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ジェノヴァ風トリッパ

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総合解説」2012年10月号の最初の記事は、“トリッパ”です。
イタリア人が大好きで、今では食通の食材とみなされているトリッパ。
これを地方料理という視点で調べ上げた、なかなか興味深い記事です。

まずは記事の追加解説をどうぞ。

ジェノヴァで(そしておそらくリグーリアで)一番古いトリッペリアと紹介されている店、ラ・カザーナTripperia La Casana。



店のショーウインドーにゆで上げたトリッパを吊るしてあるのがイタリアのトリッペリアの正しい姿。
でも、何をどう注文すればいんだか・・・。

ジェノヴァでトリッパを食べるという発想にはなかなかならないかもしれませんが、トリッパはジェノヴァの伝統料理の一つでもあります。
50年ほど前までは、トリッパのスープは朝のカップッチーノの代わりだったとか。

旧市街には、20年前は約20軒のトリッパ専門店がありましたが、今ではこの界隈に残っているのはわすが4軒だそうです。
記事にもありましたが、イタリアのトリッパ専門店は確実に減っているようです。
若者のトリッパ離れの原因は、高カロリーなイメージ、調理時間が長い、など。
でも、この店は土曜の朝には行列ができるんだそうですよ。

トリッパの主な調理方法は、アッコモダータ(またはイン・ウミド、煮込みのこと)、インサラータ、フリット。
トリッパには、4つの胃ごとに分ける方法と、ビアンカとロッソという分類の仕方があります。
アッコモダータにはトリッパ・ビアンカと呼ばれる脂肪やゼラチン質の少ない部位を使い、インサラータにはトリッパ・ロッサを使います。
ちなみに、上の店の動画で、店の奥に大鍋が2つあることが分りますが、これは、ビアンカとロッサを別々にゆでるため。


トリッパ・アッコモダータ、ジェノヴァ風



店の評判は上々のようです。
細い路地が入り組んだ旧市街にあるので、行く前に行き方のチェックをお忘れなく。

次に、トリッパのことならおまかせのトリッパアカデミーのwebページはこちら

今日はこのくらいで。
次は、ヴェネトのトリッパ料理の話でも。


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“トリッパ”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2012年10月号に載っています。

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ヴェネチア風トリッパ、ルメガル

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地方料理のトリッパについて「総合解説」の補足説明をしています。
今回はヴェネトのトリッパについて。
リグーリアのトリッパと同じくらいあまりお馴染みじゃないと思いましたが、記事によると、どうやらそうではなさそう。
ヴェネトのトリッパ料理の代表は、“ルメガルrumegal”です。
ルメガルとは、ずばりヴェネチアの方言で牛の第一胃のこと。

ヴェネチアと言えば、グラスワインを飲みながらつまみを立ち食いするイタリア版タパスことバーカロbàcaroが有名ですよね。

ルメガルは、このバーカロで出すつまみ、チケーティcichéti(ストゥッツィキーニ)の一種です。
ヴェネチアのチケーティと言えばイワシのイン・サオールとかバッカラ・マンテカートとかゆでダコとかに目が行きますが、内臓類のメニューもあるんですねー。

チケーティの盛り合わせ。
 ↓
Cicheti


新入荷の本、『ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ』で紹介しているのは、1896年創業のオステリア・ダ・コドローマ。

チケーティのリチェッタも載っていますが、この本、食べ歩きガイドとしても使えますねー。





ダ・コドローマ
 ↓



スプリッツ飲んでますねー。
時間帯のせいか、カオスのようなヴェネチア中心部のバーカロと比べると、天国のような落ち着いた雰囲気。
ここ行きたーい。
店のwebページはこちら

ちなみに、ルメガルは、標準語ではルミーネrumine。
ルメガルは、第一胃の一番厚くて脂肪がある部位をゆでて塩とオイルで調味したもの。
残念ながら写真は見つからず。

第二胃は蜂の巣状の胃袋、レティコロ。粉をつけて揚げると美味しい部位だそうです。

第三胃は剥片が重なり合ったようなオマーゾ。
もっとも脂肪が少ない部位で、ミラノ風ズッパに使います。

第四胃、アボマーゾは黒ずんで脂肪分が多い胃。
フィレンツェのランプレドットになります。

地方料理のトリッパは、様々な個性があって、並べてみると面白いですねー。
「総合解説」では、ナポリ、ローマ、モンタルチーノ、ミラノ、リグーリアのリチェッタを紹介しています。

あれ、イタリアのトリッパの代表ともいえるファレンツェ風とランプレドットがないなあ。
では、次回は、トスカーナのトリッパの話です。


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“トリッパ”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2012年10月号に載っています。

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フィレンツェ風トリッパ

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今日は、観光客にもなじみの深いイタリアのトリッパ料理、というわけで、フィレンツェ風トリッパの話。

トスカーナ料理の権威と言われる人、パオロ・ペトローニの料理書、『リチェッテ・デッラ・クチーナ・トスカーナ』のリチェッタを訳してみます。


トリッパ・アッラ・フィオレンティーナTrippa alla fiorentina
材料/4人分
 ゆでたトリッパ(クローチェかクッフィア)・・800g
 玉ねぎ・・1個
 ホールトマト・・400g
 オリーブオイル
 塩、こしょう
 おろしたパルミジャーノ
・十分柔らかくゆでたトリッパを幅1㎝の細切りにする。
・鍋に玉ねぎのみじん切りを入れて油大さじ6で炒める。しんなりしたらトリッパを加える。
・5分炒めてトマトを加える。塩、こしょうをして蓋をし、水気が出なくなってトリッパがクリーム状になるまで約30分煮る。
・火を止めてパルミジャーノ大さじ2を散らし、なじませて5分休ませる。
・皿に盛り付けてパルミジャーノとこしょうを散らす。
※時間がたつと美味しくなるので数時間前に作っておき、温めなおしてサーブする。


ネット上には様々なフィレンツェ風トリッパのリチェッタがあふれていますが、これは、一番シンプルなタイプ。
クローチェは第一胃、クッフィアは第二胃の別名です。

ちなみに、「総合解説」で紹介しているモンタルチーノ風トリッパは、基本はフィレンツェ風と同じで、使うトリッパの部位も同じですが、サフランを加えるので黄色いトリッパになります。さらに、生ハム、ヴィン・サント、バター入り。

ナポリ風はレモンの皮とレモン汁入り。
ローマ風は、もちろんペコリーノ・ロマーノ入り。
ミラノ風のブゼッカは第三胃を使い、野菜たっぷりで白いんげん入りの濃厚なスープ。
他の地方のトリッパ料理とは、ちょっと趣が違います。

ミラノのトリッパは飲み物だった?
 ↓



趣が違うといえば、バニーノが有名なフィレンツェのランプレドット。

そもそもランプレドットとは、牛の第四胃の一部のこと。
これは、写真が秀逸な“Gli Illustri”シリーズの本、『ラ・クチーナ・トスカーナ』のリチェッタを訳してみます。
アルノ川沿いのサン・ニッコロ地区で息子と一緒に惣菜店を営むジュゼッピーナのリチェッタです。
大手スーパーが進出してきて、生き残るために、小さな商店からズッパとボッリートを出す店に変えたんだそうです。


ジュゼッピーナのランプレドット・ボッリートLampredotto bollito di Giuseppina
材料/4~5人分
 ランプレドット(第四胃の黒ずんだ部分)・・1.5㎏
 にんじん・・1本
 玉ねぎ・・1個
 セロリ・・2本
 トマト・・2~3個
 塩
 付け合わせのサルサ・ヴェルデ
 
・ランプレドットを水ですすいで香味野菜と一緒に深さのある鍋に入れて水で2~3㎝上まで覆う。
・塩を加えて、生のランプレドットの場合は弱火で約3時間ゆでる。下ゆでしたものの場合は約1時間。
・ランプレドットを切り分けてサルサ・ヴェルデを添える。サルサ・ヴェルデはイタリアンパセリ、セロリ(葉ごと)、にんにく少々、EVオリーブオイル、塩、こしょうで作った軽くてやや甘口のもの。


ランプレドットの屋台はフィレンツェ名物。
 ↓
2013.10.27-IMG_6471





上の動画、屋台で注文を受ける時、ランプレドット・イン・ジミーノin ziminoかノルマーレかと聞いていますね。
パオロ・ペトローニ氏によると、ノルマーレ(イン・ビアンコ)は白ワイン煮、イン・ジミーノは、ワインの代わりにトマトとビエトラを加えて煮ます。

ランプレドット・イン・ジミーノのリチェッタは、“ラ・グランデ・クチーナ・レジョナーレイタリアーナ”シリーズの『トスカーナ』にも載っています。







さて、次は、トリツパとワインの話。

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“トリッパ”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2012年10月号に載っています。

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トリッパとワイン

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今日のお題はトリッパとワインです。
トリッパにはどんなワインが合うと思いますか?
一見簡単そうな質問ですが、実はこれがかなりの難問なんです。
その理由は、現在発売中の「総合解説」2012年10月号をご覧いただくと、よ~く分ります。
実は、この号の最初の記事“トリッパ”と、最後の記事“トリッパとワイン”はつながっています。

トリッパ料理は、煮込み、サラダ、フリットの3種類に大別されますが、料理の仕方や使う部位によって、合うワインは、赤、白、ロゼ、スプマンテと、実に幅広いのです。

大雑把に言うなら、室温のサラダにはロゼか白、煮込みにはボディーのある赤、パン粉揚げのフリットはスプマンテ。

なぜこうなるかというと、トリッパは、調味料を完全に吸い込まないので、その味は使う調味料によって左右されます。
加熱によってゼラチン質が溶け出たとろみが加わります。
トリッパは脂肪分が少ないので、強い味付けの料理でも、油やタンニンを洗い流す効果は必要としません。

最初の記事では、トリッパの種類ごとの特徴や地方料理の説明、ワインとの組み合わせの基本的な情報の説明があります。
そして最後の記事では、これらをふまえて、論理的に最適なワインを紹介しています。
かなり複雑ですが、頑張って訳しました。
トリッパ料理に最適のワインを勧められるソムリエさんは、かなり優秀なのでは・・・。

下の写真はミラノのアンティカ・トラトリーア・デッラ・ペーザ(webページ)のミラノ風トリツパ。
組み合わせたワインは、ヴァルテッリーナ・スーペリオーレ・インフェルノですね。

Trippa alla Milanese: Antica Trattoria Della Pesa, Milan

ミラノ風やローマ風、トスカーナ風トリッパには、同じ産地のワインを組み合わせるという大原則をあてはめて、さらに、油に対抗できる酸味やしっかりしたアルコール度のあるワインが最適、なんだそうです。

デッラ・ペーザのPV




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“トリッパ”と“トリッパとワイン”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2012年10月号に載っています。

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ヌテッラ

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今日は恒例、ガンベロ・ロッソの食材ベスト10。
今回取り上げたのは、ジャンドゥイア・クリームです。
そう、イタリア人に溺愛されている、あのヌテッラも、このタイプのクリームです。

ヌテッラおしのローマのジェラテリーア。
 ↓
Nutella everywhere


もちろん日本のスーパーにも必ずあるし。

ヌテッラがどれだけ愛されているかが分る映画のワンシーン。
ナンニ・モレッティ監督の『Bianca/僕のビアンカ』(1983)のワンシーン、バケツで裸でヌテッラ。
いったい何を言い表しているのか・・・。
 ↓ 



というか、ヌテッラ以外にもこんなクリームあるんだけっけ?
というくらい、ヌテッラしか思い浮かばない。
ベスト1から10位まで、ヌテッラで決まりじゃないの、と思ったら、なんと、他にもいっぱいありました。
しかも、どれもみーんなヌテッラより美味しそう。
こんなにジャンドゥイアクリームがあったなんて、知らなかったなあ。

あ、そうだ、順位の発表の前にちょっとアドバイス。
スーパーや近所のお店で、上位に選ばれたものと同じ製品名のものを見つけて、値段は格安だからお得、と思ったあなた、それは大きな勘違いです。
ここでベスト10に選ばれているのは、いわゆる工場で作る大量生産品じゃありません。
職人が手作りする、アルティジャナーレの製品です。
だから、今回選ばれた製品は、そもそもヌテッラとは土俵が違う製品です。
値段が桁違いなのは当たり前。
特にイタリアのドルチェの世界では、こういう二重構造の勘違いがありがちなので、要注意です。
専門店で有名になって、大量生産品をスーパーで売って儲ける。
この仕組みを知らないと、ガンベロ・ロッソで美味しいって言ってたのに、全然美味しくないじゃん、てことになりかねません。
ガンベロ・ロッソのベスト10に選ばれるような製品は、多分、近所の店では簡単には手に入りません。

それでは、まず最初に、そもそもジャンドゥイア・クリームとは、どんなクリームでしょうか。
答えは、ヘーゼルナッツペースト入りのチョコレート。
その誕生には、『ガンベロ・ロッソ』によると、ナポレオンが関わっています(通説とはかなり違いますが)。
そこらへんの詳しい話は「総合解説」に載せましたが、イタリアにとってナポレオンは、征服の戦争を度々繰り返して国の中をめちゃくちゃにしていった人物ですが、その置き土産に、ヌテッラをイタリアにプレゼントしていったのだと思うと、ちょっと和みますねー。

なぜイタリアでヌテッラが生まれたのか、その理由も解決です。
そもそもの発端は、ナポレオンがトリノで行った経済封鎖。
イギリスの植民地からの物資が届かなくなって、カカオが足りなくなった。
その代用品とされたのが、ランゲのヘーゼルナッツでした。
これがジャンドゥイアです。
そしてこれをペーストにしたのがフェッレーロ家。
つまり、ヌテッラの製造元の会社。
現オーナーのミケーレ・フェッレーロ氏は、イタリアで一番の大金持ち。
フォーブスの世界の大富豪番付で23位。
イタリアで一番の資産家は、チョコレート職人の一族だなんて、イタリアらしいなあ。
そんな彼でしたが、2015年のバレンタインデーに亡くなりました。

葬儀の様子
 ↓



私はフェレロ・ロシェが大好きで、イタリアの免税店に行くと条件反射的に買ってしまいます。
ヌテッラはちもちろん常備しています。
フェッレーロ家の莫大な資産のご~く一部に、私も貢献していたんだなあ。
RIP。

Ferrero Rocher




あ、ジャンドィゥィアクリーム・ベスト10の話は、次回です。


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“ジャンドゥイア・クリーム”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年10月号に載っています。

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グイド・カスターニャ

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さーて、ヌテッラ以外に、どんな美味しいジャンドウィアクリームがあるのか。
それを知る前に、美味しいジャンドウィアクリームの条件とは、なんでしょう。
まず、基本の材料。
それはカカオとヘーゼルナッツ。
特にヘーゼルナッツは、ピエモンテIGPのトンダ・ジェンティーレ・トリロバータという上質で高級なヘーゼルナッツがポイントです。

トンダ・ジェンティーレ
 ↓
Tonda Gentile delle Langhe

さらに、イタリアのチョコレートには、ピエモンテ派とトスカーナ派という2大流派があります。
クリームの作り手が、どちらの地方に属すのかも、チェックのポイント。

最後に、ガンべロ・ロッソ誌がチェックポイントに挙げているのは、牛乳入りでない、オリジナルに近いもの。
ちなみに、なめらかな牛乳入りのクリームは、20世紀に入ってから作られるようになったそうです。

さて、それではいよいよ発表。

ナンバー1は、トリノのグイド・カスターニャGuido Castagnaです。

クレーマ・ディ・ノッチョーレ +55という製品。

インタナショナル・チョコレート・アワード2013のダークチョコレートクリーム部門で金賞を受賞しています。
ちなみに、グイド・カスターニャはこの年、ほかに3部門、計4部門で金賞受賞。

イタリアのトップクラスのチョコレートメーカーで、トリノのチョコレート業界を代表する作り手。

ヘーゼルナッツ女王と、伴侶のカカオ王子との相性がよく、奇跡的なソフトさとなめらか。
トンダ・ジェンティーレは自社焙煎で使用量は68%と今回選ばれた10品の中では最高。
ランゲのヘーゼルナッツの素晴らしさが味わえるクリームだそうです。

webページはこちら
この作り手は、ジャンドゥィオッティもナンバー1に選ばれています。





下の動画でメガネをかけている人がグイド・カスターニャさん。
マスコミにも大いに取り上げられていて、テレビ出演時の動画はネットに溢れています。




GUIDO CASTAGNA CIOCCOLATO

お店はトリノに2軒だけ。
あとはオンラインショップ。

2011年にトリノに店を出した時にはTVのニュースになってました。




このジャンドウィアクリームを買うためにトリノまで行くのもありかも。



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“ジャンドウィア・クリーム、ガンベロ・ロッソのベスト10”の記事の日本語訳は、「総合解説」2012年10月号に載っています。

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クーネオのバール・アリオーネ

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ガンベロ・ロッソが選ぶジャンドゥイアクリーム、ベスト10。
その1位に輝いたグイド・カスターニャ。
彼のwebページには、チョコレートティラミスなどのリチェッタが公開されています。
どうやら彼は、現在イタリアでとても注目されているショコラティエのようなので、そんな彼が作るティラミスが、どんなものなのか気になります。
そこで、次の次の「総合解説」(2012年12月号)にリチェッタの日本語訳を載せることにしました。
少し先ですが、乞うご期待。

ベスト10の記事には、この他、トスカーナ派チョコレートのメートル・ショコラティエの正統派クリーム、牛乳入りジャンドゥィアクリームの注目製品などの情報も、載っています。
ヌテッラ好きは要チェックですよ~。

イタリアには、ヌテッラ以外にも様々なジャンドゥイアクリームがあります。
ひょっとしたら、ヌテッラで莫大な資産を築き上げたフェッレーロ一族にあやかろうと、イタリアンドリームを追いかけているのかも・・・。


ジャンドゥィアクリームと言えば、イタリアには、カフェ・アッラ・ノッチョーラとか、カフェ・ジャンドウィヤという素敵なコーヒーがあります。
こんなコーヒー。
 ↓



コーヒーにたっぷりのホイップクリームとジャンドゥイヤクリームという、うっとするような組み合わせ。
うちのノッチョーラはノッチョーラIGPだよと、誇らしげにバリスタが語ってますが、もちろん、ピエモンテのトンダ・ジェンティーレのことですね。

偶然ですが、ガンベロ・ロッソの『バール・ディ・イタリア』で高評価の老舗バールとそのリチェッタを紹介する記事も、「総合解説」2012年10月号にのせました。
その中には、クーネオの有名老舗カフェ・パスティッチェリーア・アリオーネのカフェ・ジャンドゥイヤとヘーゼルナッツケーキのリチェッタもあります。

 店のwebページ(こちら)の写真を見ていると、ヘーゼルナッツケーキが食べたくなる。

1963年制作のマルチェロ・マストロヤンニ主演映画『明日に生きる』に登場するアリオーネ。
 ↓



店のあるクーネオの名物ドルチェはラム酒入りクネーゼ。
このチョコレートを考えたしたのはアリオーネの初代オーナー。




あー、コーヒー飲みたくなってきた。


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“ジャンドウィア・クリーム”と“バール・ディ・イタリア”の記事は、 「総合解説」2012年10月号に載っています。

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地方料理のリゾット

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問題です。
イタリア地方料理の代表的なリゾットを3つ挙げなさい。

ヒントは「総合解説」2012年10月号の記事“米の産地のリゾット”の中にあります。

一般的な答えは、下の写真の料理。

Saffron Risotto Milanese Style

2014-09-01 Osteria La Cantinella in Barolo (2)

18-08-13 Risi e bisi


上から、ミラノ風サフランのリゾット、ピエモンテのバローロのリゾット、ヴェネチアのリジ・エ・ビジ。

どれも、現地で食べたいですねー。
特に、4月25日のサン・マルコの日にヴェネチにいたら、リジ・エ・ビジを絶対に食べないと。


イタリアの米作農家の姿を強烈に世界に印象付けたのは、1949制作の映画、『にがい米』。

この映画の舞台は、ポー河流域の米作地帯で、モンディーネと呼ばれる、水田で田植えの出稼ぎの季節労働をする女性たちの世界。
現地でロケを行っています。
とにかくシルヴァーナ・マンガノをはじめとする出演者がと~っても色っぽくて、強烈。
でも、これだけ女が集まったら、ドロドロの世界になるに決まってる~。



やっぱりこっちが現実的、だけどどうしようもなく華がない。




もちろん他にもさまざまなご当地リゾットがあります。
有名なところだと、
ヴェルチェッリ(ピエモンテ)のパニッサ。

Panissa


マントヴァのアッラ・ピロータ。

Risotto alla pilota


ヴェローナのイゾラーナ。

Gabriele_Ferron_Risotto all'Isolana


なんだかどれも色味や外見が似てますが、それは、豆とサルシッチャ入りという共通点のせい。

米を使った料理は、リゾットやミネストラ、スフォルマート、トルタなど、様々ありますが、最近のトレンドは、夏向きのライスサラダといった冷製料理に寿司だそうです。


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“米の産地のリゾット”の記事とリチッタの日本語訳は「総合解説」2012年10月号に載っています。

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トラステヴェレ

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今日はローマのグルメガイドの話。
トラステヴェレ地区の情報です。
テヴェレ河右岸でヴァチカンの南の下町地区。
ローマで一番人気がある地区だそうです。

ぶらっと通りを歩くだけでも楽しいし、お気に入りのバールやレストランを見つけて通ってみるのもいいし、歴史や芸術も感じられます。




この地区にある有名店の一つ、ロッショーリ。




レストラン・ロッショーリから、分りにくい道を進んだ先にあるのは、ロッショーリの3軒めの店、リメッサ・ロッショーリ。
ソムリエのガイド付きでワインや食材の試飲試食ができます。




アンティコ・フォルノ・ロッショーリは、ピッツァ・ビアンカが有名なパン屋さんですが、リストランテは、ガンベロ・ロッソがナンバー1カルボナーラに選んだことで、一躍世界的に超有名に。
ロッショーリのカルボナーラ。
 ↓



店のweb ページはこちら

この他、修道院を改装したゲストハウスや、サンタンジェロ地区の自家製山羊の青カビチーズが名物のチーズ店など、「総合解説」2012年10月号は、ローマで食べ歩きしたい人にお勧めの情報が一杯載っています。


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“ローマ”のグルメガイドの日本語訳は、「総合解説」2012年10月号に載っています。

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セモリナ粉の手打ちパスタ

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「総合解説」2012年10月号のパスタの記事は、“卵が入らないセモリナ粉の手打ちパスタ”のリチェッタでした。

「卵が入らないセモリナ粉の手打ちパスタ」とは、どういう意味があるのかと言うと、南イタリアに代表される地中海の手打ちパスタは、基本、硬質小麦粉のセモリナ粉と水だけで作ります。
つまり、地中海の手打ちパスタということです。

その対極にあるのが、ボローニャを中心とするエミリア・ロマーニャのパスタ。
スフォリーネと呼ばれる女性の麺打ち職人が作る、トルテッリーニやタリアテッレなどのパスタ。
軟質小麦粉と卵の麺です。
特にトルテッリやアノリーニ、カッペッレッティなど詰め物入りパスタが名物。

昔からよく言われていることですが、エミリア・ロマーニャ料理は、イタリア人にとっては地中海料理ではないんですねー。

セモリナ粉のパスタの中心地はプーリアですかね。
有名なのは、オレッキエッテやカヴァテッリ。

で、セモリナ粉のパスタにも詰め物入りパスタというのがあります。
その一つが、「総合解説」の記事の最初のリチェッタ。
サルデーニャのクルルジョネスculurgionesです。

こんな美しい形ですが、この作り方を文章で説明するのはとても大変。
 ↓
Gioiello Sardo

だいたいこんな感じ。




2番目のリチェッタはフジッリです。
編み棒を使って成形します。




3番目のオレッキエッテは何度も取り上げているので詳細は省略します。

4番目のシャラティェッリscialatielliは、カンパーニア料理の巨匠、エンリコ・コゼンティーノシェフが、1978年に行われた国際料理コンクールのために作り出したパスタで、シェフの出身地アマルフィを中心に広まって、今ではカンバーニア料理として普及しています。
乾麺の本場の手打ちパスタ。
不規則で短くて厚いタリアテッレです。





セモリナ粉の手打ちパスタは、どれも作った人のぬくもりが伝わるようなパスタですねー。



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“卵が入らないセモリナコの手打ちパスタ”のリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2012年10月号に載っています。

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編み棒のパスタ

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前回のブログで登場したシャラティエッリのことが、なぜか頭の隅にひっかかって離れません。
カンパーニアでは珍しい生パスタ、ということと、多分、シャラポワみたいなその名前の響きが、とても魅力的だったせいです。

他の本でも調べてみたら、
リチェッテ・ディ・オステリーエ・ディ・イタリア”シリーズの『パスタ』に、5点もリチェッタが載っていました。
さらに、こんな解説がありました。

「scialatielliはカンパーニアで生まれたパスタ。
カンバーニアではsciglia はひっくり返す、乱雑にする、という意味の動詞。
シャラティエッリは鉄の細い棒(ferretto)を使って作るパスタ。編み棒のような細い棒に細長い麺状の生地を巻きつけて成形する。
最近では作業が簡略化されて田舎風のフェットゥッチーネ(一般的なものより厚くて細い)に成形することが多くなった」

さらに、編み棒を使って成形するパスタについては
「家庭で手作りするパスタ。
編み棒のほかに、植物の葦を使うこともある。
ちなみに、アラビア語で葦という意味のbusという言葉から、busa、busiateというパスタの名前が生まれた。
巻き付け方には2種類あり、棒状の生地の上に麺を置いて押しながら転がして棒に巻きつける方法と、一本の棒状の麺の上に置いて転がして棒を抜く、ブカティーニタイプだ。
これらのパスタは北から南まで各地にあり、様々な名前が付けられている。
その中の一つがシャラティエッリだが、編み棒を使うパスタの名前には多くの混乱もある。
一番代表的なのは、“maccheroni/マッケローニ”だ」

フジッリ
 ↓


マッケローニ
 ↓



ちょっと混乱してきましたが、つまり、シャラティエッリは、元々は、フジッリやマカロニタイプの棒をつかて成形するパスタだったということですね。
それが最近になって、フェットゥッチーネタイプのものの方が一般的になった、という訳です。

さらに、編み棒を使って成形するパスタは、マッケローニという、とてもお馴染みの名前が付けられていることから想像するに、各地に普及したとても一般的なパスタでしたが、乾麺の方が爆発的に世界中に広まって、生麺は駆逐されてしまったのでしょう。

マッケローニという生麺を作ること自体が、珍しくなってしまったけれど、フジッリやシャラティエッリは残りました。
歴史的に考えてみると、マッケローニは手打ちパスタの成形の基本中の基本だったんですねー。

これ以上追及すると、例によってまた、パスタの迷宮に迷い込んでしまいそうです。
パスタのことを調べだすと、謎が謎を呼んで、結局抜け出せなくなってしまうんですよねー。

話をシャラティエッリに戻します。
『パスタ』にある5つのリチェッタは、シーフード、アサリ、なすとリコッタ、水牛のラグー、ムール貝とじゃがいもと、なかなか美味しそう。
ムール貝とじゃがいも、いいですねー。


これはカプリ島のシーフードのシャラティエッリ。
セモリナ粉のパスタって、シーフードとも相性良さそう!
 ↓
Scialatielli ai frutti di mare @ Capri


おまけの写真。
フジッリをガルガネッリに筋をつける板の上で転がせば、筋付きフジッリの出来上がり。
オリジナルパスタですね。
 ↓
Fusilli




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“卵が入らないセモリナ粉の手打ちパスタ”のリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2012年10月号に載っています

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カルツァガッティ

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今日からは「総合解説」2012年11月号の話です。

まず、今月の料理で、一番気になったのは、カルツァガッティcalzagatti。
聞いたことありますか?

こんな料理です。
 ↓
Calzagatti

見た目はちょっとあれですが、ポレンタにボルロッティ豆とじゃがいもを加えたものという、内容的にも、胃袋にズーンときそうな一品。
翌日、冷めて固まったものをスライスして揚げても美味しいんだそうです。

この料理の名前のガッティというのは、猫のことです。
猫なんて料理の名前にしては珍しいですが、どうやらこの料理の由来には、猫がかかわっているらしいのです。
猫派の人は大喜びしそうですが、主役は別にいます。
それはなんと、ドジっ子メイドです。

モデナのあるお屋敷の不器用なドジっ子メイドが、ゆでたいんげん豆を運んでいる最中、よりによってポレンタの鍋の横を通った時に、猫につまずいて、やっぱりというか当然というか、ポレンタの中に豆を落としてしまいました。
その結果、当然ながら猫は部屋から追い出されました。
猫を部屋から追い出すをイタリア語で言うと、caccia via il gatto。
これがなまってcalzagattiとなったわけです。
つまり、料理の名前を日本語にすると、「猫を追っ払う」という、動物愛護団体から苦情がきかねない名前なんですねー。

でも、ニャンコにしてみればとんだ災難です。
人間の身勝手な八つ当たりですよねー。
しかも、豆が入っちゃったポレンタは、美味しい!とお客様に大好評。
多分メイドは怒られただろうけど、ニャンコが全面的に責任を転嫁されたのでした。

私の中では、ドジっ子メイドと言えば、ダウントン・アビーの厨房メイドのデイジーと料理長のパットモアさん。
 ↓



イタリアの伝統料理の約50%は、どうやって生まれたのかが、謎です。
残りのうちの半分は、ドジっ子によって生み出されたといっても過言ではありません。
たいていが見習い職人などの経験値の浅い若者がうっかりドジって、奇跡のような名物料理を生み出しちゃうわけです。
実は今月の「総合解説」には、もう一つ、ドジっ子が作り出したイタリアを代表する銘産品が登場しています。
なんだと思いますか。
ヒントはチーズです。
典型的なイタリアのレジェンドの一つですよ。

答えは次回に。



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“カルツァガッティ”の解説とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2012年11月号に載っています。

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ゴルゴンゾーラとストラッキーノ

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今日は、真偽はともかく、うっかりが原因で生まれたという話が広く信じられているイタリアを代表するチーズの話です。

詳しくは「総合解説」に書いてありますが、そのチーズは、ズバリ

ゴルゴンゾーラです。

gorgonzola


正確には、いつ、どこで、誰が考え出したかは謎に包まれているチーズですが、民間では、例によってすっと納得できるような、もっともで愉快な話が伝わっています。

それによると、主人公のうかっり者は、牛の群れを放牧しながらストラッキーノチーズを作っていた牧童です。

ストラッキーノのCM
 ↓



なので、ゴルゴンゾーラの前に、まず、ストラッキーノがどうやって作られるのかを知っておく必要があります。

下の写真は、ストラッキーノの一種。
カビの生えていないゴルゴンゾーラそのものですね。

Stracchino di Bagolino

ストラッキーノ作り
 ↓



ストラッキーノは加熱しないチーズです。
なので、基本は搾りたての温かい牛乳にレンネットを加えて固め、砕いてホエーを切るという作業。
搾乳は朝晩の2回行うので、固めてホエーを切る作業も2回行います。
前の日の晩の冷めて乾いたカードと当日の朝の温かくて柔らかいカードを1つの容器に入れて混ぜることによって、両方がつながって固まります。
これを塩水に浸けて12~20日程度の短期間熟成させます。

ストラッキーノはロンバルディアの様々なのチーズの原型とも言える基本のチーズ。
ゴルゴンゾーラだけけでなく、クレッシェンツァ、タレッジョ、ロビオーラも、ルーツはストラッキーノです。

熟成させないストラッキーノのクレッシェンツァ。
 ↓
Crescenza


クレッシェンツァもタレッジョも、どうやってストラッキーノから変形していったかを調べれば、きっと楽しい言い伝えが出てくると思いますが、ゴルゴンゾーラの場合は、2日分のミルクから作る、というのがうっかりポイント。
つまり、結論から言ってしまうと、濃さが違うカードが層になって重なることで、空気の入るすきまができて、その結果カビが生えた、というものです。

ところが、さすがは民間伝習。
話の上手いおじさんやおばさんが、みんなに話して聞かせるうちに、どんどん盛られていって、最終的にはかなり出来上がった話になりました。
ゴルゴンゾーラのコムーネのwebページにも載っています。

次回は、この話を訳してみます。


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“ゴルゴンゾーラ”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年11月号に載っています。
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ゴルゴンゾーラのエピソード

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そういえば、ゴルゴンゾーラの誕生のエピソードは、以前に何度か取り上げたことがあります。
でも、ゴルゴンゾーラ市の話は初めてだと思うから、まっ、いいか。
しかも、どれも、微妙に違うし。

それでは、ゴルゴンゾーラ誕生の地、ゴルゴンゾーラ市のwebページから、その誕生のいきさつとして伝わる伝説を記した部分を訳してみます。
原文はこちら
前回説明した通り、この伝説の主役の若者はストラッキーノを作るのが仕事でした。
つまり、牛を放牧してそのミルクを朝と晩の一日2回搾り、できた2種類のカードを混ぜて合わせて熟成させます。
その時、うまく混ざりあわないと2種類のカードの間に隙間ができて空気が入り、カビが発生します。

さて、この若者は、一人の美少女に熱烈に恋をしていました。
ところが、美人にはありがちですが(と書いてあります)、彼女は、男には全然興味がないかのようにふるまっていました。
若者は、どうしたらそんな彼女の気を引くことができるか、いつも考えていました。
そしてある晩、うっかりして、搾乳したミルクのクリームを分離させることを忘れてしまいます。
2種類のカードを混ぜた後、固まらないので彼は脂肪とホエーを取り出すために小枝でつついて穴をあけてみました。
後で親方がそのチーズに気が付いて匂いを嗅いでみると、すごい悪臭がします。
そこで親方は、こんなチーズは売れないので金は払えない、と若者に宣言します。
お金がなくて食べるものもない若者は、仕方なく、その悪臭のするチーズを食べることにしました。
チーズを切ってみるとナイフの刃先にカビがつきました。
でも、我慢してパンにのせて食べてみると、驚いたことにそれほど不味くはなく、しかも食べているうちにとても美味しく思えてきたのです。
このチーズの美味しさはすぐに広まりました。
若者はめでたく美少女と結婚し、親方から結婚祝いにこのチーズをたっぷりもらいましたとさ。


どう考えても後で考えた話ですねー。
でも、恋する若者がうっかりどじってすごいのができちゃった系の話は、イタリアの人たちは大好きなようです。

現代のゴルゴンゾーラ造り。
 ↓




さて、今回の「総合解説」の最初の地方料理は、“フォンドゥータ”でした。
これはヴァッレ・ダオスタの名物チーズ、フォンティーナが主役の料理。
これは典型的な山のチーズ。
チーズについている山のマークはマッターホルンを描いたもの。




このチーズには、ゴルゴンゾーラのような面白い逸話はなさそうですが、15世紀末に描かれたお城(Castello di Issogne)のフレスコ画に、書き込まれているそうです。
この絵のテーブルの右側に載っているのがフォンティーナ。



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“ゴルゴンゾーラ”と“フォンドゥータ”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2012年11月号に載っています。

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オルゾ

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さて今日は、11月号を訳していて一番ほお~、と思った食材の解説です。
それは、“orzo/オルゾ(大麦)゙”です。

ノルチャの大麦畑
 ↓
l'estate è gialla come un campo d'orzo


イタリア料理人なら、オルゾは一度は食べたことがあるでしょう。
でも、その栄養価を知っていますか?
私はこの記事を訳していてその素晴らしさを初めて知りました。

そもそも、小麦と大麦は、何が違うの?
日本語だと大きい麦と小さい麦だけど、イタリア語だとorzoとfrumentoまはたgrano、英語だとbarleyとwheatで、大小という区別は特になし。
大麦にもいろいろな種類がありますが、オルゾは皮が簡単にむけるハダカムギという種類です。

パスタやパンは小麦で作りますが、大麦は何に使うのでしょうか。
・・・、
意外と、知らない。

11月号の記事の冒頭(P.42)にもあるように、地中海式食生活のベースは、小麦のパンとパスタというのが一般的なイメージです。
ところが、小麦はもっとも高貴な穀物で、第二次大戦までは、大麦やファッロが、イタリアの農民の主要な炭水化物源でした。
主に、粉にしてパンにしたり、スープやドルチェの具にしたり、炒って挽いてコーヒーのような飲み物にしたり、モルトとしてビールを作ったり、家畜の飼料にしました。

イタリアで、コーヒーの代用品としてオルゾコーヒーを飲んだことのある人もいるでしょう。
あのコーヒーには、カフェインを含まないという特徴もあります。
だから赤ちゃんでも飲めます。
イタリアの家庭料理には、オルゾのズッパという定番料理があります。
でも、オルゾは、グルテンの含有量が少ないため、小麦粉などと混ぜないとパンには適していません。
市場にもオルゾの粉はほとんど出回っていません。
でも、オルゾの粉で作ったドルチェもパスタも存在します。

オルゾは、小麦の台頭で、比較的最近マイナーに降格した穀物ではありますが、その栄養価は、現代人なら高く評価するはず。

何しろ、グリセミック指数がもっとも低いでんぷん質の一つなんだそうです。

グリセミック指数、と言われても、健康な人にはピンとこないですよね。
私も初めて知りました。
ググってみてください。
それでもよくわからない?
私は専門家じゃないので、素人的に簡単に言っちゃうと、どうやら血糖値が上がりにくい食べ物なんだそうですよ。
血糖値が上がると下げるためにインスリンが分泌され、インスリンは余った糖を脂肪に変える。
さらに、お昼ご飯を食べた後に襲ってくるあの眠気。
その原因もインスリン。
脂肪の蓄積を抑えて眠気を軽くしたければ、グリセミック指数が低いものを食べればいいのでした。

ちなみに、このグリセミック指数が高い食べ物は、アイス、インスタントラーメン、菓子パン、小麦粉の麺類、砂糖など。
腹もちがよくて美味しそうなものは全滅ですねー。
ところが、オルゾは穀物なのにこの指数が低いのです。

しかも、オルゾは煮ると大量に水分を吸って膨らみます。
さらに、水溶性食物繊維やミネラル、ビタミンB群も豊富。
オルゾのタンパク質と豆の営養価は補完関係にあるから、豆との相性だって抜群です。

オルゾのズッパ。
 ↓
Zuppa di orzo / Graupensuppe



先日、ファッロの代用品にしようと思って、偶然スーパーで購入したのが大麦でした。
大麦は、色んな種類のものがスーパーで売られているんですね。
簡単に手に入るので、大麦と豆のズッパで、ヘルシーにダイエットしてみるのもいいかも。
次回は、イタリア風の大麦のズッパのリチェッタでも。




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“オルゾ”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年11月号に載っています。

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オルゾのスープ

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今回は、メタボな人の味方、オルゾのリチェッタです。
オルゾは、もっとも血糖値が上がりにくい穀物であるだけでなく、かのヒポクラテスは、頭にも体にもよい食べ物と信じていました。

Barley

聖書にも、大麦のパンと魚が登場する有名な話があります。
内容はとても抽象的で、私には理解不能なので、興味のある人はググってみてください。
聖書に書かれているパンとは、どうも大麦のパンのことらしいのですね。

紀元前9000~10000年頃から人類が栽培していたという穀物、大麦。
エジプト人が最初に造ったビールも大麦を発酵させたもの。
小麦が育たないような土地でも栽培できます。
さて、これをイタリア料理として食すなら、どんなリチェッタがあるのでしょうか。

まず、大麦を使った地方料理が有名なのは、トレンティーノ=アルト・アディジェ地方。
大麦のズッパやミネストラが名物料理の一つです。
プーリアでは、パンだけでなく、フリゼッレもオルゾの粉で作る場合があります。

フリゼッレ
 ↓
WP_20150124_09_18_57_Pro


それでは恒例、
たいていの地方料理は載っている便利なシリーズ、“ラ・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズの、『トレンティーノ=アルト・アディジェ』から、オルゾのミネストラのリチェッタを訳してみます。


オルゾのミネストラMinestra di orzo
材料/4人分
 オルゾ・・300g
 じゃがいも・・2個
 にんじん・・2本
 セロリ・・1本
 ポロねぎ・・1本
 生のさやむきインゲン豆・・100g
 スモークした肉・・200g
 おろした硬質チーズ
 EVオリーブオイル
 塩、こしょう
 おろしたパルミジャーノ
・全部の野菜を小さく切って豆、肉と一緒に鍋に入れ、水1.5リットル、塩を加える。
・蓋をして沸騰させ、オルゾを加えて時々かき混ぜながら最低3時間煮る。
・肉を取り除き、油を回しかけて好みでチーズを散らす。
※トレンティーノの伝統料理にはオルゾがベースのスープがたくさんあるが、これはその中の一つ。
ブロードに入れて煮たスモーク肉はセコンド・ピアットとして食べる。


オルゾとたっぷりの野菜や豆が入ったスープは、代表的な家庭料理のスープでもあります。
そこで、どの料理も美味しそうなイタリア家庭料理の本、『マンマ・ミーア』からも一品、訳してみます。


エルベッテとトマト入りのオルゾのズッパZuppa d'orzo con erbette e pomodori
材料/4人分
 皮むきオルゾ・・250g
 玉ねぎ・・1個
 にんじん・・2本
 セロリ・・1本
 赤くて締まったトマト・・2個
 エルベッテ・・1束
 ゆでたいんげん豆(ボルロッティ)・・150g
 EVオリーブオイル
 バジリコ
 塩、こしょう
・香味野菜を小角切りにしてさっと炒め、オルゾを加えて水で覆う。
・20分煮たらいんげん豆と粗く刻んだエルベッテを加えて10~15分煮る。
・最後に小角切りにしたトマトを加える。
・熱々のズッパを皿に注ぎ、オリーブオイルとこしょうをかける。仕上げにちぎったバジリコを散らしてもよい。
※こつは弱火でじっくり煮ること。
スモークした肉の小片を加えてもよい。理想的なのは豚足や生ハムの骨だが、パンチェッタやサルシッチャでもよい。
煮直すと美味しくなる。


特殊な食材や手間暇のかかる地方料理も、家庭料理としてのアレンジが加わると、見事にお手軽で作りやすそうな料理になるものですね。
ほんとにこの本、優秀でお勧めです。

それにしても、グリセミック指数というのは世界中で注目されているのですね。
一日に一食ぐらいは大麦のスープ食べるのもいいかも。



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“オルゾ”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年11月号に載っています。

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ナポリ・ピッツァ

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そういえば、日本では産業革命のなんちゃらが世界遺産の候補になりましたが、同じタイミングで、イタリアでは、ナポリのピッツァが世界遺産候補に決まりました。
あれ、まだ世界遺産じゃなかったんだ。

世界遺産立候補決定を伝えるニュース
 ↓



そこで今日はピッツァの話。

今月の「総合解説」から、新しい雑誌が加わりました。
いつもイタリアから面白い話題を伝えてくれるsegnalibroさんが見つけてくれた『Pizza & core』という、ピッツァ業界の専門誌です。

内容は、ピッツァ業界にかかわる各社のプロモーション。
最初の記事は、その中から、ナポリの有名製粉業者、カプート社(webページはこちら)の提供ページを訳してみました。

カプートのPV
 ↓


ナポリのピッツェリーア・ピッツェ・エ・ピッツェPizze e Pizzeのリチェッタです。

お店の情報はこちら
店主のジェンナーロ・チェルヴォーネさんはピッツァアカデミー(webページ)の講師も務めています。
ピッツァは“Nidi d'Uccello/小鳥の巣 ”という名前で、ちょっと変わったロールピッツァ。(写真)
一見、ピッツァには見えないですが、調理パンとして普通に美味しそう。


カプート社提供の別のビツァイオーロのピッツァ・ナポレターナの作り方の動画
その1、古風で芸術的な生地作り。
 ↓


その2
 ↓



モッッァレッラがぐつぐつぃってるピッツァが食べたい。

隔月刊の雑誌なので、今後は『クチーナ・エ・ヴィーニ』と交互に登場予定です。



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ピッツェ・エ・ピッツェの“ジェンナーロ・チェルヴォーネ”氏のリチェッタは、「総合解説」2012年11月号に載っています。

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アルベイザ

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今日はワインの話。
イタリアソムリエ協会会長のジュゼッペ・ヴァッカリーニ氏が、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』誌で連載しているコラム 、11月号のお題は、ワインボトルの形です。

ボルドータイプとか、ブルゴーニュタイプ程度なら、素人でも知ってます。
でも、アルベイザなどのイタリアワイン独特の形と名前は、知らなかったなあ。

バローロ、バルバレスコといったピエモンテのワインが独特の形をしているということは、なんとなく知っていました。
そのボトルには、アルベイザalbeisaという名前があったんですね。
アルバが語源だけあって、アルバ産のワイン用のボトルです。
アルバワイン生産者組合のwebページによると(こちら)、他のワインと区別する意味もあって18世紀から独特のボトルが造られていたそうですが、ナポレオンの侵略によって、型を使って成形できて値段も安い、フランスのボルドーとブルゴーニュタイプのボトルに押されて消えてしまいました。
1973年に、16軒のボトル製造業者が集まって、古いアルベイザを、現代的な需要に合わせて復活させ、albeisaというレリーフ入りのボトルの製造を始めました。生産者組合も設立されます。
目的は、ランガとロエーロの上質ワインのさらなる差別化です。

上からボルドー、ブルゴーニュ、バローロ。
よーく見ると、albeisaというレリーフがある。
 ↓
2008 Château Méric Médoc2008 chablis from Garnier & FilsCavallotto - Barolo "Bricco Boschis" Docg 2006


アルベイザの製造過程
 ↓



ワインのボトルの製造過程、初めて見ました。
かなりダイナミック。
オートメーション化が進んでいて、面白い。


さてもう一つ、次はアンフォラです。
この名前のボトルはプロヴァンスの典型的な形だそうですが、イタリアワインの中にも、このアンフォラのボトルで有名なワインがあります。

この話は次回に。



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“ワインボトルの形”の記事の日本語訳は、「総合解説」2012年11月号に載っています。

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アンフォラボトル

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ワインのボトルの中には、“アンフォラ”という名前の形があるそうです。

アンフォラと言えば、古代ギリシャやローマの遺跡から見つかる、ワインや油を入れていた陶器の壺。

古代ローマとギリシャ時代のアンフォラのコレクション。
  ↓
Wandering through orderly amphorae in the Greek & Roman study collection @metmuseum for inspiration for #SlowArtDay2015. #ITweetMuseums #metmuseum

とがった先端を地面に突き立ててまっすぐに立てることができました。

アンフォラ型のボトル。
 ↓
Metaxa Amphora 7 Star 40%

イタリアにも、こんな形のボトルに入ったワインがありました。

ヴェルディッキオです。
 ↓



この形のボトルは、1954年、ファーツィ・バッターリアのヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージ・ティトゥルスのために、コンペで優勝した建築家のアントニオ・マイオッキが、エトルリアのワインの壺を基にデザインしました。


ファーツィ・バッターリアのヴェルディッキオの製造過程。
ここで製造しているのがティトゥルスtitulusです。
 ↓



1949年創業のワイナリーなので、創業してすぐにこの形を導入したんですね。
webページには、それまでほとんど知られていなかったヴェルディッキオが、わが社が考案したアンフォラボトルによって世界的に有名になったと書かれています。
あまりに有名になったので、他のワイナリーも追随して、このアンフォラボトルがヴェルディッキオのシンボルとなったのでした。
確かに、ヴェルディッキオがアンフォラボトルじゃないと、テンション下がる世代だなあ。

おまけの動画、2014年度、イタリア最高ソムリエの候補たち。
インタビューを受けている人がイタリアソムリエ協会会長、ジュゼッペ・ヴァッカリーニ氏。
 ↓


選考過程で、田崎真也氏の写真が写しだされてましたねー。
何と、ワインの世界の有名人の説明をする、という問題だそうです。
コーヒーやビールのテイスティングもしてます。
ソムリエってすごすぎる。

選ばれたのは、モンテカルロのホテル・メトロポールのロブションのレストランのソムリエ、サルヴァトーレ・サレルノ君、25歳。


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“ワインボトルの形”の記事の日本語訳は、「総合解説」2012年11月号に載っています。

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カプンティ

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今日はパスタの話。
今月の最も印象に残ったパスタは、カプンティcapunitです。
人間味あふれるあったか~い手打ちパスタの宝庫、プーリアの、ひっかいて作るパスタ、pasta strascinateの1つです。

一番小さいのは指3本を使って作るカプンティ・ア・トレ・ディータcapunti a 3 dita。
ちなみに、指1、2本だとカヴァテッリcavatelli。
下の写真のカプンティは、どうやら指4本で作っているよう。


Capunti.


4本指のカプンティと2本指のカヴァテッリ。
 ↓




3、4本なら、まあ普通のカプンティですが、「総合解説」に載せたのは、なんと指8本。
両手の人差し指から小指まで使います。
単純に考えても、4本指のカプンティの2倍の長さ。
写真を見る限り、おいおい、とつっこみたくなります。
多分、プーリアのパスタで一番ボリュームがある麺なのでは。

8本指のカプンティを作っている人がいました。
貴重な動画です。
 ↓



微妙に7本指だったりしてますが、どうやら実在する麺のよう。
どうやって食べるんでしょうね~。






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“オレツキエッテと仲間たち”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年11月号に載っています。

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