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Channel: イタリア料理ほんやく三昧
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ミラノEXPO

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今日は、イタリア便りです。
今、話題のあの場所の話。
それでは、どうぞ。


果たして開幕に間に合うのかと言われていたミラノEXPO 2015、ついに5/1から始まりました。
私も早速行って来ました、
€5の夜間入場チケットで!
19時以降に入場できるセラーレという名の夜間チケット、EXPOの雰囲気を楽しむのには最適です。
19時には既に閉館しているパビリオンもいくつかありますが、ミラネーゼの間では週末、セラーレチケットでEXPOに行き、夕食を楽しむというのがブームになっているそうです。
私が行ったのも土曜日。
18時過ぎに入場ゲートに到着しましたが、思ったよりたくさんの人が並んでいました。

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ミラノ市内から公共交通機関でEXPOへ行くには、地下鉄メトロ又は鉄道を利用するという2通りの方法があります。
メトロ側の入場ゲートは、入ってからパビリオンのある場所まで無機質な歩道橋をかなりの距離歩かされます。
時間に制限のあるセラーレの場合は特に、ゲートをくぐればすぐパビリオンがある、鉄道側からの入場がお勧めです。
切符の料金は、メトロが片道€2.50、鉄道は€2.20。
駅の数が少ない鉄道の方が所要時間はやや短いです。

EXPO入場券の購入方法はいくつかありますが、今回は並ぶのを覚悟でスフォルツェスコ城前にあるガラス張りの専用窓口で購入しました。(写真はお借りいたしました)

image
 

中央にたたずんでいるのは、妖怪ではありません。
ミラノEXPOの公式マスコット、Foodyフーディです。
ミラノ生まれの画家、ジュゼッペ・アルチンボルドの絵画をモチーフにDisney Italiaが制作したものです。
よく見ると顔が野菜や果物で出来ている、という印象に残る彼の作品は、フィレンツェのウフィッツィ美術館やパリのルーブル美術館でご覧になった方も多いと思います。
これがフーディっぽいかな。
スウェーデンのスコークロステル城に所蔵されている作品です。

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入場券を購入したら、身支度を整えます。
イタリアにはユニクロやしまむらはありませんが、今や国内ではH&Mとタイマンを張っていると言っても過言ではない、OVS(オヴェッセ)という衣料品店があります。
もともとはイタリアのデパート、COIN系列の1つであったのですが、今はUPIM系列に入っている、れっきとしたイタリア企業です。
ここはミラノEXPOのオフィシャルリテーラーで、EXPO Tシャツを販売しています。


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私も張り切って1枚購入しました。

さて、私の目的は日本食。
日本館のフードコートには現在、CoCo壱番屋、モスバーガー、サガミ、柿安の4店が入っています。
イタリアでも人気の日本食、フードコートは満席でした。

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一番人気はサガミさんの天ぷらそば。
ちらっとお聞きしたところによると、感覚的統計では、お客様のうち4割以上はサガミさんをチョイス。
2番人気はモスバーガーさんなんだそうです。
他の3店に比べると、和牛だから少し値の張る柿安さんはともかく、私の周りのイタリア人にはカレー好きな人が多いので、何かのきっかけがあればCoCo壱番屋さんも超売れっ子になりそうな気がするのですけど。

パビリオンは21時閉館なので、セラーレの場合、見学時間は実質2時間です。
が、面白いと聞いたカザフスタン館に30分も並んでしまいました。
列の後ろの方はタイムアウトで切られていたので、入場できただけ有難いかも。
一口飲んだら飲んだことを後悔する味だと聞いて、楽しみにしていた馬乳の試飲、当日分は品切れでした。
ちなみにセラーレの時間には、どの会場も試食はほぼ残っていませんでした。
カザフスタン館、とっても力が入っているのは、首都アスタナで2017年に万国博覧会が開催されるから。
ちゃんと説明を聞いていないと注意を受けるくらい、アテンダントのみなさんは真剣に説明してくれました。


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展示室を出たところには、郷土料理を楽しめるレストランが併設されています。
業務を終えたアテンダントさん達が閉店したレストランで食べていた賄いの郷土料理がとってもおいしそうで、目が釘付けになりました。
この日は寒かったので、温かそうな一品。
素朴な感じで、私好みだったんです。 後で調べてみたところ、どうやらカザフスタンのグヤーシュらしい、ということが分かりました。
遊牧の民には、グヤーシュは定番の郷土料理なのですね。
なるほど。
ハンガリーのグヤーシュが肉じゃがになったような感じの賄いは、具が大きくて、スープは少なめ、お味もハンガリーやイタリアのものとはきっと違うんだろうなぁ。
物欲しそうに見ていたら、閉館だからと追い出されました。 シルクロードの中継地であったこの国は、ヨーロッパ、トルコ、アラブ、アジアの文化が融合しているらしく、アテンダントさん達のお顔も様々。ロシアほど我が強くなさそうだし(おや、失敬!)、アジアみたいに勤勉な印象を受けました。
私、秘境系ハンターではありませんが、カザフスタン、ちょっと行ってみたくなりました。

今回残念だったのは、せっかくEXPO Tシャツを着て行ったのに、寒くて上着が脱げなかったこと。
あはは。
今のところ、夜は23時までですが、週末のみ0時までになるという噂もあります。
10月末まで開催されておりますので、みなさんぜひミラノEXPOにいらして下さい。 私もまた行きます、多分、セラーレで!!(笑)



Segnalibroさん、今回もあざーす。
また行くなんて、うらやまし~。

寒くて上着が脱げない、ですか。
日本は30℃超えの真夏日で、熱中症とか光化学スモッグ注意報発令ですよ。
まあ、地震もあるけど。

グヤーシュって何?
ハンガリーの食べ物ってことは、ひょっとしてグーラッシュ?
ていうか、今時の人は、グーラッシュなんて言わないの?
ちゃんと説明を聞いていないと注意を受けるカザフスタン館、行ってみたいなあ。

おまけの写真はさすがはディズニークオリティーのFoody。
キモカワイイ。

Expo 2015 Foody mascotte


野菜たちのキャラクターが超かわいい。
 ↓



各野菜が主人公のアニメも、かわいすぎる。
 ↓


いちじくのロドルフォは、ちゃんと大事なところをいちじくの葉っぱで覆ってます。


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パルマのバラ

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今日はパルマの名物肉料理の話。
その名もパルマのバラrosa di Parma。
「総合解説」では、パルマの老舗トラットリーアのリチェッタを紹介した“パルマの日曜日”という記事にリチェッタを載せています。

日曜日に食べるご馳走だけあって、牛のヒレ肉1本にパルマの生ハムとパルミジャーノという、パルマが誇る2大名物をのせて巻いた、華のある一品です。バラだけに。

記事でリチェッタを紹介している店は、現在はパリとニューヨークに支店を持つサルメリーア・ロージーとして営業しています。
webページはこちら

サルメリーア・ロージーのパルマのバラ
 ↓



生ハムやパルミジャーノを売ってる店なので、きっとこの料理も美味しいことでしょう。

ニューヨーク店
 ↓


ボストンのサルメリーア・ブリッコ。
 ↓



隣にはベーカリーもあってモッツァレッラも自家製。
ここのパニーノが美味しくないわけがない。


日本のデパ地下にも出店してるパルマのサルメリーア・ガリバルディ。
 ↓


繁盛している惣菜店は、見てるだけて幸せになりますねー。


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“パルマの日曜日”の記事は「総合解説」2012年11月号に載っています。

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アーヴォラのアーモンド

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今日は最近その栄養価が注目されているアーモンドの話。
イタリア産のアーモンドと言えば、有名なのがシチリアのアーヴォラ産。

アーヴォラのアーモンド
 ↓
Mandorla di Avola

アーヴォラのアーモンドには3品種あって、国際市場で高く評価されています。
酸化防止効果が高く、肥満、高血圧、高血糖の改善に効果があるそうです。


アーヴォラ
 ↓


普通に大きな街ですね。
アーモンドの木がある気配がない・・・。

アーモンドをシチリアに伝えたのはギリシャ人。
特にシラクーザ、ノート、アーヴォラといった島の南東部の気候と相性がばっちりでした。
ギリシャ人がこの地方を植民地化したのは紀元前8世紀半ば。
歴史の古い町なんですね。

シチリアのアーモンド栽培の中心地ヴァル・ディ・ノート地方のアーモンド畑。
桜に似たうすピンク色の花が、一帯を埋め尽くす美しい光景は、シチリアのシンボルの一つです。
 ↓




アーヴォラでも、郊外にはアーモンド畑が広がっていました。
アーモンドの開花から、出荷、ドルチェになってシチリア美人が食すまで。
 ↓


農薬はほとんど使わず、収穫も手作業。

シチリアには、派手なフルッタ・ディ・マルトラーナから、清楚なビアンコマンジャーレまで、アーモンドを使うドルチェがたくさんありますよね。。

フルッタ・ディ・マルトラーナ
 ↓
TAORMINA


次回はその話でも。


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“アーヴォラのアーモンド”の記事の日本語訳は、「総合解説」2012年11月号に載っています。

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シチリアのアーモンドのドルチェ

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シチリアのアーモンドのドルチェ、いっぱいありますよねー。

マジパンのフルッタ・ディ・マルトラーナ、
緑のマジパンで覆うカッサータ、
アーモンドミルクを使うビアンコマンジャーレ
ビスコッティーニ・アッレ・マンドルレ


マジパンのケーキデコレーション
 ↓
Congratulazioni!


やっぱりカッサータは美しいけど、このデコレーションは教科書のよう。
 ↓
Cassata


復活祭の時期になるとマジパンで作った愛らしい子羊が南イタリア各地で見られます。
ピタチオを詰めていますが、これは食べれない。
 ↓
P1000769


アーモンドミルクはカルシウム、鉄分、リン、マグネシウム、カリウムを適度に含むので、牛乳や豆乳の代わりになります。

latte di mandorle carucci&chiurazzi  packaging sottotracce


シチリアには、アーモンドミルクを使ったアーモンドのグラニータというのがあります。


ラ・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズの、『シチリア』にリチェッタが載っているので訳してみます。
とても簡単にシチリアの味ができます。


アーモンドミルクのグラニータGranita di mandorle
材料/4人分
 アーモンドミルク ・・500㎖
 砂糖・・200g
・砂糖と水500㎖を弱火にかけてシロップにする。
・シロップを冷ましてアーモンドミルクを加える。
・完全に冷めたら広い容器に移して冷凍庫で約3時間冷やし固める。時々かき混ぜてクリーミーなグラニータにし、ガラスのコッパに盛り付ける。
※グラニータはシチリア人の大好物で、ほとんどすべてのバールにある。朝食にブリオッシュと一緒に食べたりもする。


シチリアのお菓子
 ↓



シチリア縛りを抜きにしても、アーモンドビスケットはイタリアの家庭のお菓子の定番の一つ。

Biscotti alle mandorle 001


イタリアの家庭料理の本、“マンマ・ミーア”にリチェッタが載っていました。



アーモンドのビスコッティーニbiscottini alle manorle
材料/4人分
 00タイプの小麦・・350g
  アーモンド ・・12g
 ブラウンシュガー・・150g
 柑橘果実の皮・・80g
 バター ・・85g
 卵黄・・2個
 卵白・・1個
 ベーキングパウダー・・1/2袋
 ナツメグ・・小さじ1/2
 シナモンパウダー ・・小さじ1
 飾り用皮むきアーモンド・・20粒
・バターを室温にしてブラウンシュガーと混ぜる。
・バターにスパイス、刻んだアーモンド、柑橘果実の皮、卵黄を加える。
・さらに小麦粉とベーキングパウダーを加えて手早くこねる。
・ラップで包んで10分休ませる。
・クルミ大に丸めてやや平らにし、中央にアーモンドを1粒軽く埋め込んで卵白を塗る。
・180℃のオーブンで18分焼き、ケーキークーラーに載せて冷ます。


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“アーヴォラのアーモンド”の記事の日本語訳は、「総合解説」2012年11月号に載っています。

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パッラーディオ

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今日のお題は、今月の「総合解説」の観光ガイドの記事で取り上げた町、ヴィチェンツァです。

貿易輸出額はミラノ、トリノに次ぐイタリア第3の都市で、世界遺産にも認定されています。
何が認定されたかと言うと、パッラーディオというイタリアを代表する大建築家が設計した別荘の傑作が、この町にはたくさん残っているのです。
別荘だけでなく、公会堂や劇場の設計もしているので、この町の観光名所を巡るというのは、パッラーディオの作品巡りをするということになります。
なので、ヴィチェンツァに行く前に軽く予習をしておくと町への理解が深まりそうです。

世界遺産のパッラーディオの別荘
 ↓


代表作の一つ、ラ・ロトンダ。
 ↓



ローマのパンテオンから影響を受けたこの邸宅は、のちにアメリカのホワイトハウスにも影響を与えました。
4面にファサードがあるの正方形の建物。
丘の上に凛と立つ優雅な姿は、強く印象に残りますねー。

ホワイトハウス
 ↓
White House from Lawnhttp://creapasso.com/kaisetsu.html


ヴィチェンツァ料理と言えば、名前にヴィチェンツァ風とついているバカラのヴィチェンツァ風。
ストッカフィッソを使うので、バッカラではなくバカラと言います。
ストッカフィッソは戻すのに1週間かかるんだそうです。
 




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“ヴィチェンツァ”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年11月号に載っています。
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詰め物入りパスタ、トルテッリーニ

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今日から「総合解説」2012年12月号の補足解説です。
まず最初は、今月号で一番印象に残った一言。
ボローニャで手打ちパスタ店を家族で経営するスフォリーナことパスタ打ち職人の、モニカ・ヴェントゥーリさんの言葉です。

「トルテッリーニは1個2gに満たない重さしかないし、それも大部分が詰め物の重さです」

Tortellini...

1個2gのピーナスのおへそ。
まさに小さな傑作です。

トルテッリーニは、とにかく薄~い生地で作るんですねー。
何故かというと、主役は詰め物なんです。

詰め物を味わうために、包む生地はできる限り薄く伸ばします。

そもそも、手打ちパスタには、ボローニャのタリアテッレやトルテッリーニに代表される軟質小麦粉のパスタと、プーリアのオレッキエッテに代表される硬質小麦粉のパスタがあります。

軟質小麦粉のパスタの中でも、タリアテッレのように平らに伸ばしてカットする詰め物をしないパスタはパスタ・リッシャlisciaと呼び、トルテッリーニのように詰め物をするものをパスタ・リピエーナpasta ripienaと呼びます。

パスタ・リピエーナ用の生地は、薄く、細かく成形して上下の生地をくつっけて閉じるので、パスタ・リッシャより柔らかくする必要があります。
これが、物理的に、硬質小麦粉のパスタに詰め物入りのパスタが少ない原因でもあります。
つまり、指でひっかくパスタが南イタリア独特のものだとしたら、詰め物入りパスタは、北イタリアの食文化が生み出したパスタなのです。

さらに、詰め物入りパスタには、詰め物を包む方法がいくつかあります。

一番シンプルなのは、平らな2枚の生地で挟んで周囲をカットする方法。

Making Ravioli


トルテッリーニは、これからさらにひと手間かけてカーブさせて端をつなげるという、ドッピア・キウズーラdoppia chiusuraという製法で作ります。
この方法だと詰め物を確実に閉じ込めることができます。

Tortellini med rødbeder og ricotta


こうしてビーナスのおへそが誕生しました。

tortellini di pane


これだけ手間をかけているのに、トルテッリーニのようにブロードに入れるタイプのパスタは、ラーメンと同じで、スープが驚くほど美味しいと、トルテッリーニの存在が忘れ去られてしまうという悲劇も。

Tortellini in brodo

詰め物もパスタもスープも手の込んだ一品、ボローニャのクリスマスのご馳走に欠かせない料理だということもよくわかります。


長い動画ですが、3人がかりでとても詳細にトルテッリーニの作り方を説明しています。
 ↓



クリスマスの美味しいブロードに欠かせないのが去勢鶏。
次回はその話でも。




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“トルテッリーニ”の記事の解説は「総合解説」2012年12月号に載っています。
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去勢鶏

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今日のお題は去勢鶏。
絶品のクリスマスの食材として欠かせない鶏ですが、その実態は、かなり悲しげです。

「去勢鶏にはとさかも肉垂もなく、コケコッコーと鳴くこともない。
春に生まれて夏に去勢され、訳4か月の命だ」

Cappone


か可哀そう・・・。
でも、この鶏で取るブロードはとても美味しく、そのブロードでゆでるトルテッリーニは絶品なんだそうです。
ブロードを取った後の肉は口の中で溶けるほど柔らかく、ローストにすればゴージャスなんだって。


brodino di cappone

Tortellini in brodo

Cappone semidisossato ripieno


ところで、「総合解説」で紹介した去勢鶏の料理の中に、“去勢鶏のカネヴェラ煮”と言うのがあります。
カネヴェラとは豚の膀胱です。
これに去勢鶏の丸鶏を入れてゆでるのがカネヴェラ煮ですが、リチェッタでは、膀胱の代わりにカルタ・ファタなどのクッキング・ラップで包んでゆでています。
その姿を見て思い出しました。
鶏のももをジップロックなどに入れてゆでるじゃないですか。
そっくりですよ、これ。
ただしゆで時間は3時間30分と、半端じゃないですけど。





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“去勢鶏”の記事とリチェッタは「総合解説」2012年12月号に載っています。
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アニョロッティ・デル・プリン

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今日はピエモンテの詰め物入りパスタ、アニョロッティ・デル・プリンの話。

Agnolotti dal Plin


この料理、プリンという響きの可愛さに、ついついプリンという料理として覚えてしまいますが、プリンとは、つまんで閉じるという製法のこと。
トルテッリーニの話題の時にも出ましたが、詰め物入りパスタの中でもドッピア・キウズーラと呼ばれる製法のパスタです。

だから、アニョロッティじゃなくても、つまんで閉じているなら、“ラヴィオリ・デル・プリン”といった風にも使えます。

逆に言えば、プリンじゃない閉じ方をしたアニョロッティは、ただのアニョロッティとなる訳ですねー。

ピエモンテ以外でプリンという閉じ方をしたパスタは聞いたことがないので、ただ単純に、詰め物の間をつまんで閉じれば、ピエモンテ風詰め物入りパスタの出来上がり。

ラヴィオリ・デル・プリン
 ↓



では、プリンという言葉とセットになっているパスタ、アニョロッティ。
プリンで閉じないただのアニョロッティは、カッターで切り分けるので、四角いパスタになります。
これは、ラヴィオリとどう違うのか。

そこが問題。

どうやら、詰め物に特徴がある、というのが公式の見解のようです。

公式って何かというと、ピエモンテ州です。
ピエモンテ州はパスタ・フレスカに関して、パスタのルーツから考察したこんな立派な公式見解(こちら)まで発表しています。
ピエモンテに、州が公式見解発表するほどのパスタ文化があったのか、とも思いますが。
ピエモンテのパスタというと、タヤリンとアニョロッティ・デル・プリンぐらいしか思い浮かびませんが、アニョロッティ・デル・プリンの生い立ちを熱く語っている部分を読むと、軽く見ていてすみませんでしたーという気分になります。

それでは、その部分を訳してみます。

「かつて人気を博していた料理人が、アニョロッティは典型的な月曜日の料理だ、と書いた。
日曜日の残りの肉と野菜をリサイクルした料理だからだ。
確かに、残り物を使った料理だが、残り物はあらゆる料理に使った。
しかし、アニョロッティは単なるリサイクル料理ではない。
ピエモンテでは、アニョロッティは常に大切な食事の主役だった。
ロースト肉、スパイス、パスタ・フレスカ、ソースのコクが一体となった香りと味が、目出度い宴席の賑やかなイメージと結びついた華やかな料理なのだ。
アニョロッティがクリスマスのご馳走の代名詞になっているのも偶然ではない。
前菜で食欲が刺激された後に登場して歓声で迎えられる料理なのだ。

昔のような大家族は珍しくなって、おばあちゃんや親戚のおばちゃんたちがかまどの前で腕を振るえる機会も減ったが、それでもアニョロッティは特別だ。
女の子にとって、この中に加わるのは料理の秘訣を体験する第一歩で、経験を積めば、材料を混ぜるのが上手になるだけでなく、美食文化を身を以て吸収することができる・・・」

さらに話はアニョロッティの形の話題へと続いていきます。
なんと、アニョロツティはピエモンテの栗の蜂蜜色の髪をした23歳の美女だとか言った元首相までいたそうです。
ちなみに、アンジェリーナ・ジョリーの髪は栗の蜂蜜色らしい。

どうやらピエモンテ人のアニョロッティ愛は、かなり深いようで、調べればどんどん出てきます。
次回はリチェッタでも。


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“アニョロッティ・デル・プリン”の記事は、「総合解説」2012年12月号に載っています。
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アニョロッティとアニョロッティ・デル・プリン

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アニョロッティ・デル・プリンとアニョロッティはどこが違うのか。
という疑問が生まれた今回のお題。

ピエモンテ州の公式見解により、どうやらアニョロッティは、ピエモンテ人にはクリスマスの特別な思い出と強く結びついていて、単なるパスタを超えた料理であることが分りました。

『VIE DEI SAPORI  PIEMONTE LIGURIA VALLE D'AOSTA』という、地元料理に詳しい一流シェフたちの料理を集めた本には、アニョロッティ・デル・プリンは、さすがに代表的なピエモンテ料理と言えるだけあって、様々なシェフのリチェッタが載っています。

そんな中でただ一人、2種類のアニョロッティのリチェッタを発表しているシェフがいました。

1つは“アニョロッティ・デル・プリン”、
もう1つは“アニョロッティ・ディ・マーグロ”です。

どうやらこの違いを分析すれば、最初の疑問の答えも見つかるのでは。
このシェフ、相当ピエモンテ料理を研究してますよー。
クーネオ県のリストランテ・ピエル・ブッセッティのピエルさんです。
ちなみにシェフは現在、モスクワや香港でコンサルタントとして活躍中。

こんなシェフ
 ↓


なーるほど、1品目はパプリカの皮にツナを詰めたラヴィオリです。
2品目は青リンゴをパスタに見立てた青リンゴのタヤリン。

どうやら伝統を研究してモダンでオリジナルな料理を生み出す才能がある人のようですね。

そういう目で見ると、彼の2つのアニョロッティのうち、プリンの方はピエモンテ人が郷愁を感じる正統派で、マーグロは現代人の味覚に合わせて、ピエモンテ以外の人にも価値の分るアニョロッティということになります。
二つのアニョロッティの違いは詰め物とソースです。

正統派の詰め物は、子牛肉、豚肉、ほうれん草がベース。
詰め物をのせたら生地をつまんで閉じます。
ソースはバターとローストの肉汁。
ちなみに、彼のではないですが、正統派デル・プリンのリチェッタは「総合解説」にも載せています。
オリジナルのマーグロは、ホウレン草とリコッタ。
生地はつまむのではなくカッターでカットします。
ソースはバターとチーズ。

どうやら、アニョロッティ・デル・プリンと名乗るものは、伝統的な詰め物とソースもセットになっているんですねー。

シェフによっては、違う詰め物でもアニョロッティ・デル・プリンと名付けている人もいます。
その場合はいずれも、地元の貴重で特殊なチーズやトリュフなどの食材を詰め物やソースにして、ゴージャス感を出しています。

ピエモンテでアニョロッティ・デル・プリン食べたくなってきたー。





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“アニョロッティ・デル・プリン”のリチェッタの日本語訳は「総合解説」2012年12月号に載っています。
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シチリアのクリスマス料理

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今日は「総合解説」の記事から、“シチリアのクリスマス”の解説です。

パレルモの貴族の館で、フリーのシェフというユニークな立場で幅広く活躍するカルメロ・キアラモンテを料理人に迎えたクリスマスのパーティー、という設定のコース料理です。

参考までに、パレルモで一番古い建物と言われている貴族の館、パラッツォ・コンテ・フェデリコ。
 ↓


シチリア料理を語るキアラモンテシェフ。
 ↓



彼が考えたクリスマスのメニューは、小さな料理のオンパレードから始まります。

リコッタとポロねぎのポルペッティーネ、豚肉入り一口フォカッチャ、リコッタ入りロールフォカッチャ、オリーブのオレンジ風味、そら豆のマッコのフリットと、まるで、久しぶりに息子が実家に帰ってきて張り切る、田舎のお母さんか、というくらい、素朴で家庭の温かさが満載の、お腹一杯でも申し訳なくて残せない料理がこれでもかと続きます。

スタートで早くもお腹一杯ですが、次に大とりが登場します。
シチリアの貴族料理のシンボル、ティンバッロです。
しかも、その料理につけた名前は“領主のティンバッロ”ですよ。
期待が高まりますねー。

山猫のティンバッロ
 ↓
t gattopardo 2


ティンバッロの話題が出るたびにしつこく紹介していますが、
豪華なティンバッロが登場するのはルキノ・ヴィススコンテイの1963年の映画『山猫』
 ↓



ティンバッロで燃え尽きたのか、その後は、トルナグストと呼ばれる口直しの小さな野菜料理です。
キアラモンテのクリスマスメニューには、パスタや肉料理は登場しません。
この後も、すべて野菜料理です。
唯一の例外が魚料理ですが、これも、トピナンブールを添えたバッカラ料理で、メインと呼べるほどのボリュームはありません。

でも、カポナータのバリエーションに続く最後の締めがビアンコマンジャーレで、しっかり由緒出しいシチリアの伝統で締めくくられています。

全10品の、貴族の館でいただく、野菜満載のクリスマスメニューでした。



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“シチリアのクリスマス”のリチェッタは「総合解説」2012年12月号に載っています。
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シチリアの新しい世界遺産

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産業革命の遺産、紆余曲折あったみたいですが、世界遺産に決定でよかったですね。
ところで、イタリアでも新しい世界遺産が決まりました。
イタリアも、世界遺産の数が多すぎる、という問題があります。
新規に登録したいところは、じっくり長期戦でいこうという考えのようです。
1日遅れたぐらいでは動じない。

今回決まったのは、パレルモのアラブ・ノルマン時代の建築物、モンレアーレとチェファルーの大聖堂。


ミラノエキスポのためのシチリアのアラブ・ノルマン時代の建物を紹介する動画。
 ↓



モンレアーレはパレルモ郊外の山の上。
行くはのちょっと大変だけれど、金ぴかのドゥオモはさすがに素晴らしい。
 ↓



観光地化されているチェファルーは、パレルモからも行きやすく、バカンスの空気に満ちた町で、大聖堂以外も楽しい。
 ↓



シチリアは、ヨーロッパ、アフリカ、アラブが出会った場所なので、文化も食文化もとても複雑です。
ギリシャ人が植民して町を作り、ローマ帝国の一部になり、アラブ人がやってきて支配し、新しい農作物が様々伝わります。
柑橘果実、フィーキ・ディ・インディア、アーモンド、サフラン、ごま、クスクス、甘蔗糖、米、ドルチェ・サラートな味つけ、etc。
シチリア料理の個性的な部分は、ほとんどがこの時代の産物ですね。

アラブ人が約1世紀支配した次にやってきたのが北欧のノルマン人でした。
彼らの時代は、シチリアの発展期。
バッカラなどが普及しました。

その後は神聖ローマ帝国やフランス系、スペイン系、オーストリア系と支配者が入り乱れて、シチリアは没落の一途。
スペインの支配力が強まった時代には、新大陸の産物、トマト、ピーマン、カカオなどが入ってきて、シチリアの食文化は一段と鮮やかになります。
さらに、支配者同士が争う時代が長く続き、山猫のティンバッロに代表される貴族の料理というものが確立していきました。

アラブ・ノルマン時代は、シチリアがもっとも輝いていた時代なんですね。
シチリア料理の歴史の中でも、重要な時代です。



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アンティカ・マチェッレリーア・チェッキーニ

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今日は肉の話。
じゃなくて肉屋さんの話。
「総合解説」の“ロースト”の記事は、イタリアの有名な肉屋さんが提供したリチェッタです。

最初のフィレンェ風ロースビーフは、“フィオレンティーナの魔術師と呼ばれている人、ダリオ・チェッキーニさんのリチェッタです。
彼のweb ページはこちら
代々続く肉屋の家系で、彼は8代目。
この貫禄で、まだ38歳。
 ↓



自らを肉屋で料理人と呼び、ほとばしる情熱を秘めた頑固職人。

彼の店はポンザノ・イン・キアンティのアンティカ・マチェッレリーア・ケッキーノ。
扱っている肉はブランドにはこだわらず、スペインの信頼できる業者から仕入ているそうです。
オッフィーチナ・デッラ・ビステッカなど3軒のレストランもやっています。


下の動画ではイタリアでナンバーワンの肉屋と紹介しています。



豚を解体(グロ注意)しながら肉屋の哲学を語るダリオ。
長いですが、言ってることはとても興味深いです。
英語の通訳付き。
 ↓



確か彼がこのブログに登場するのは2度目です。
イタリアの肉料理の話をするときには欠かせない人なんですね。

彼のフィレンツェ風ローストビーフの特徴は、プロフーモ・ディ・キアンティという地元のミックスハーブをオリジナルで作り、それを加えたオリーブオイルを焼き上がった肉にかけるということ。


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“ロースト”のリチェッタは「総合解説」2012年12月号に載っています。

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ネブロディの黒豚

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肉屋さんの話、続けます。
というか、今回は豚の話。

まず、紹介する肉屋さんはシチリアのアゴスティーノ・ニノーネAgostino Ninoneさん。
webページ
ベスト・イン・シシリーというweb雑誌で、2013年のシチリアのベスト肉屋さんにも選出されています。
「総合解説」の記事で彼は、シチリア産の食材を使った肉料理を紹介、ということで、ネブロディの黒豚にブロンテのピスタチオやネブロディのプローヴォラ、黒豚の生ハム を詰めたのローストのリチェッタを紹介しています。

ネブロディの黒豚は、シチリアの土着品種。
ネブロディとは、エトナ山のある山脈地帯です。

ネブロディの黒豚
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ネブロディ豚は野生の状態で飼育されていて、まるで猪のようなのが特徴。
山野を駆け回り、食料が乏しくても過酷な気候や病気にも耐える丈夫な品種です。
ところが、森の減少と、生産性の高い品種の普及が進んで、飼育数は減少の一途。
その後再評価されて国も後押しし、現在では約2000頭が飼育されているそうでが、一種の絶滅危惧種です。
肥育農家はどこも小規模で、その肉は、残念ながら滅多に市場に出回りません。

ネブロディの黒豚の加工品。
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素晴らしい自然が残されたネブロディ州立公園。
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今回、ニノーネ氏は、ネブロディ豚のロースを使ったローストを紹介しています。
ネブロディ豚の肉はさしがあって風味がよく、一般的な豚と違ってロースはぶ厚い脂身に覆われています。
貴重なネブロディ豚ですが、ニノーネさんの店のwebページには、飼育方法から捌き方にいたるまで、詳細に説明されています。
販売は管理組合がしっかり管理しているようです。
管理組合のwebページはこちら



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“ロースト”のリチェッタは「総合解説」2012年12月号に載っています。
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ポドリカ牛

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肉の話、続けます。
今日は牛の話。
「総合解説」の“イタリア産牛”の記事の追加解説です。

まずは イタリアに定着した品種の中で、もっともオリジナルの性質を保っている、つまり、厳しい環境にも耐える丈夫さがあって、美味しいミルクを出す牛、ポドリカ。

モンゴルからウクライナのポドリア草原経由で、ローマ帝国崩壊後の紀元452年に、蛮族によってヴェネトのパダナ平野地方に伝わったという説が有力です。
ポドリアはポドリカ牛の原産地だと主張していますが、イタリアの土着品種という説もあります。
ギリシャから伝わったという説もあります。
毛皮は灰色で、雌は白みがかっています。
飼育は、地域によっては秋と春に草原から草原へと移動する移牧方式。
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日照りや高温にも強く、かつては主に労働用でした。

Maggio di Accettura

現在は主に南イタリアで飼育されていて、ミルクから良質のチーズができます。
カチョカヴァッロが有名ですが、ブッラータ用のミルクも、この牛のミルクです。
脂肪分は約4.5%。
さらに、分娩に人手は必要なく、ミルクが栄養豊富で子牛もよく育ち、病気にも強い。
新陳代謝がゆっくりなので餌の腹持ちが良く、少ない餌でも耐えた。
こんなに優秀な牛なのに、欠点はミルクや肉の量が少ない。
そのため、現在は減少の一途。

ポドリカを飼育してカチョカヴァッロを作っているプーリアの農家。 
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カチョカヴァッロ・ポドリコは、南イタリアのチーズの王様と呼ばれ、食後に食べるテーブルチーズ専用。
1~2年熟成させ、一番高価なチーズという人もいます。


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“イタリア産牛”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年12月号に載っています。
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キアニーナとピエモンテーゼ

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イタリアの牛の話。
まず、イタリアでもっとも古い土着品種と言われている牛で、昔は労働用に飼育されていましたが、今では世界中にその背肉の美味しさが知られている牛、キアニーナ。
大型の牛で雄は1700kg、雌は1100kgにもなります。
毛皮は雄も雌も乳白色。
子牛のころは淡黄褐色。

Tuscan cows


古い牛という根拠になっているのが、古代ローマの詩人、ウェルギリウス(シーザーとほぼ同時代の人)がその素晴らしさを書き記している、ということ。
なので2000年前から優秀な牛として知られている、というわけです。
ちなみに、ウェルギリウスは、イタリアの食文化を語る時、度々登場する重要人物です。

肉の営養価はタンパク質が豊富でコレステロール値が低い、つまり脂肪分が少ない赤身肉で、その風味の良さが特徴。

ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ。
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イタリアを代表する牛をもう1つ。
イタリアで一番普及している品種、ピエモンテーゼです。
遥か昔、更新世にインドから伝わって、ラスコー洞窟にも描かれているオーロックス系牛が祖先。
アルプスなど自然の壁にさえぎられて、ピエモンテ北部に普及していたところ、3万年ほど前にパキスタンからやってきたコブウシとの交配が進み、現在のピエモンテ牛の特徴を備えた品種が誕生したそうです。
中型で白い毛皮。
ミルクは量が少なく、赤身で柔らかい肉が高評価。
15~18か月齢のヴィテッローネが中心。




ピエモンテーゼの代表的料理はピエモンテ風ボッリート・ミスト。
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“イタリア産牛”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年12月号に載っています。
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チーズプラトー

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今日はチーズの話。
ロンバルディアのフォルマッジェリーア・アンティカ・カゼーラの提案するチーズプラトー“イタリアの味”の話です。
お店のfacebook
「総合解説」でチーズ専門店の記事を訳したのは多分初めてだと思います。
イタリアもチーズのブームが来てるのでしょうか?

さて、イタリアチーズで構成されたプラトーですが、(写真は「総合解説」のページに小さいのをupしました)
最初は牛乳と山羊乳のソフトチーズ。
干し草の香りの甘口チーズです。
それから徐々に熟成が進み、牛乳のセミハードチーズを経て最後はゴルゴンゾーラ・ピッカンテ。
ミルクは牛、ヤギ、羊、産地はロンバルディア、ヴェネト、トスカーナと、バリエーション豊か。
イタリアのチーズは、パルミジャーノとモッツァレッラだけじゃないなあと、改めて認識しました。

ちなみにこれは、プロヴァンスのビストロのチーズプラトー。
ワインが進みそう。
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The Plateau Provençal at Bistro Vendôme


イタリアのチーズで作るチーズプラトー。
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個性が違う様々なチーズを選んで食べる順番に並べ、野菜やフルーツ、ジャムを添えて彩りよく盛り付ける。
これがチーズ屋さんの仕事なんですね。

さらに詳しい盛り付け方の説明。
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こんなに数々のチーズを、芸術的なナイフさばきで切り分ける仕事、超楽しそう~。

サルーミ、チーズ、ソースの盛り合わせ。
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わー、パーネ・ディ・マテーラまで。
眼福じゃあ。
この動画を見ながらワイン飲めるなあ。
お気に入りに登録しそうになりました。


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“チーズプラトー”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年12月号に載っています。
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王の街トリノ

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先日、トリノの世界遺産を紹介するテレビ番組を見て以来、トリノ行きたい症候群を発症しています。
特に、ゴージャスなインテリアや芸術品に囲まれたパラッツォ・レアーレは、死ぬまでに一度は行くぞーと思いたくなる素晴らしさ。
それにしても、イタリアにはいくつパラッツォ・レアーレがあるんだ?
パラッツォ・レアーレとは、王宮という意味。
ちょっと探しただけでも、ナポリやジェノヴァに有名なのがありますねー。
でも、これらの王宮の王様は、みんな違う王家。
なので、どれも独特の個性があります。
トリノの王宮は、ご存じ、サヴォイア家のもの。
イタリア王国の母体となった一族だけに、王族感が半端ない。
ちなみにナポリはブルボン家。
同じカンパーニアのカゼルタの宮殿も世界遺産で素晴らしいですよね。
ジェノヴァは共和国の元首の一族バルビ家が建てたもの。
カゼルタの王宮と比べるとミニサイズですが、ここも世界遺産。

個人的に大好きなのはカゼルタの宮殿。
ここの広大な庭園の奥には、この世のものとは思えない美しくて幻想的な世界が広がっています。




トリノのパラッツォ・レアーレ。
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トリノ観光に行ったら王宮のほかに忘れちゃいれないものがありますよねー。
そう、カフェ巡り。
こんなゴージャスな王宮のある街には、歴史的なカフェがよく似合います。

『王の街、トリノ』
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トリノのカフェで一番有名なのは、ビチェリン。
ここで注文するのはもちろんビチェリン。



でも、トリノの歴史的なカフェはビチェリンだけじゃない。
という訳で、次回はトリノのカフェの話。


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“トリノ”のグルメガイドの記事は「総合解説」2012年12月号に載っています。
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トリノの老舗カフェ

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さて、トリノの歴史的カフェですが、詳細は「総合解説」をご覧いただくとして、まずはその中の一軒、ムラッサーノ。
店のwebページはこちら

この店の名物は、チョコレートではなく、サンドイッチ。
しかも、サンドイッチ発祥の店として有名なんだそうです。
あれ、サンドイッチは、イギリスのサンドイッチ伯爵が、カードしながら食べられるように考え出したんじゃなかたっけ、と思ってwiki見たら、なんとサンドイッチ伯爵が発明したわけではない、なんて書いてあるー。
ちょっとした噂話に尾ひれがついて、いかにもそれらしい話になってしまたのですね。
すっりその話を信じこんでましたよー。
だからイタリア語のサンドイッチは、サンドイッチじゃなくて、トラメッツィーニtramezziniにという名前なんですね。
HPによると、店の女主人がアペリティーヴォに添えるつまみとして考え出したんだそうです。
そもそも、サンドイッチ伯爵なんて知られてなかった。
それどころか、トラメッツィーニという言葉を考え出したのは、イタリアの食文化の話題にはちょくちょく登場する作家のダヌンツィオなんだそうで、イタリアではこの話が知れ渡っています。
国が変われば食べ物の常識も変わるんですねー。

ムラッサーノのトラメッツィーニの動画を探したんですが、唯一見つかったのが下の動画。
ムラッサーノが出てくるのは4:30頃から。



トリュフとマスカルボーネのトラメッツィーニ。
一言も美味しいと言いませんでしたねー。
どんな味なんでしょう。

さて、お次はチョコレートです。
しかも、ロンドンのアカデミー・オブ・チョコレートが世界一美味しいプラリネと評した店だそうですよ。
アカデミー・オブ・チョコレートって初めて聞いたけど、なんか権威がありそうなので、きっとすごーく美味しいんだろうなあ。

その店は、グイド・ゴビーノです。
店のwebページはこちら
 ↓


そういえば、トリノには、ガンベロ・ロッソがナンバー1ヘーゼルナッツ入りチョコレートクリームに選んだグイド・カスターニャの店もありましたねー。
ほかにも、バラッティ&ミラノやプファティッシュなど、まだまだあります。
そうそう、コーン入りジェラート発祥の店もありましたね。
このお店の話は次号の「総合解説」に載っています。

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“トリノ”のグルメガイドは「総合解説」2012年12月号に載っています。
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チンクエ・スタジョーニ

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ようやくですが、次号の「総合解説」の販売日は今週末です。
ちょっと面白そうな記事が『ピッツァ・エ・コーレ』、2015年1/2月号に載っていたので、ここでご紹介。
ちなみにこの雑誌は、イタリアのピッツァ業界の業界誌です。

その記事は、“レ・チンクエ・スタジョーニ”(webページ)というブランドのピッツァ用粉で有名な、モリーノ・アグジャーロという製粉会社の、創業家の一員で輸出部長のリッカルド・アグジャーロ氏へのインタビュー。

5 スタジョーニのPV
 ↓




コック服まで売ってるんですね。

インタビュー

御社は30年前にピッツェリーア専門の製粉業を始めて、いわばこの分野の開拓者ですが、このアイデアはどこから生まれたのですか?

 当時のアグジャーロ社の創始者は、このビジネスが今後成長するとを見抜いていました。
30年前、ピッツェリーアはパン用の粉を買っていましたが、配達の問題がありました。
そこで参入の余地があると考えたのです。
そしてそれ以来ずっと、ピッツァに最適な粉のことを研究、開発してきました。
結果的に、モリーノ・アグジャーロはピッツァ専用の粉を作って問屋を通して販売する最初の会社になりました。

御社とイタリアのピッツァイオーリとはどんな関係ですか?

 我が社の発展の基礎はピッツァイオーリです。
ピッツァイオーリ養成の学校を開いたおかげで、ピッツァイオーリが望む粉を作るための新しいアイデアや製品に対する無尽蔵のフィードバックを絶えず入手できるようになりました。

現在のイタリアのピッツァの平均的なレベルはどの程度なのですか?

最近になってようやく、ピッツァイオーリは適切な注目を受けるようになりましたが、イタリアを世界中に有名にした長い伝統のあるこの仕事は、ずっと前からもっと評価されるべきでしたね。
もちろん、食材の品質のよさがそれに貢献していることは明らかです。

国外に目を向けてみましょう。
外国へはいつから、どんな国へ輸出していますか?

 90年代末から、世界中に輸出するようになりましたが、量はわずかです。
小麦粉ような製品を輸出するのは難しいのです。
まだ主な顧客は移住したイタリア人ですね。

あなたの考えでは、どの国がイタリアのピッツァの文化にもっとも近く、敏感ですか?

絶対に日本ですね。
日本のシェフやピッツァイオーリは、頑なにイタリアの品質を求めています。


モリーノ・アグジャーロは、2003年に伝統的な製粉業者2社が合併してできたアグジャーロ・エ・フィーリアグループの一員です。
イタリアで最初のピッツァ用の粉と半加工品専門の会社となりました。
現在はパドヴァ、パルマ、ペルージャの3か所に工場があり、チンクエ・スタジョーニのラインはパドヴァにあります。
この工場では品質や技術の研究開発も行い、工場見学も受けつけています。


アグジャーロ社の古い水車小屋での粉ひき
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ピッツァ用の粉が30年の歴史しかないのは意外ですが、各メーカーがピッツァイオーリの要望を取り入れて作るのがピッツァ専用粉なわけで、ピッツァイオーリとの結びつきの強さが粉の人気に直結しそうですね。


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カルボナーラとカーチョ・エ・ぺぺ

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さて、新しい「総合解説」ですが、今号から、2013年と2014年の合併号となっています。

まず最初の記事は、イタリア料理の定番中の定番、カルボナーラ。

この料理は、ルーツが謎に包まれているので、これが正解というリチェッタがない。
地方料理として手に入りにくい地元ならではの食材を使うのに、リチェッタはとてもシンプル。
なのでアレンジし放題。

という訳で、この料理のルーツやリチェッタや伝統を軽々しく語るのは無理、というのが大方の専門家たちの意見のような気がします。
一応、最も信頼されているリチェッタでは、ソースの材料は、グアンチャーレ、ペコリーノ、卵、こしょうのみで、これには大方異論がないよう。

木こりの料理、とする説では、この料理の原型はカーチョ・エ・ぺぺ(チーズとこしょう)と考えられています。
卵の入らないカルボナーラですね。
そう思って見るとなかなか興味深いです。
まずは素朴なカーチョ・エ・ペペ。



次はローマの有名店、ミシュラン1つ星の店、コンヴィヴィオのアンジェロ・トロイアーニシェフが作る洗練されたカーチ・エ・ペピ。




同じシェフのカルボナーラ。




今回の記事を訳していて、初めて、ナポリ料理がルーツという説を聞きました。
チーズと卵のソース、“カーチョ・エ・オーヴァという料理の存在がその根拠です。

カーチョ・エ・ウオヴァ



こうして見ると、日本のカルボナーラはナポリ料理に近いかもしれないなあ。
カルボナーラの謎は、そう簡単には解けそうにありません。



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