーノ、最も歴史の古い品種の一つ(トレッビアーノ・ロマニョーロ)と言われていますが、名前の語源は、一説には、ピアチェンツァのトレッビア渓谷。

ヴァル・トレッビア




ところで、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』誌で、「一番誌的で甘いトレッビアーノの姿」、なんていう素敵な言葉で紹介されているワイン、ヴィンサント・ブッチャネラですが、作り手のwebページはこちら
マルヴァジーアとトレッビアーノです。
ここまで言われると、飲んでみたいですね~。



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“トレッビアーノ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2012年9月号に載っています。
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ヴェネト風パスタ・エ・ファジョーリ

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今日はイタリアのソールフード的伝統料理、パスタ・エ・ファジョーリの話。

maltagiati nella crema di fagioli


パスタ・エ・ファジョーリは度々取り上げています。
地方料理として見ると、イタリア各地にありますが、イタリアではこの料理はヴェネトが発祥地と言う認識なんですね。

オステリーエ・ディ・イタリアシリーズの『クチーナ・レジョナーレ』
には、
「パスタ・エ・ファジョーリはポー川流域で広く普及している料理だが、中部や南部にもある。
一つだけ選ぶとすれば、やはり、穀物と豆を組み合わせた料理がたくさんあるヴェネトのリチェッタだろう」
として、トレヴィーゾのオステリーアのリチェッタを紹介しています。



この料理のルーツは、やはりヴェネトなんですね。そこで、ヴェネト料理のパスタ・エ・ファジョーリを調べると、すぐにあることに気が付きます。
豆は、ラモンと呼ばれるものを使うということです。

ラモンはヴェネト州のベッル-ノ県の町。
名物のラモン豆はIGP製品です。

ラモン豆祭り
 ↓



カルロ・クラっコシェフも、著書『クールにしたいならエシャロットを使う』の中で、パスタ・エ・ファジョーリについてこう語っています。

「一般的には乾燥ボルロッティを使うが、山のラモン豆を使うと一段と美味しくなる。
この豆は、じゃがいものような、独特の味をしている。
パスタ・エ・ファジョーリ・ビアンカなら、カンネッリーニ(白いんげん)で代用してもよい。
伝統的には、本物のパスタ・エ・ファジョーリは、かなり濃く、スプーンを刺しても倒れないくらいだと言う。
もちろん濃いものは美味しいに違いないが、二口も食べると満腹になってしまう。
最高のパスタ・エ・ファジョーリは、適度に濃くて水っぽくない、ちょうど中間の濃度のものだ。
味が濃いので、幼児には食べにくい料理だ。
逆に言えば、成長しながら覚えて、受け入れていく料理と言うことができる。
私の母は、ほぼ2週間ごとにパスタ・エ・ファジョーリを作って、肉の代わりに生ハムやパンチェッタ、ラルドを加えて出した。
私は、母親が様々なものを鍋に入れてことこと煮込む姿をいつも見ていた」

クラッコシェフの指摘にもある通り、ヴェネトのパスタ・エ・ファジョーリは、ビアンコです。
色付きのパスタ・エ・ファジョーリの場合は、同じくベッルーノ産の別の豆を勧めています。

ラモンは皮が薄くて甘いのが特徴だそうです。
しかもじゃがいもの味なら、豆を裏漉しする濃厚なヴェネトのパスタ・エ・ファジョーリには、ぴったりですね。

ラモン豆のパスタ・エ・ファジョーリ
 ↓



濃厚と言えば、「総合解説」で紹介しているパスタ・エ・ファジョーリのリチェッタには、濃厚にするための、面白いアイデアが使われています。
こんな方法初めて見たので、かなりオリジナルかもしれません。
簡単なので、そのうちやってみようと密かに思っています。



ところで、パスタ・エ・ファジョーリは、素朴で地味な家庭料理というイメージですが、マリア・カラスの本にも、リチェッタが紹介されています。

以前、ブログでも紹介していますが(こちら)、マリア・カラスはヴェネト出身の男性と結婚していたので、ヴェネト料理を熱心に研究して作っていました。

前の晩に豆を戻すところから初めて、ことこと数時間煮て、作った翌日の方が美味しくなる、という家庭料理を、伝説のディーヴァも姑さんに教わりながら作っていたんだろうなあ。



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“ヴェネト風パスタ・エ・ファジョーリ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2012年9月号に載っています。
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チチェリ・エ・トリア

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パスタ・エ・ファジョーリのような、パスタ+豆や野菜の料理がヴェネトには多い、と書きましたが、Marcello Brusegan著『LA CUCINA VENEZIANA』というヴェネト料理集には、
パスタ・エ・カリフラワー、パスタ・エ・レンズ豆、パスタ・エ・じゃがいも、パスタ・エ・グリーンピース、パスタ・エ・サボイキャベツと、様々なタイプのパスタ入りスープがありました。

パスタの方は、タリアテッレ、トゥベッティ、ミックスパスタなどと言ったところ。

でも、このパスタがとても個性的なパスタ・エ・ファジョーリの一種が、プーリアにあります。
その名は、チチェリ・エ・トリアciceri e tria。

Ciceri e Tria


チチェリはチェーチ、トリアはタリアテッレのこと。
ブログで以前に紹介しています。
こちら
この時は、発音をそのまま表記してチーチェリ・エ・トリアと呼びました。

この料理は、パスタの一部を揚げる、というのが特徴なのですが、今回、「総合解説」の記事を訳していて新たに知ったのは、パスタは小麦粉と水、油、塩の生地なので、卵入りの市販品の麺を使うと違う味になる、ということ。

チチェリ・エ・トリアのリチェッタ。
 ↓


トリアの作り方の動画はこちら

前日にチェーチを戻して、煮ている間にパスタを打って一部を揚げて、残りはゆでるとという、ベテランの腕が要求される一品。
食べると、本物の逸品と感じるんだそうですよ。
サレント地方の料理です。



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“チチェリ・エ・トリア”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2012年9月号に載っています。
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スップリ・アル・テレフォノのルーツと将来

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まあ、どうでもいい話なんですが、一度その文章を目にして以来、頭に引っかかってることがあります。
その文章は、「スップリ・アル・テレフォノ(昔の話だが)・・・」です。


Supplì al telefono


携帯が普及して、電話線付きの電話がイタリアから姿を消すと、
チーズが糸を引いて電話線のよう?なにそれ?
みたいな世代がイタリアにも登場するのは時間の問題。

そもそも、この料理の名前は、電話が普及したからこそ生まれたわけですが(詳しくはこちらのページでどうぞ)、スップリ・アル・テレフォノは、過去の名前になってしまうんでしょうか。

少なくともスップリはインパクトがある名前なので生き残るかもしれませんが、アル・テレフォノの部分は消えてしまいそうですね。

5年後、いや、2、3年後、どうなっているか、気になります。

スップリ・アル・テレフォノのリチェッタ
 ↓



それと、同じ記事に
「アラブからシチリアに伝わった米を、肉に添えて皿から手づかみで食べる方法から、肉を米で包んでテイクアウトできる方法にしたのは、シチリア人だった」
という文章がありまた。
ライスコロッケは食文化の進化形だったのかー、と感心したのですが、
ん?じゃあ、おにぎりは?
ひょっとして、手づかみの次の進化の段階が包む、握る、だとすると、スップリやアランチーニなどのライスコロッケとアラブの手づかみライスの間には、おにぎりがあるのでは・・・。

お米を探ろう!和の朝食 11


Stuffing the arancini


イタリアのライスコロッケは、リゾット・ビアンコがベースのローマのスップリ、サフランを溶いた湯やトマトソースで煮た米がベースのアランチーニに大別されます。
米はスーペルフィーノやセミフィーノ米なので、もちろん日本の米とは形も性質も違います。

米を煮る→具を包んで握るまでは一緒ですが、その後日本では、焼きおにぎりへと進化したのですが、衣をつけて揚げる、という進化はしなかったんですねえ。
そういえば、ライスコロッケは、別名、フライド・ライス・ボール(揚げおにぎり)でした。

アランチーニのリチェッタ
 ↓




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“アランチーニのバリエーション”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2012年9月号に載っています。

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ドライトマトのオイル漬け

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今日は、イタリア人が大好きな2大オイル漬けのうちの1つの話。
何でしょうか。
1つはアーティチョーク。
残る1つは、ドライトマトのオイル漬けです。

これはドライトマト。
これのオイル漬け。
 ↓
Delicious...

恒例のガンベロ・ロッソのベスト10、今回はドライトマトのオイル漬けです。

それにしても、大手のメーカーの場合、ドライトマトは南部の専門業者から、トマトを天日で干したものを仕入れて造っているとは、知りませんでした。
乾燥過程も、オーブンや電気乾燥機で手早く行うんだそうです。

ラグーザの天日干しシチリア産トマトの専門業者、アグリブレアの圧巻の天日干し風景。
 ↓


webページはこちら


その一方で、自分で栽培したトマトを干して瓶詰してオイル漬けにするメーカーもいるんですね。
トマトはほとんどどの品種でもドライトマトにできるそうですよー。

どのような方法を取るにしても、製品の評価は味と歯ごたえ。
チェックポイントは、酸味に覆われた心地よい甘さ、歯ごたえのある肉厚さ、目を引く赤い色、などです。

プーリアのドライトマト作り
 ↓



プーリアの太陽と大地の旨みが凝縮されていそうな鮮やかな赤い色。
これぞイタリア料理を象徴する赤ですねー。

ドライトマトを買って家庭で手造りオイル漬け
 ↓




アグリブレアのwebページに、ドライトマトの使い方が載っていますので、訳してみます。

まずは味付け。
ドライトマトにEVオリーブオイル、にんにく、バジリコ、オレガノ、唐辛子をかけます。
塩気はしっかりついているので塩をする必要はありません。
これを田舎風パンにのせます。

シチリアの伝統的なストリートフードで農民料理のパーネ・クンツァートpane cunzatuに使うなら、(原文はこちら)。

Pane cunzatu


・パンをオーブンで温めてスライスし、皿にのせる。
・オリーブオイル、塩、オレガノ、唐辛子、刻んだアンチョビー、カチョカヴアッロの小角切り、種抜き黒オリーブ、刻んだドライトマトをのせる。

ドライトマト、カリフラワー、アーモンドのスパゲッティspaghetti は(原文はこちら、写真はこちら)。

・カリフラワー1/2個を小房に分ける。
・カリフラワーをゆでる湯を沸かす。
玉ねぎ1/4個を薄く切って油で炒める。ここにオイル漬けアンチョビー3枚を入れて溶かす。
・カリフラワーのゆで湯をレードル1杯すくってチェリートマトのドライトマト適量にかける。
・残りの湯に塩を加えてカリフラワーをゆでる。
・ドライトマトを細く切る。
・カリフラワーの半量をハンディミキサーで撹拌し、こしょうとオリーブオイルを加える。
・残りのカリフラワーとドライトマトを玉ねぎのフライパンで炒めて必要なら塩味を調え、レードル1杯のカリフラワーのゆで汁をかけてなじませる。
・カリフラワーのゆで汁にスパゲッティを入れてアルデンテにゆでる。
・スパゲッティをカリフラワーとドライトマトのフライパンに入れてなじませる。皿に盛り付けてカリフラワーのクリームをかけ、トーストした刻みアーモンドを散らす。


イカとドライトマトのスパゲッツティの動画はこちら
パスタの上にソースをかけるのではなく、パスタの下に敷くんですねー。

アグリブレアのリチェッタ以外ですが、ドライトマトのスパゲッティ

ドライトマトのベスト10の話は、次回です。


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“オイル漬けドライトマト”の記事の日本語訳は、「総合解説」2012年9月号に載っています。

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ドライトマトのオイル漬け、ナンバー1

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それでは、ドライトマトのオイル漬けの中から、ガンベロ・ロッソがナンバー1に選んだのは、


マテーラのマッセリーア・ミロガッロの製品です。
webページはこちら

PB
 ↓


ジャムやパテ、オイル漬け、ソースなど、数多くの製品を作っています。
ドライトマトのオイル漬けは、自社栽培のサン・マルツァーノトマト。
オイルは、地元のコラティーナ種とタランティーナ種をブレンド。
テイスティングの感想は、「野菜とオイルの完璧なマリアージュ」だそうです。

個人的に興味を持ったのは、ガンベロ・ロッソに「まるで寿司のようなドライトマト」と評価された製品。

カラブリアのパラディーゾ・デイ・ゴロージの製品です。
webページはこちら

カラブリアとプーリアのサンマルツァーノのオイル漬けドライトマトを仕入れて加工。
コストパフォーマンスもナンバー1。

ベスト10は、やはりほとんど南イタリアのメーカーが占めています。
でも、自社栽培でない、加工済みのトマトを仕入れて造っているメーカーも以外と多いです。
ドライトマトメーカーのお得意さんは保存食品業社とレストラン。
やっぱりトマトを干すのがネックですかね。
パスタから生ハムまで、イタリア料理には乾燥が欠かせません。

天日で干すと、南イタリアの太陽と空気で約1週間。
 ↓



オーブンで乾燥させる場合は、約120度で8~10時間。
 ↓



どんな品種のトマトでもドライトマトにできますが、やはり人気が高いのはサン・マルツァーノ。
この品種のどんな点がドライトマトに適しているのでしょうか。
その話は、次回に。


おまけの動画。
クアトロ・ポモドーリのスパゲッティ
 ↓



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ガンベロ・ロッソのベスト10製品の紹介を含む“オイル漬けドライトマト”の記事の日本語訳は、「総合解説」2012年9月号に載っています。

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サン・マルツァーノ

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クアトロ・ポモトーリのスパゲッティの動画を見ていて思い出しました。
先月の「総合解説」(2011年8月号)で、目を引いたリチッタ、“ミニトマトのトマトソース煮”。
ミニトマトをトマトソースで煮るのもありですねえ。

Ssspaghetti :-P

さてそれでは、ドライトマトに最適と考えられて、実際、多くのメーカーが使用しているトマト、サン・マルツァーノについて。

Viva Italy, La Roma II, Super Marzano, San Marzano (tomato varieties)

San Marzano Tomato


今月の総合解説(2011年9月号)によると、20世紀初めにカンバーニア北部のサルネーゼ-ノチェリーノ平野で栽培されていた品種を交配させて作り出した品種だそうです。
フランチェスコ・チリオによって缶詰産業が発展するにつれ、種が少なく、皮が薄くてむきやすいサン・マルツァーノは、最高のソース用ホールトマトになる品種として世界中に知られるようになります。
1970年代に他の安い交配品種に押されて消えかけましたが、旧チリオ研究所とカンパーニア州によって救われました。



チリオのホールトマトのお得意さんだったと思われるナポリのピッツァ業界は、『ファリーナ・アクア・リエビト・サーレ・パッシオーネ』の中で、トマトについて、こう語っています。

「ヴェーラ・ピッツァ・ナポレターナ協会の規定では、ホールトマトかフレツシュトマトを使うことを勧めている。
ホールトマトの中では、カンパーニアの伝統的な農作物であるサン・マルツァーノ・デッル・アグロ・サルネーゼ-ノチェリーノDOP、またはローマタイプの長い品種のトマトを勧める。
フレッシュトマトでは、サン・マルツァーノ、ピエンノーロ・デル・ヴェズヴィオDOPのミニトマトとコルバーラのミニトマトを勧める」
だそうです。

協会一押しのサン・マルツァーノ・デッル・アグロ・サルネーゼ-ノチェリーノDOPの歴史は、一説によると、なんと1770年までさかのぼれるそうで、この年にペルーのインカ帝国からナポリ王国にトマトの種が贈られたそうで、それがサン・マルツァーノだったという、夢のある言い伝えです。

サン・マルツァーノの特徴は楕円形、鮮やかで均一な赤い色、甘酸っぱい味、種の少なさ、筋が少ないので熟すと皮がむけやすくなる。
さらに果肉は崩れにくくて缶の中でも形を保つ。
と、缶詰にするための利点をすべて兼ね備えているようなトマトです。

サン・マルツァーノの伝統的な栽培方法
 ↓


パルマのトマト
 ↓


サン・マルツァーノは支柱を使っていることに気が付きましたか?
全然栽培方法が違うんですね。
さらに土壌は火山性。

ナポリピッツァ協会の本には、ホールトマトの品質の見分け方についても書かれています。
その方法とは、トマトを丸ごと1個、流水にさらしながら潰してみて、トマトが美しい赤い色を保っていたら完熟状態で収穫された上質のホールトマトなんだそうです。
色が薄くなるトマトは熟す前に収穫してソースに浸して赤くしている低級品だそうです。

さらに、ピッツァにホールトマトを使う時は、トマトを手で潰すこと、ともアドバイスしています。
金属に触れて酸化するのを防ぐためと、水分を保つためです。
ピッツァにのせる前に塩をします。
量はホールトマト1kgつき平均10g、

角切りトマトやパッサートはのせません。
パッサートはトマトの欠点を隠してしまうので品質のチェックがしにくく、高温で焼くと煮詰まりすぎるからです。
フレッシュトマトは繊維に沿って縦にくし切りにしてのせます。

ほんとにこの本は、懇切丁寧に、とても詳細にピッツァについて説明していますよ。
ローマやピエンノーロについても解説があります。

そうそう、ドライトマトをのせたピッツァのリチェッタもありました。
スカルパリエッロscarparielloです。
この料理は、カンバーニアのシンプルなトマトソースのパスタとして知られていますが、ピッツァに応用すると、トマトの鮮やかな赤色とバジリコの緑が食欲をそそる一品です。
ピッツァの生地に手で潰したホールトマトをのせてにんにくの薄切り、こしょう、ペコリーノ・ロマーノとペコリーノ・サルドを散らし、オリーブオイルをかけてバジリコをのせます。
これを焼いて、半ばで細く切ったドライトマトを加えます。
ドライトマトが味のポイントですね。

ちなみに、“オステリーエ・ディ・イタリア”の『クチーナ・レジョナーレ』には、パッケリのスカルパリエッロのリチェッタが載っています。
こちらはにんにく、唐辛子、バジリコのソッフリットにミニトマトを加えて煮て、ゆでたパスタを加えたら仕上げにパルミジャーノでマンテカーレします。

どちらも簡単ですぐにできそうですね。

皿に残ったソースをパンでぬぐうこを、“ファーレ・スカルペッタfare scarpetta”と言いますが、それがこの料理の語源です。





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“サン・マルツァーノ・トマト”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年9月号に載っています。

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イタリア北部地震とパルミジャーノ

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総合解説の記事を訳していて、被災地応援企画という言葉を目にした時、パルミジャーノやグラナ・パダーノの産地で、2012年5月20日と29日にイタリア北部地震が発生していたことを思い出しました。
詳細はこちらのページなどで。

東日本の震災の後だったので、 人や建物に大きな被害が出ないことを祈ったものですが、パルミジャーノの被害のことは、正直、それほど気が回りませんでした。
地震発生後、徐々に、パルミジャーノのこうむった被害の大きさも伝えられてきました。


地震発生直後のパルミジャーノの熟成庫。
  ↓





管理組合によると、被害額は8000万ユーロに達したそうです。
熟成期間が2か月以下のものは溶かして、12か月以下でまだDOPの認定がされていないものはおろしチーズとして、あるいは小片にしてリサイクルしたようですが、イタリアの食文化のシンボルともいえる食材の窮状を救おうと、当時多くの人が立ち上がったようです。
『ガンベロ・ロッソ』が考えたのは、パルミジャーノとワインの組み合わせの提案をした記事でした。

各地から援助の手が。
 ↓






2012年5月に震災があったので、震災前に作って地震を生き延びた24か月熟成のパルミジャーノは、もうすべて出荷されたのでしょうか。
とにかく、大変な時に支えあう姿は素晴らししいですね。



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“パルミジャーノとワイン”の記事は「総合解説」2011年9月号に載っています。

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イタリア病院食

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今日はイタリア便りです。
Segnalibroさんが、困った時に少しでも役に立てばと、自らの貴重な体験を語ってくれました。

私、なんでも食べれてどこでも寝れる丈夫な体なんですが、思いもよらず2年前、ちょうどこんな花が咲く季節にイタリアで人生初の入院手術を体験いたしました。

campo di grano


命にかかわるようなものではなかったので、手術できるかどうかの検査をした後は、手術日まで自宅待機。
お世話になったのは、隣町にある公立の総合病院。
イタリアでは、国民健康保険に加入していれば公立病院での入院手術は無料です。
日本で同様の手術を受けると1週間から10日ほどの入院になるそうですが、ここでは1泊2日。
当日は早朝病院に行きそのまま手術、翌日退院というスケジュールだと説明を受け、簡単な入院のお知らせをもらいました。

ricovero info


開腹手術だったのですが、前日に家で食べるものが指定されていました。
軽い昼食:パスティーナ、火を通した果物、ヨーグルト 14時:下剤を服用 夕食: ブロード、ヨーグルト、フルーツジュース パスティーナというのは、小さなパスタのこと。ブロードに小さなパスタが入ったものがイタリアの一般的な病人食で、乳児が初めて食べるパスタもこんなパスティーナです(CoopさんのHPより)。

pastina


下剤は、ホームドクターに処方箋をもらって薬局で購入。
手術前に体力をつけなきゃ、と張り切ってブロード用の少々お高い牛肉も買いました。
で、まさにそれを調理しようとしていた手術前日のお昼前、病院から電話があり、手術は数日後に延期だと告げられました。
もう、張りつめていた糸が解けましたよー。
牛肉は出番が来るまで一旦冷凍庫へ入れました。
こんな感じで、手術日決定→延期が何度か繰り返されたある日の午前中、スーパーでお買い物をしていたら、病院から電話がかかってきました。
「あなた、今日の朝は何食べた?え?ビスコッティとカフェラテ?だったら大丈夫よ。
今からすぐ来て。
午後から手術だから」
大丈夫じゃないわよー、と思いつつ、荷物の準備はしていたので慌てて病院へ急ぎます。
病室はトイレとビデ付きの2人部屋。
ロッカーや金庫もあり、想像していたより普通で快適でした。

la camera


到着時、真っ先に女性看護師さんにチェックされたのは、ちゃんとブラジリアーナにしてきたかということ。
入院のお知らせには、前夜は陰部を剃ってシャワーを浴びてくることって書いてあったので、万が一に備えて準備していました。
でも、入院時の持ち物が書いてなくて、到着早々問題発生。
普通のパジャマを持って行ったのですが、手術後はズボンだとドレーンやカテーテルが通せないから使えない、ネグリジェは持ってないの?って、看護師さんにダメだしされました。
ネグリジェなんて生まれてこのかた着用したことないし、近くにお店なんてないし、手術はいつ始まるかわからないし、相方は出張中だしどうしよう。パジャマの上着だけでは短すぎるみたい。
私、このままだと手術後は退院まで、Backlessな手術着のまま、管付けて歩く練習もするのよね?
ギャグ漫画おぼっちゃまくんの登場人物、貧ぼっちゃまみたいな状態でセクシーに過ごさなきゃいけないかもー。 半分覚悟を決めていたら、見かねた同室のシニョーラが私のお古だけどよかったら使って、と予備のネグリジェをプレゼントしてくれました(涙涙)。
結局、午前中の手術が長引いたため私の手術は翌日に延期され、その日は病院に宿泊。
急いで来たので、下剤を持ってくるのを忘れました。
せっかく買った下剤は使わず仕舞い。
張り切って購入したブロード用お高めな牛肉も冷凍庫に入れたまま、手術前には食べることができず。
やっぱり、予定通りに物事は進まない国です。
でも、手術は翌日無事終了しました。
よかったー。
手術後24時間は、お水も口にさせてもらえません。
空気が乾燥しているから唇がカサカサになってきた頃、ネグリジェのシニョーラが湿らせた脱脂綿で口を覆ってくれたのがこれまた嬉しかったです。
同室の人に恵まれて、本当に感謝でした。
手術の翌日、待ちに待った朝ごはんは、トルコのチャイなみに甘い紅茶とビスコッティ、市販のすりおろし煮リンゴ。
空腹のあまりむさぼり食ったので写真は撮り忘れましたが、イタリアなのにカフェじゃないのが意外でした。
で、これは昼食。

pranzo


手術した日の夕方、そう、体は元気なのに喉は渇くしお腹はすくし、ちょっとイライラし始めたころ、栄養士のお姉さんが翌日の食事の注文を取りに来てくれるんです。
同室のシニョーラは、付け合わせのほうれん草のソテーは少し歯応えを残してねって、ゆで加減まで指定。
その反動からか、私には◎※×#でいいわよねって、早口で有無を言わさない口調だったので、ムッとして全メニュー聞いたら、各5種類くらい選択肢があって焦りました。
苦心して選んだメニューがこれです(笑)。
・パスティーナ
・鶏胸肉のソテーとじゃがいものプレ
・すりおろし煮リンゴ
写真には写っていませんが、プラスチックの蓋がしてあり、熱々で運ばれてきます。
さすが、イタリア。病院食にはオリーブ油がついていました。
シニューラのほうれん草?もちろん、彼女の意に反してクタクタになっていました。ざんねーん。
今回お世話になった公立病院の近くには私立病院があるのですが、シニョーラいわく、ここはアラブの富豪が病院ごと借り切って滞在したことがあるのだとか。
また、日本人の友人は以前私立病院へ行った時、生ハムを盛った大きなお皿を病室に運ぶ看護師さんを目撃し、さすがイタリアだと思ったんだそうです。
イタリアの病院食もいろいろだと思いますが、庶民はこんな感じです。
富める者も貧しき者も、当たり前のことですが、おいしく食べるには、まずは健康ですねー。 そうそう、私はあの日以来ネグリジェの快適さを実感し、頂いたネグリジェ以外に数着買い足して、夏はネグリジェ愛用者になりました。
改めて彼女に感謝です。


Grazie Segnalibroさん。
異国で、一人で手術を受けるなんて、とても大変な体験だったと思います。
病気はしないにこしたことはないけど、いつなっても不思議ではないものなので、こういう体験談を知っていると、とても心強いですよね。

入院しながらこれだけ食について語れるのは、それだけ体が頑丈だった証拠かな。
これからもイタリアの地で、お体には気を付けて活躍してください。


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ファジョーリ・アル・フィァスコ

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今日は白いんげんのフィァスコ煮の話。
どうもこの料理には強く惹かれる何かがあるようで、以前(7年前)にもブログで取り上げています。
こちら

地元のオステリーアのリチェッタ
 ↓


伝統的なキアンティのこもかぶりのボトルに材料を詰めて、暖炉のおき火を最後の最後まで利用してじっくりことこと煮る料理ですが、ポイントの、白いんげん(カンネッリーニが伝統的)、フィアスコ型ワインボトル、暖炉が地元以外ではなじみが薄くて再現困難なイメージがありました。

il Fuoco


今回、7年ぶりでアル・フィァスコの記事を訳した直後、こもかぶりのキアンティが近所のスーパーで普通に手に入ることを発見。
まだ全然現役なんですねー。

fiasco di chianti // monteriggioni


カンネッリーニもネットで手に入るし、あとは暖炉ですが、今回訳したリチェッタなら湯煎でもOKだし、上の動画ではオーブンで蒸し煮にしているし。
巨大なフィオレンティーナに自家製白いんげんのフィァスコ煮を添えてキアンティを飲んだ幸せな体験を再現できる日も、近いかも・・・・。


harvest 2009: heirloom cannellini beans


ところで、この記事によると、エスコフィエは、「イタリア人はコロンブスによってアメリカを発見し、それによって白いんげんを見つけた」と、新大陸発見の最大の功績は白いんげんの発見にあるかのように評価しているそうです。

一説によるとこの豆は西インド諸島からフィレンツェに伝わり、フィレンツェ料理の研究家で権威のピエロ・ヴァレリーアノ氏がいたく気に入り、この豆のリチェッタを研究して普及活動に努めた結果、
トスカーナに広まり、それがやがてカテリーナ・デ・メディチによってフランスに伝わり、かの地のカスレを一段と美味しくしたのだそうです。
ヴァレリアーノさんの研究は、みごとに異国の地にまで花を咲かせたんですねー。
料理研究家冥利に尽きる。


アヒルのコンフィに白いんげんのカスレ
 ↓
Duck Confit and Haricot Bean Cassoulet - Lower House, Federation Square


白いんげんは、庶民の食材とはみなされていましたが、身分の上下を問わず、フィレンツェ人もフランス人も、虜になったようです。

Incanto - Dinner

なんとなくその気持ち分るなあ。
セージとローズマリーのフィレンツェ風。

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"ファジョーリ・アル・フィァスコ"のリチェッタと記事の日本語訳は「総合解説」2012年9月号に載っています。

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カルロ・クラッコの『ディーレ・ファーレ・ブラザーレ』

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今月は、「総合解説」の発売が遅れております。
申し訳ございませんが、もう少々、お待ちください。
実は、「新着書籍」のご案内も、多少、滞っております。
早くご紹介したい本があるのですが、今月は、すでにいっぱいいっぱい。
何しろ運気が絶不調なもようで、PCが調子悪い、ネット接続が調子悪い、というのをだましだまし切り抜けてきたのですが、とどめにトイレが詰まる、というわけで、踏んだりけったりの日々を過ごしております。
PCよりトイレの調子が悪い方がダメージが大きいということを初めて知りました。

でもおかげで、最近の節水型トイレのつまりの解消方法を見事マスターできました。
つまりがボコッと抜けた時のあの快感・・・。
たまりませんわー。

というわけで、言い訳はこのくらいにして、今日は、早く紹介したい本をちらっとご紹介。
カルロ・クラッコシェフの本、第3弾です。
イタリアで2014年11月に出版されました。


http://creapasso.com/brasare.html



第3冊目にして、イケメンシェフの写真だけで表紙を飾ってきましたねー。
でも、中身は決して奥様向けじゃないです。
バリバリ、プロのイタリア料理人向けです。

この人の本は、いつも、タイトルがかなりひねってます。
1冊めは、『SE VUOI FARE IL FIGO USA LO SCALOGNO
2冊めは、『A QUALCUNO PIACE CRACCO

そして今回は、『Dire , fare, brasare
うーん・・・、「言え、やれ、煮れ」とか(笑)。
深く考えるのも面倒なので、今回は訳さずに、『ディーレ・ファーレ・ブラザーレ』ってこととにさせていただきました。
ご注文の時、面倒だったら『ブラザーレ』でもOKです。
でも、別にブラザーレの本じゃありません。
今回も、彼の料理哲学のすべてを若手に伝えたい、という思いがあふれ出た、読みごたえのある1冊です。
副題は、「11のレッスンと40のリチェッタ、料理のランクを上げるすべてのテクニック」

写真は少なめで一般的な料理書とはまったく違いますが、
一流を目指す人にはとても深い内容の、じっくり読む本です。

世界中からイタリアのナンバー1シェフと認められている彼の料理哲学に興味のある人には、前2冊と合わせて、お勧めします。

次回は、内容を少し訳してみます。


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『ディーレ・ファーレ・ブラザーレ』序文

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カルロ・クラッコの最新本、『ディーレ・ファーレ・ブラザーレ』。
その内容は、彼の著作全3冊の中で、一番レベルが高いかもしれません。
彼の料理に対する思いがあふれていて、とにかく読め、という本なのですが、写真が少ないので最初はちょっととっつきにくいような印象です。

イタリアを代表するカリスマシェフの名声を手に入れて時代の寵児となった彼が、この本で何を伝えたかったのか、手っ取り早くわかる方法などないとは思いますが、そのへんのことがなんとなくでも分ればと、とりあえず「序文」を訳してみます。


「この本の根底には、シンプルなコンセプトがある。
料理の能力を高めるには、とにかくテクニックを学んで実践する必要がある、ということだ。
テクニックは調理場で知識と経験を積み重ねた結果身につくものだ。
しかし、料理を語る時、テクニックと言いう言葉は美しくない。
この言葉には、冷たくて、無菌で機械的なマニュアルのような響きがある。
ところが調理場には、無菌で機械的なものなど何もない。
人を興奮させる料理を作り出すために何時間もコンロの前に立ち続けるには情熱が必要だ。
テクニックはそのための基本的な道具の一つで、そのことを意識して使うものだ。
テレビのおかげで料理はファッションになり、コンロ1個と2、3の食材があれば、誰でもが(または多くの人が)料理をすることができる。
しかし、それだけではない。
料理は、文化で、発見で、情熱、芸術、共有なのだ。
料理は、知識や古い行いを伝えて、私たちの歴史を生きたものにいていくための機会であり、大地を耕す人とその果実を食べる人とを結ぶ貴重な糸なのだ。
ここで二つの世界は出会い、料理する人と耕す人は、どちらが上とは言えない大きな責任が課せられる。
料理に使う食材の価値は?
どこから来たのか?
一番重要な特徴は?
どうやったらその価値を高めることができるのか?
 
これらの問いかけに答えを見つけたら、あなは料理する価値を知っていることになる。
これこそが、能力を高めるための秘訣だ。
例えば、にんじんがあるとする。
生産者が多大な手間をかけて常識を覆すような品質のものにしたとして、あなたがそれを知らなかったら、その食材は虐げられて、生産者も消費者も裏切ってしまうことになる。
一方で、そのにんじんが注目に値してどのように調理するかを知っていたら、あなたの料理は完璧になる。
食材の背景には、大地からその食材の利点を引き出す人がいるということを自覚することは、あなたの料理も最高にしてくれる。
この考えを、私は常に意識している。
1冊目の『Se vuoi fare il figo usa lo scalogno』でも、2冊めの『A qualcuno piace Cracco』でも、強調してきた。
私はテクニックを説明して、実践するためのリチェッタを書いた。
今年もいつものように、この本のための料理を考えだした時に、クラッコというレストランの歴史と
人のことが頭に浮かんだ。
開業当初とメンバーは少し変わったが、みんな経験を積み、偉大な情熱を持ったパスティッチェーレの若者がスーシェフになるなど、成長していった。」

この後、もう少し序文は続きますが、大体こんな内容です。

さらにこの後、念には念を入れたのか、「この本の使い方」という章があります。


これは次回に。


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『ディーレ・ファーレ・ブラザーレ』の使い方

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カルロ・クラッコの『ディーレ・ファーレ・ブラザーレ』から、今日は、序文に続く章、「この本の使い方」を訳してみます。

「私は料理書でも、あちこちつまみ読みするのではなく、最初から最後まで読めるような本が好きだ。
だから、この本もこの基準で書こうと思った。
そこで、この本をもっと便利に使えるお手伝いをしてみよう。
“Le tecniche(テクニック)”の章では、“Le ricette(リチェッタ)”の料理を作る時に使える料理のテクニックについて書いている。
リチェッタは、必要となるテクニックの数をベースに並べている。
最初のリチェッタ、“Tonno di coniglio in vaso”に必要なテクニックはたった2つだが、最後の“Risotto con asparagi bianchi e polvere di prezzemolo”は9つ必要だ。
リチェッタの本文は、2つの部分からなっていて、後半は、料理をよりよく学ぶためのガイドとなっている。
巻末の目次欄は便利なように2つつけた。
1つはリチェッタで使っているテクニックを分類した“Indice delle tecniche(テクニックの目次)”
もう1つは“Indice degli ingrdienti(材料の目次)”。
一方で、リチェッタは読者が自由にメニューを組み立てられるように、アンティパスト、プリーモ、セコンドという分類は敢えてしなかった。
すでにご承知のように、料理人の情熱によってどんな料理も、最後には無比のものに仕上がるのだから」


と言うわけで、次のページから『テクニック』にいての詳細な解説が始まります。
最初はarrostire。
料理の基本とも言える焼くという動作とメイラード反応についての、7ページに渡る考察です。
基本的なだけに、知らないで済ますわけにはいかない、大切なテクニック。
辞書を片手にじっくり読み解いてください。

ちなみに、最初のリチェッタ、“Tonno in coniglio in vaso”に必要なテクニックは、「lessare」と「filtrare」。

なるほど、これは、カルロ・クラッコがもし料理人のためにレッスンをするとしたら、そっくりそのまま立派な教科書になりますよ。

これほど惜しみなく、自分が学んできたことを次に伝えようとする人は、滅多にいないのでは。
彼の3冊の著書を通して、彼が世界中でこれほど高く評価されている理由の一つには、その人間性があることは間違いない、と納得しました。



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お魚奮闘記

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今日はイタリア便りです。
では、どうぞ。


私の住むロンバルディア州には、海がありません。
ですから、魚は値段が高い上に鮮度が良くなく、なかなかこれというものに巡り合えません。
イタリアのいいものは金持ちミラネーゼの元に集まるというけれど、私のような庶民にとって、魚は高嶺の花。
ついつい、お魚よりお値段手頃なお肉を選んでしまいます。
でも、魚は大好きなんです。
日本にいた頃は、瀬戸内海で育った母の目利きで食卓に上がった調理済みのものしか見たことがなかったし、実家を出た後は切り身で買うことが多かったから、どの魚がどんな顔をしているか定かではなく、ましてや、自分でさばいたことなどありませんでした。
食べたいけれど、イタリア語の魚名を見てもチンプンカンプンだし、私にとって魚の購入は賭けのようなものです。
サンマが食べたいと思っていたある日、魚屋さんの店頭で、サンマによく似た魚を見つけました。
わくわくしながら購入し、早速焼いて食べてみると小骨が多いうえ、骨が鮮やかな青色でびっくり。
青色は、食欲を減退させるって本当ですね。
イタリア語でagugliaと表示されていたこの魚、anguillaアングイッラはウナギだけど、アグーリアって何?
調べてみると、地中海沿岸で春によく獲れる魚だそうで、日本語ではダツでした。
私が食べたアグーリアは確かに少し口が長かったけれど、ダツほど長くはなかったし、本当にサンマによく似ていたんです。
辞書をひくと、サンマはイタリア語でcostardella。 ネットでコスタルデッラを検索すると、こんな写真がでてきました。

costardella

日本のサンマとは違う気がしますが、私が食べた魚はこれにとても似ていました。
コスタルデッラは、シチリアとカラブリアに挟まれたメッシーナ海峡でよく獲れる魚だそうで、フリットしたものをマリネにしたり、インヴォルティーニにしたりするのがお勧めなんだそうです。
またある日は、シラスによく似たpesce ghiaccioという魚を購入。
けど、なんか違う。
後日、魚屋のおじさんに尋ねたところ、イワシの稚魚ではなく淡水魚とのこと。
中国産のシラウオでした。
確かに安かったものね・・・。
イワシの稚魚は、bianchettiだと学びました。 イタリアでは、というかヨーロッパでは、シラス漁は乱獲のため生態系を崩してしまう恐れがあるとのことで、現在は、禁止されていたり厳しい制限があったりするようです。
ここにいる限り、大根おろしにちりめんじゃこの夢は叶わないのかも。
今となっては、実家のラミちゃんが食べていた日本のニャン缶、まぐろ&シラスがとても羨ましく思えます。 新鮮な魚は諦めて、塩漬けニシンの燻製を購入したら、これは当りでした。
クリスマスが近くなると、大きな木箱に詰められたニシンが北欧からやってきて、メルカートで買えるんです。
イタリア語でニシンはaringaアリンガ。
卵入りが欲しいと言うと、乾物屋の兄ちゃんは、指でお腹を触って数の子入りを選んでくれました。
数の子入りでもナシでも、量り売りだから値段は同じです。
燻製だけど、イタリアで数の子が食べられるなんて嬉しいー。
友人アッスンタに聞くと、オイル漬けにするといいよ、とのこと。
ネットでレシピを調べてみると、燻製ニシンのオイル漬けは、ロンバルディアの家庭の味だと書いてありました。 やっぱり、ロンバルディアの庶民が手頃でおいしい魚を食べるには、保存食が一番なんだわ。
早速アッスンタのところへ行き、教えてもらう・・・というか、いつものごとく、ほとんどやってもらいました。

arlnghe sotto l'olio

三枚におろして骨と皮を取り、ハーブや胡椒、にんにくと一緒にオリーブ油に漬けるだけ。
食べ頃は最低10日後~とのこと。
身はパンに載せて、オイルはパスタに使うとおいしいのだそうです。
卵はデリケートだからと、身とは別に漬けました。
3匹購入しましたが、1匹分の数の子はお礼にアッスンタの元へ。
ニシンの身は好きじゃないけど、卵は大好きなんですってー。
いつか、日本のおいしい数の子を食べてもらいたい! さて、今週はこんなお魚がお買い得になっていました。

palamita

珍しく脂がのっていそうだし、ハンサムな顔付きだし、泳ぎの速そうなカッコイイ尾びれだし、なんだかおいしそうな予感がして、早速購入。
こんな表示がしてありました。

image

イタリア語でパラミータ、又はサルダサルダ。
地中海西方のバレアレス諸島(スペイン)にて、トロール網で獲れた天然魚。
ほほう、Allevata養殖のお魚じゃないのね。
これはますます期待が膨むぞー。
最近ではカタクチイワシを買って、なんちゃって煮干しを作るようになった私。
今度はみりん干しにできる魚を探していたんです。
これ、いいんじゃない?
魚屋のおじさんによると、お腹にハーブを詰めて、ミニトマト、オリーブ、ケッパーと一緒にオーブンで焼いて食べるのがお勧めなんだとか。
生でカルパッチョもいいよ、とのこと。
日本風にみりん干しにしようと思っている、と言うと、せっかく脂がのっているのに干すなんてもったいないって言われてしまいました。
いやいや、脂がのっているからこそ、おいしいものができるはず。
でも、おじさん、日本食に興味があるみたいで、みりん干しができたら、どんなものだか写真見せてくれ、ですって。
パラミータ、切ったらこんな感じでした。

palamita


切れはしを恐る恐る生で食べたら、ツバスが少し大味になったような感じ。
これは、久しぶりに当りです。やったね。
パラミータはSgombroサバ科の魚で、地中海沿岸ではよく獲れるのだそうです。
日本語では、歯鰹(ハガツオ)。
確かにしっかりした鋭い歯をしていました。
念願のみりん干し、ついに完成です。

mirinboshi

ないものはないなりに工夫し、なんちゃって日本食作りがライフワークの一部になってきました。
魚屋のおじさんに、そのうち写真を見せに行こうっと!
青魚は日本でも庶民の味方ですが、イタリアでも貧しい食卓に上ると言われ、お料理レシピにも登場回数が少ないような気がします。
が、近年ではその良さが見直されつつあるようです。
トスカーナ州リボルノ県のエトルスキ海岸沿いにあるサン・ヴィンチェンツォという町では、10年ほど前から毎年5月にパラミータ祭りが開催されているそうです。
去年は不況や選挙の影響で中止になってしまったようですが、今年はどうかな。 歳を経るにつれて私、ますます青魚が好きになっているかも。
あぁ、日本のお寿司が食べたーい!


Grazie Segnalibroさん。
ニシンのオイル漬けにハガツオのみりん漬けですか!
ロンバルディア暮らしも大分本格的になってきましたねー。

それにしても、ニシンは卵入りでもなしでも同じ値段とは、衝撃の真実。
前から疑問に思っていたのですが、タラコもそうなのですか?

それと、ちょっとだけつけたし解説。
Palamitaはイタリアの料理雑誌にもたまーに登場する魚ですね。
産地はトスカーナ群島あたりが有名で、スローフードの保護食材にもなっています。
sarda sarda は、この魚のイタリア語の名前ではなく、学名(ラテン語)です。
カツオと似てるけど、カツオはお腹に縞模様があって、ハガツオは背中に縞模様があるんだって。
ハガツオはサバ科の魚だけど、ひょっとしたら青魚じゃなくて赤身に分類されるかも。
青魚は、イワシ、アンチョビー、サバ、を筆頭に、イタリア料理には頻繁に使われます。
私の印象では、最近では、経済的で栄養価も優れていると、家庭料理の本で取り上げられる頻度が益々アップしているなーと思っていました。
南の人にはもっと身近なのかも。

イタリアの食材の中でも、魚の情報を正確に伝えようと思うと、難しいですよー。
ハードルは高いけど、そのうちパラミータが得意料理になるかもね。
カラブリア風にも興味あります。
がんばってー♪


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グルテン過敏症とセリアック病

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現在発売中の「総合解説」(2012年10月号)で、訳すのにすごーく大変だった記事がありました。
それは「グルテン過敏症とセリアック病」という記事です。
最初は、グルテンフリーの食材の話だと思って、ダイエットのヒントでもあるかなあなんていう軽い気持ちで訳し出したのですが、冒頭から、いきなり超本気の病気の話。
アレルギーだの免疫疾患だのの話を訳すのは、もう大変。
でも、必死で訳したので、この病気にちょっとでも興味のある方は、ぜひ読んでください。

そもそも、イタリアの料理書には、かなり頻繁にセリアック病という言葉が出てきます。
ネットで調べれば、基本的なことは分ると思いますが、この病気は、グルテンに対する自己免疫疾患なんだそうです。
腸を覆っている組織が破壊されてビタミンや鉄の吸収が阻害される病気で、下痢、体重減少、疲労感、骨粗鬆症、貧血、腫瘍などの症状が出るそうですが、グルテンを排除すると治まります。
遺伝的な要因で発症するそうで、日本人の罹患率は欧米人より少なめです。
パンにパスタと、主食を小麦に依存する食生活のイタリアで、セリアック病の罹患率は100人に一人の割合だそうです。
現在、122000人の患者がいるそうです。
グルテンは、小麦だけでなく、ファッロ、大麦、オーツ麦、ライ麦、カムット小麦などにも含まれます。
イタリア人の場合、グルテン過敏症は腹腔の血液中の特殊な抗体が不足する病気で、突然症状(腹痛、片頭痛、口内炎、下痢、腹部膨満感)などが現れて、最初は多くのケースでストレスのせいだと診断されるそうです。
深刻ではないのですが、複雑に重なったり長期間続くと疲労感から思考、仕事、生活にも影響が出る場合が。
でも、小麦アレルギーだと分ったら、グルテンを含まない食事をすればいいのです。
ちなみにお米にはグルテンは含まれていません。
良かった~。

イタリアでは、セリアック病の認定患者にはグルテンフリーの食品を購入するための給付金が出るそうです。
州によって違いますが、女性は約100ユーロ、男性は約150ユーロ。
イタリアの医療制度は手厚いですねー。
グルテンフリーをダイエット食なんてとらえることは、セリアック病やグルテン過敏症で苦しんでいる人たちに失礼ですね。
記事にはダイエットという言葉は一度も登場しませんでした。

とは言え、ダイエットのためにグルテンフリーの食材を利用する人の多さは数字が証明しています。
アメリカでは1700万人が食生活に取り入れているそうです。
ヨーロッパのグルテンフリーメーカーのリーダーは、アルト・アディジェのドクター・シェアーDr. Schä(webページはこちら)だそうですが、2006年には7800万ユーロだった売り上げを、2011年には17500万ユーロにまで伸ばしています。


ドクター・シェアーUSAの、グルテン・フリー・ライフの始め方。
 ↓




なんと醤油にもグルテンが含まれるんですねー。
徹底的にグルテンを排除しようとすると、食べられるものがない!
そこで登場するのがグルテンフリーの食品。
グルテンを含む穀物の粉を米やとうもろこしの粉で代用したのがグルテンフリー食品。
アメリカのスーパーのグルテンフリー食品売り場の充実ぶりは驚き。
 ↓



セリアック病かもと疑っている人は、診断には血液検査によって遺伝因子を調べる必要があるので、さらに自己診断は他の病気を見逃すことになりかねないので、専門の病院で診断してもらいましょう。




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“グルテン過敏症とセリアック病”の記事の日本語訳は、「総合解説」2012年10月号に載っています。
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